「焦ってログアウトせず次に…」マイナンバーに“他人の口座”全国で11件(2023年5月23日)

「焦ってログアウトせず次に…」マイナンバーに“他人の口座”全国で11件(2023年5月23日)

「焦ってログアウトせず次に…」マイナンバーに“他人の口座”全国で11件(2023年5月23日)

マイナンバーカードをめぐって、またしてもトラブルです。

デジタル庁は23日、マイナンバーに他人の口座がひもづいていた事例が、全国で少なくとも11件あったと発表しました。
河野デジタル大臣:「人為的なミスで他人のアカウントに、自分の預貯金口座を登録してしまう事例が、少数ですが発生をしております。本来、こういうことは起こしてはならないわけですが、人為的なミスというのは、これはおそらくどうしても避けられない、人為的なミスがあると思います」

なぜ、ミスが起きてしまったのでしょうか。

4件のミスがあった福島市の例です。
去年秋ごろ、Aさんが、入力のサポートを受けられる「支援窓口」を訪れます。『新規取得』と『健康保険証としての利用』の手続きを済ませました。この日、Aさんは、口座番号がわかるものを持っていなかったため、後日、改めて手続きすることにしました。

同じ日、Bさんが「支援窓口」を訪れ、『公金受取口座の登録』を行いました。このとき、市が委託した支援スタッフが、Aさんの情報が入力されたマイナポータル画面をログアウトしないまま、Bさんの口座入力を手伝っていました。

先月、Aさんが再び、『公金受取口座の登録』に来たところ、覚えのない口座がすでに登録されていて、初めてこのミスが発覚。Aさんは、半年近くも他人の口座がひもづいていたことになります。

福島市役所では、23日も多くの市民が支援窓口を訪れていました。

本来、申請作業は本人が自ら入力することになっています。しかし、当時、入力をしたのは支援スタッフでした。
福島市デジタル推進課・目黒貴裕課長:「多い日には、200人を超える方が来ます。たくさん並んでる状況だと、委託スタッフもどんどん来る方をサポートしなくてはならない。多少、焦りもあって、単純なログアウトすればよかったものを、ログアウトせず、次の方の手続きに入ってしまったのかなと」

ログアウトをしなかったことで起きたミス。こうした事態を防ぐため、二重に対策を取っているという自治体もあります。

東京・港区では、公金受取口座の登録は本人にしてもらい、必ずログアウトを促しています。さらに、再起動をかけるといいます。
東京・港区個人番号カード交付推進担当・辻剛久係長:「港区では、支援する端末の方には、再起動をかけることでブラウザ等に保存された、一時的に保存された情報等をすべて消去する。まっさらな状態に戻すような形を取っております」

デジタル化の象徴ともいえる制度ですが、登録や入力は人の手に頼らざるを得ません。トラブルの多くは、その作業の過程で起こっているとみられます。
河野デジタル大臣:「デジタル庁として、改めてログアウトの徹底をはじめとするマニュアルの遵守、この徹底を自治体にお願いをする通知を出しました」

そもそも、マイナンバーと口座のひもづけは、政府のマイナポイント事業の一環として推進されてきました。去年6月から、公金受け取りのための口座を登録すると、7500円分のポイントが付与されるとし、多くの人が登録。現在、マイナンバーカードを持っている人のうち、6割が口座をひもづけています。

河野大臣は3月、こう断言していました。
河野デジタル大臣:「公金受取口座を登録することで、本人には、さまざまなメリットがありますが、デメリットとなることはありません」

実は、デジタル庁、去年7月の時点で、すでに福島市と同様のケースの報告を受けていました。しかし、そのときは公表せず、23日まで明らかになっていませんでした。

今回、誤った口座に入金された例はないということですが、登録口座を総点検するとしています。

マイナンバーカードをめぐっては、これまでにも何度もトラブルが発覚。「マイナ保険証」に他人の情報が登録されていたケースは7300件以上確認されました。

厚生労働省は23日、すべての保険組合などに点検を求め、7月末までに結果の報告を求めるとしています。
健康保険組合A:「データの総チェックとなれば、2カ月では不可能。人を雇わなければならない。チェックしたとしても、今のままの登録方法では“完全で完璧”とは言い切れない」

一連の問題は、国会審議にも影響を与えています。参議院では、現在、マイナンバーの利用範囲拡大や、来年秋に今の保険証を廃止して「マイナ保険証」に一本化する改正法案が審議中です。当初は、19日にも採決される見込みでしたが、野党の反対などを受け、来週以降に先送りされています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事