スーダン国軍 民兵組織と戦闘激化270人死亡 邦人“60人滞在”自衛隊機派遣へ(2023年4月19日)
国軍と民兵組織の激しい戦闘が続くアフリカのスーダンを巡り、松野官房長官が19日午後、緊急会見を開きました。日本政府は約60人いる在留邦人の退避に向けて、現地に自衛隊機を派遣する準備に入ったということです。
■スーダン国軍 民兵組織と戦闘激化
ハルツーム。北東アフリカ、スーダンの首都です。町は爆発音、そして銃声に包まれています。
旅行者が撮影した映像です。
旅行者:「友人と一緒に路上で身動きが取れなくなった。軍隊が多くの道を掌握して、すべての車を検問している。横断しようとしたら銃を向けられたので逃げ出した」
今月15日、首都ハルツームで激しい戦闘が勃発しました。
旅行者:「銃声で目が覚めました。ハルツームで爆発音が聞こえます」
塀にできた穴から脱出するのは、大学生たちです。戦闘勃発で4日間、キャンパスに閉じ込められていたといいます。
戦闘は続き、WHO=世界保健機関によりますと、少なくとも270人が死亡し、2600人以上が負傷しました。
NGOボランティアとしてスーダンに滞在する日本人に話を聞きました。
■現地日本人語る“衝突と実態”
日本国際ボランティアセンター、スーダン在住・今中航さん:「緊張が高まっているとニュースにもなっていて注目はしていたんですけど、まさかここまでエスカレートするとは予想していなかったです。今回、衝突があった場所はハルツームのわりと中心の場所でもある。たくさんの一般市民が暮らしているところです」
衝突しているのは、スーダン国軍。そして、準軍事組織のRSF=即応支援部隊です。
RSFは、国連が世界最悪の人道危機と呼ぶスーダン西部ダルフールの紛争で政府側に協力した民兵が発展したもの。アルジャジーラによりますと、2013年に設立され、2015年には正規軍の地位が与えられたといいます。
重用されたのは、軍のクーデターから大統領を守るため。しかし、2019年、30年に及ぶバシル独裁政権が崩壊し、軍はおととし、クーデターで実権を掌握しました。
軍は去年12月、民主派勢力と民政移管で合意したものの、問題となったのがRSFです。
日本国際ボランティアセンター、スーダン在住・今中航さん:「12月に軍と民主勢力が枠組み合意をしたんですね。ただ、最終合意の中身は軍の統一というものが求められていた」
軍の統一。RSFの国軍への統合です。これを巡り、両者の対立が強まっていたのです。
■邦人“60人滞在”自衛隊機派遣へ
日本国際ボランティアセンター、スーダン在住・今中航さん:「スーダンは金の生産量がすごく多いが利権のほうはRSFが持っていて、上の立場にいる人たちは権力とかお金を失ってしまうのを危惧して、統一することに抵抗感があった」
戦闘が続くなか、EU(ヨーロッパ連合)の大使が暴行を受けたり、アメリカの外交官の車列が襲撃を受けたりするなど外国人への被害も出始めています。
ブリンケン国務長官:「けさ、国軍・RSF双方に電話をし、24時間の一時停戦を促した。家族が再会し、必要な物資を届けるためです」
国軍、RSFともに一時停戦を受け入れましたが。
旅行者:「24時間の停戦は守られていないようです。また戦闘が起こっています」
日本政府は19日、緊急の会見を開きました。
松野官房長官:「在留邦人の生命・身体に被害が及んでいるとの情報に接していませんが、水・食料が不足し、頻繁に停電が起こるなど厳しい状況にあると承知しています」
日本政府によりますと、スーダンには大使館員をはじめ、日本人やその家族が約60人滞在しています。
政府は、自衛隊機を派遣する準備を始めました。
首都ハルツームでは爆撃を受けるなどして閉鎖する病院も出てきています。
病院スタッフ:「病院では多くの物が不足し、医師は居なくなりました。今は誰もいません」
人々が長い列をなすのは、パンを売る店です。生活物資の入手もしづらくなってきています。
市民:「あの行列を見て下さい。近隣6つの地区で営業しているパン屋はここだけです。水と電気がないからです」「大変です。水も電気もありません。恐ろしいです。この4日間はよく眠れていません。子どもたちも怖がっています」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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