【報ステ解説】「背景に内閣支持率の上昇」G7サミット直後…強まる解散風(2023年5月24日)
国会では24日、野党は、マイナンバーカードをめぐりトラブルが相次いでいる問題を追及しました。
立憲民主党・大西健介衆院議員:「マイナンバーカードからにひもづけされた個人情報が流出する恐れはないですか。こういう質問に対して、河野大臣は『ありません』と断言している。しかし、現実に起きちゃってるんですよ。いったん立ち止まって、この進め方を見直すことが必要じゃないか。総理の考えを聞きたいと思います」
岸田総理:「信頼があってこそのマイナンバーカードであると思います。再発防止をはじめ、信頼回復に向けて、政府一丸となって対応すべき課題であると認識いたします」
一方、自民党からは、G7広島サミットへの称賛が相次ぎました。
自民党・坂井学衆院議員:「岸田総理、サミット議長の大役、お疲れさまでございました。多くの成果を残せたサミットだったと思います」
自民党・鈴木馨祐衆院議員:「大変、素晴らしい成果を出していただいた。改めて、敬意を表したいと思います」
岸田総理:「核兵器のない世界へのコミットメント、これを一致して確認した」
立憲民主党・泉健太代表:「サミット熱から頭を切り替えていただいて、国民の生活、内政がどうなっているのか考えていただきたい」
泉代表がまず追及したのは、防衛費について。政府は、今後5年間の防衛費を総額43兆円まで増やすと決めていますが、“その財源をどう賄うのか”という問題は残されたままです。政府は、増税のほか、毎年2100億円の歳出を削減することでひねり出すとしています。
立憲民主党・泉健太代表:「2100億円を確保したと聞いています。何を削ったか教えてください」
岸田総理:「これは従来、説明しているが、社会保障関係費以外の経費を対象に歳出改革の取り組みを継続するなかで、歳出改革を継続することで(令和9年度までに)1兆円確保する」
“歳出改革”の具体的な中身は示されませんでした。また、岸田政権がうたう“異次元の少子化対策”の財源については、社会保険料の上乗せなどでまかなう方針です。
立憲民主党・泉健太代表:「せっかくの少子化対策、子育て支援が、当事者たちからお金をとって、当事者たちにお金を渡していく。結局、プラスマイナスゼロになりかねない」
岸田総理:「国民の実質的な負担を最大限抑制したいと考えています。歳出改革の取り組み、これを徹底します」
ここでも頼みは“歳出改革”ということですが、実際にどれだけの財源を確保できるのかは、不透明です。
課題は山積みのはずですが、やはり意識されているのが“解散総選挙”です。
日本維新の会・馬場伸幸代表:「いつ解散するんだという野暮なことは言いません。ただ、近々、解散がされるのであれば、国会を大改革しましょうという約束をしていただいて、解散をしていただければと思いますが、総理の意気込みはいかがでしょうか」
岸田総理:「今は重要な政策課題に結果を出す、これに専念すべきときであり、私自身、今、解散について考えていません」
自民党・中堅議員:「解散だろう。サミットは完璧だった。誰も今回のサミットには反対を唱えることはできないよ。これは解散にも鉄壁のカードだ」
突然の“解散風”に野党も選挙に向けた動きを加速させています。
日本維新の会・藤田文武幹事長:「解散総選挙が最短で会期末と取りざたされているので、我々としては、戦える状態を早くつくる。この1カ月で機が熟した方について、どんどん公認を発表していく」
さらに、立憲に代わり野党第一党を目指すとして、泉代表と岡田幹事長の選挙区にも対抗馬を立てることを発表しました。
立憲民主党・泉健太代表:「(Q.維新が泉代表と岡田幹事長の選挙区に対抗馬を擁立するが受け止めを)ありません。毎度のことです。僕にとっては。いつも維新の候補者と戦っています」
野党を迎え撃つ自民・公明党は、四半世紀近い連立関係を揺るがす異例の事態が起きています。騒動の舞台となっているのは、次の選挙から新たに設けられる東京28区です。
自民党と公明党は、これまで選挙区の候補者を調整し、互いに推薦を出すなどの形で盤石の協力体制を築いてきました。しかし、東京28区をめぐっては、公明党が独自候補の擁立を求めましたが、自民党はすでに候補者が決まっているとして、別の選挙区ではどうかと提案していました。これを受けて、公明党の東京都本部は24日、擁立を断念する方針を固めました。代わりに、東京のすべての選挙区で自民党候補を推薦せず、都議会での協力体制も解消することを確認し、25日に自民党に伝える方針です。
◆政治部の千々岩森生官邸キャップに聞きます。
(Q.24日の国会をどう見ましたか)
国会の質疑で解散が取り上げられ、解散前夜かと思うような景色だったと思います。実際に議員事務所を回っていても、議員も秘書も、解散はあるのかないのかという話ばかりですが、誰も答えを持っていないので、ソワソワするばかりといった空気です。
にわかに吹き始めた解散風。その背景にあるのが、内閣支持率の上昇です。G7広島サミット開催中に新聞各紙が行った岸田内閣の支持率に関する世論調査です。
読売新聞は、支持するが56%と前回に比べ9ポイント上昇。毎日新聞も支持するが45%と、こちらも前回と比べ9ポイント上昇しています。
(Q.支持率を追い風にして、岸田総理は、今国会の会期末6月21日までに解散するのではないかという声もありますが、どう見ていますか)
永田町の喧騒とは裏腹に、官邸側が真剣に6月の解散を準備している雰囲気は、今のところ感じません。先月、統一地方選挙が終わったばかりで、公明党が早期の解散総選挙を嫌がっているという事情もあります。そもそも、まだ衆議院の任期が半分に満たないです。今、解散して自民党が勝ったとしても、岸田総理は、結局、党利党略なのという声が上がりかねない。長期的には大切なものを失いかねないということもあると思います。岸田総理の狙いは、来年の自民党総裁選に勝ち、長期政権を目指すことにあります。支持率も回復し、早めにやりたいというのが本音だとは思います。6月の会期末、野党が内閣不信任案を出すということであれば、解散もあり得ると思いますが、本命は9月ごろ、秋ごろだとみています。
(Q.解散はいつあってもおかしくないなか、自民党と連立を組む公明党との候補者調整が、かなりきしみを上げているように見えます)
かなり深刻に見えます。自公の連立の歴史のなかで、ある重鎮は「今回は空気が違う」と気をもんでいます。背景には、いくつか理由がありますが、一番、大きいのが、公明党はいま、9つの小選挙区を持っていますが、そのうち6つが関西です。ここに、これまで協力関係だった維新が候補者を立てるという構えを見せていて、公明党は強い危機感を抱いています。もう一つ、自公の関係。パイプ役が細っているという事情もあります。これまで安倍政権・菅政権では、当時の菅官房長官が公明党や支持母体の創価学会とのパイプ役として機能していました。それが今は不在。もはや岸田総理の判断、こうしたレベルにまでになっていて、非常に調整が難航しているということだと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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