大阪に“商店街まるごとホテル” 空き店舗を活用!(2023年4月29日)

大阪に“商店街まるごとホテル” 空き店舗を活用!(2023年4月29日)

大阪に“商店街まるごとホテル” 空き店舗を活用!(2023年4月29日)

 ゴールデンウィークに、「今年こそは旅行に出掛けるぞ!」という人も多いかもしれない。そこで大阪のある商店街とホテルがタッグを組んだユニークな取り組みを、島本真衣アナウンサーが取材した。

■新発想!“和洋菓子店”を客室に

 東大阪市最大の商店街・布施商店街。下町情緒あふれる店が軒を連ね、長年地元の人の暮らしを支えてきた。

 一見、普通の婦人服店なのだが…。

 SEKAI HOTEL Fuse・久米佑宜支配人:「元々商店街にあった空きテナントをホテルにリノベーションして運営している。ちょっと変わったホテルになっています」

 この元婦人服店がフロントになっていて、客室は商店街を2分ほど歩いた別の場所にあるという。

 久米支配人:「こちらが当館の客室になっております」

 商店街に面した、この建物が客室だという。

 元々2階建ての和洋菓子店だったこの客室は、1階部分も含めると74平方メートルある。1泊およそ6万円で、最大6人まで泊まれるという。

 そして、この部屋最大の特徴がオーシャンビューならぬ、まさに“商店街ビュー”になっているのだ。

 こうした、客室が全部で6棟、商店街に点在しているという。

 このホテルを手掛けたのはリノベーション会社「SEKAI HOTEL」の久米さん。なぜリノベーション会社がホテルの運営をすることになったのか…。

 久米支配人:「1つは商店街の空き家問題を解決するため。もう1つは、観光として成り立っていない地域が多くある中で、ホテルという媒体を使って、その町の魅力を発信できる。そんなホテルがあるといいなという思いで、こういう事業に至りました」

■440店舗→270店舗に減少「かなり減った」

 布施商店街は、戦前に誕生し、戦後は商店街周辺の町は鋳物や金属加工などの工業が栄えた。高度経済成長期には「ものづくりの街」として、工場が立ち並び発展してきた。

 商店街が最もにぎわった1984年には、440ほどの店があった。しかし、店の後継者不足や大型商業施設の進出で、今では、およそ270に減少、空き店舗が目立つようになっている。

 買い物客(70代):「(店が)かなり減ったな。シャッターおりているところは多いね」

 こうした商店街が抱える問題を解決するため、2018年から空き店舗を客室に改装する取り組みが始まったという。

 さらに、商店街を巻き込んだ取り組みも…。

 久米支配人:「商店街まるごとホテルに見立てました」

■若者を中心に…宿泊客月300人以上

 東大阪市の布施商店街では、空き店舗をホテルの客室に改装する取り組みが行われている。

 さらに、商店街全体をホテルにするというのだが、どういうことなのか?

 案内されたのは、地元で愛される蒲鉾店だ。

 ホテルに宿泊すると付いてくるのが、食べ歩き専用パス。提携店で100円相当の割引やおまけがもらえ、宿泊者が商店街を巡ることにより、街全体にお金が落ちる仕組みとなっている。まさに、商店街まるごとホテルなのだ。

 蒲鉾店:「宿泊者の方は、結構来てくれるようになりましたね」

 そしてディナー会場は、提携した大阪名物・お好み焼き店に行くと、ドリンク一杯がサービス。

 朝食は喫茶店のモーニングセットが無料に。さらに、1906年創業の老舗で和菓子作り体験も。

 一日の終わりには、商店街自慢の“大浴場”へ。1958年創業の銭湯では、薪で沸かしたお湯で旅の疲れを癒やすことができる。

 昔ながらの商店街と一体となった取り組みは、リアルな昭和レトロが体験できると、今では若者を中心に月に300人以上の宿泊客が訪れる人気のスポットになっている。

 布施商店街連絡会・加茂守一会長(73):「『この(商店)街自体がホテルや』という感覚でおってもらっているから、非常にいいことやなって思うてます」

 久米支配人:「(布施商店街は)大阪の下町らしい文化もたくさん残っていますし、粋な商人もたくさんいるので、布施らしい体験を商店街の皆さんと作って提供できたらいい」

■空き店舗対策 静岡では「ビル泊」

 周囲の飲食店などとタッグを組み、地域活性化の試みをしているホテルが全国に広がっている。

 中小企業庁の調査によると、全国におよそ1万4600の商店街があるそうだ。

 空き店舗についてアンケートを実施したところ、「直近3年間で商店街の空き店舗が増えた」と答えたのは、全体の33.3%に上っている。

 そんな中、静岡市の商店街と協力し不動産会社が手掛けているのが、空室になった商業ビルのフロアをまるごとホテルに改装した、その名も「ビル泊」。

 静岡市中心部にビルに8つの部屋があり、広さは50平方メートル以上あるそうだ。

 ホテルでは、地元の飲食店や土産物店を積極的に紹介するなどの取り組みをしているという。

■“スナックの店舗”改装 店名が部屋の名前に

 さらに、青森県弘前市の繁華街にあるのが、「グッドオールドホテル」。

 ビルのスナックがあったフロアをホテルに改装。一店一店が部屋になっている。

 11部屋すべてに当時の看板が掲げられていて、お店の名前が、そのまま部屋の名前となっている。

 内装はすべて雰囲気が異なり、照明やドア、ステッカーは、営業していたスナックのものが、そのまま残されているそうだ。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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