過疎村“おせっかい”ビジネスに世界が注目…村の主婦が仕掛けた「暮らし革命」【Jの追跡】(2023年5月13日)

過疎村“おせっかい”ビジネスに世界が注目…村の主婦が仕掛けた「暮らし革命」【Jの追跡】(2023年5月13日)

過疎村“おせっかい”ビジネスに世界が注目…村の主婦が仕掛けた「暮らし革命」【Jの追跡】(2023年5月13日)

高知県日高村。住民わずか5000人の過疎の村に、なぜか世界中から視察が相次いでいます。

大ヒットお取り寄せ商品を生み出し、村の困りごとを解決し、過疎の村に人を呼ぶ“観光名所”も爆誕。様々な取り組みの裏には、「村は家族」の信念で奮闘する“お母ちゃんたち”がいました。

■空前の大ヒット…全国から出店依頼が殺到

人口わずか5000人の村、高知県日高村。高齢化と人口減少に悩むこの村で、特産品を使ったありそうでなかった“ある商品”が大人気だといいます。

地元・高知県の物産展では大行列。その正体は、地元の特産品を使った「とまとみそ」。日本一糖度が高いとされる地元産フルーツトマトと、お味噌。隠し味には、高知の名産品カツオ節が。和食にも洋食にも合う“万能調味料”です。

食べ方は色々。納豆にチョイ足しや、肉との相性もバッチリ。チョイ足しするだけで、食卓が豊かになります。ふるさと納税の返礼品としても、大人気なのだそうです。

高知県の物産展 店長:「加工品としては、トップランナー。一番人気がある」

空前の大ヒットで、全国から出店依頼が殺到しているといいます。

出店担当者:「あべのハルカスの…ぜひどうですか?ご出店」

この日は、大阪の百貨店「あべのハルカス」からの出店のオファーでしたが、即答できないほど製造が追いついていないのだそうです。

■事業を行っているのは…“地元のママさん”

実は、この「とまとみそ」は、農家の“困りごと”から生まれました。

トマト農家 正岡知也さん:「収穫全体の2割程度が“ハネ品(規格外)”。トマトを廃棄するにも、お金がかかる」

味は変わらないのに、形が悪いだけで廃棄されてしまう「規格外トマト」。そのほぼすべてを地元農家12軒から買い上げ、活用しているのです。

受け入れ量は、年間なんと12トン。無駄を減らすだけでなく、農家の収入にも貢献しています。

トマト農家 正岡さん:「20~30キロ、どんと持っていっても受け入れてくれますので、助かります」

この事業を行っているのは、地元のママさんたち。20人近い女性で作られるNPO法人「日高わのわ会」。製造から箱詰めなど、すべてママさんたちが行っています。

シフト確認をしているようですが…。

日高わのわ会スタッフ(44):「日曜日はサッカー行くけど、土曜は大丈夫…」「(Q.サッカーというのは?)子どものサッカー」

皆さん、育ち盛りのお子さんを抱えるママさんたち。忙しい子育てと両立しながら、働いています。

日高わのわ会のモットーは「できる人ができる時間にできることを」です。

スタッフ(43):「自分の部署じゃなくても、困りごとや大変なことは手伝おうかって。おせっかいじゃないけど、助け合い」

加工場では、料理が得意なママさんたちが、野菜の皮むきから一つひとつすべて手作業。手間と愛情がたっぷり詰まっています。

現在、「とまとみそ」を筆頭に、パスタソースなど様々な加工品を製造。年間2000万円を売り上げるヒット作に。

■“地域の小さな困りごと”解決…23事業展開

そして、この女性こそが、ママさん軍団のリーダー。2男2女に、7人の孫を持つおばあちゃん、「日高わのわ会」設立スタッフ・安岡千春さん(63)です。

一体、どんな活動をしているのでしょうか?

安岡さん:「困っている人がいたら、何かできる方法はないか?お母さんの細かいおせっかいが、活動の原点」

元々保育士として、子育て支援センターに勤務していた安岡さん。そこで、ママたちの厳しい現実に直面しました。

スタッフ(41):「小さい子を抱えている女の人は、雇い先がなくて…」

安岡さん:「お母ちゃんたちも時間がちょっとあるけど、その時間使うところがなくて」

働きたくても、子育て中だと働き口が見つからない。そんなママたちが活躍できる場所として「わのわ会」は生まれました。

そこで目を付けたのが、“地域の小さな困りごと”。主婦が短時間でもできる高齢者への「買い物代行サービス」です。

お客さんは、車いす生活を送る須内さん(79)。購入したのは、コーラやお菓子など。

須内さん:「全部(自分で)買い物しようと思ったら、一日かかる。まぁ金はどっさりありますが」

買い物以上に、自然に生まれる会話が癒やしになっているといいます。

須内さん:「1人でいると話し相手もおらんし、ありがたいですよホンマに」

安岡さん:「皆、自分の生まれ育った家で、ずっと暮らしたいと思っている。その思いをかなえるための色んな小さなサービスを仕事にしていく」

過疎村の行政だけではカバーしきれない、高齢者や障がい者支援など、23にもおよぶ事業を展開しています。

■50万食超売り上げ…村外から人呼ぶ“仕掛け”

そんな安岡さんに憧れ、この村に移住してきた女性もいます。

小野加央里さん(41)は、元々東京の広告制作会社で勤務していました。地域のボランティア活動を通じて知り合った安岡さんにほれ込み、6年前、日高村に移住してきました。

小野さん:「この人、なんかすごい人だな。ご飯を一緒に食べる感じで、皆のお世話をする。困っている人の話を聞く。お母ちゃんが、皆の名もない家事をやるように、色んな人のおせっかいをやったりとか、気付いたら(日高村に)移住した」

安岡さんは、村外から人を呼ぶ“仕掛け”も生み出しました。それが「オムライス街道」です。

村を貫く国道沿いの飲食店に声を掛け、それぞれの店で、地元産トマトを使ったオムライスを提供する村おこし。これまで50万食以上を売り上げ、“トマト村”として一躍全国区になりました。

きっかけは、安岡さんが生み出した「トマトソース」。商品を開発するため、なんと48歳の時、高知大学に学生として入学したそうです。

安倍晋三総理大臣(当時):「高知大学で食品ビジネスを学んだ安岡千春さんは、日高村で栽培されたトマトを使って、ソースやジャムの商品開発に挑みました。特産品のトマトが新しい付加価値を生み、日高村の新たな活力につながっています」

「過疎村の理想モデル」として、世界中から視察が相次ぎ、その数2000件。菅義偉総理大臣時代には、内閣総理大臣賞も受賞しました。

高知県日高村 戸梶眞幸村長:「加工品を開発して頂いて、それが村の特産品として全国に発信できる。その功績は、やはり大きい」

■定期的に新メニュー考案…気になる味は?

オムライス街道には安岡さんたちが運営する、お母ちゃん食堂もあります。

キッチンでは、何やら試作中の様子です。

オープンから10年を迎えたオムライス街道。リピート客にあきられないよう、定期的に新メニューを考案しているそうです。

スタッフ(48):「まずは、私らが何を食べたいか」

果たして、どんなオムライスが仕上がるのか。完成すると、さっそく事務所スタッフにお披露目。

すると、野菜やナムルと炒めた牛肉に韓国の万能味噌コチュジャンと、あの「とまとみそ」をたっぷりまぜて、ビビンバ風に仕上げた一品が登場。まさに、日韓の万能味噌がコラボした、その名も「日韓オムライス(仮名)」です。

果たして、そのお味は…?

スタッフ(24):「おいしい。オムライスっぽさは…ないけど…」

日高わのわ会自慢の「とまとみそ」をふんだんに使った「日韓オムライス」。皆さんもぜひ、食べてみては!?
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事