安倍氏銃撃事件から何が変わった?総理警護の変更点と残った課題(2023年4月15日)

安倍氏銃撃事件から何が変わった?総理警護の変更点と残った課題(2023年4月15日)

安倍氏銃撃事件から何が変わった?総理警護の変更点と残った課題(2023年4月15日)

現役の総理大臣の近くに爆発物が投げ込まれた今回の事件。岸田総理大臣をはじめ、多くの聴衆を巻き込む可能性もありました。投げ込まれた直後には、近くにいたSPがすぐに防弾仕様と見られるカバンを広げ、岸田総理を爆発物から遠ざけました。

(洞爺湖サミットで警備を指揮 元警視総監池田克彦さん)
『選挙の警護は本当に難しいと思っている。できるだけ不特定多数の方に接触することが選挙演説の特徴なので、これは警護的には非常に危ない状況を作っている』

(警視庁幹部)
『まだ調べてみないと分からないが、ローン・オフェンダーの可能性もある』

「ローン・オフェンダー」とは、特定の組織に属さず、単独でテロ行為に及ぶ人のことを指します。9カ月前、安倍元総理を銃撃した山上徹也被告も単独犯。再び「ローン・オフェンダー」対策の課題が浮き彫りとなりました。岸田総理は安倍元総理の銃撃事件の翌日、山梨県を訪れ、街頭演説を行っています。この時、会場には金属探知機が持ち込まれ、手荷物検査などの厳重な警備態勢がとられました。一方、今回の岸田総理の演説会場では…

(木村容疑者の近くにいた人)
Q荷物検査はあった?
『なかった。周りには必ず警察や警備の方がいた。バーとコーンで仕切っているブロックの中で(演説を)聞いてくれと案内はされた』

安倍元総理の銃撃事件では、警護員の情報共有や指揮が不十分で、安倍元総理の後方の警戒に隙ができていた、などの問題点を警察庁が明らかにしています。この時は警護員がガードレールの外側にもいましたが、一部の警護員の判断で演説直前に中に入りました。さらに、主な警戒方向も前方へ変更。想定以上に前方の聴衆が増えたのがその理由でした。しかし、離れた位置にいた警備の指揮官らとは意思の疎通を欠き、警戒方向の変更までは共有されませんでした。

そして、この事件をきっかけに警察庁は「警護要則」を28年ぶりに見直しました。

(警察庁露木康浩長官 2月)
『警視庁も関与した上で、全国の都道府県警察を挙げて警護の刷新に現在も取り組んで行く』

例えば、安倍元総理の銃撃事件の警備では、奈良県警が警護計画案を作成し、その後、実際に警備を実施する、という流れでした。新しくなった警護要則では、警察庁が計画の基準を提示した後に、都道府県警が計画案を作成。それを再び警察庁が審査して、修正点などを指示します。警備を実施した後も結果を報告させる、という流れになっています。

今回の警備もこの警護要則に基づき行われ、和歌山県警が策定した警護計画を警察庁が事前審査していたと言います。

(事件の目撃者)
『何日も前からSPの人たちが下見をずっとやっていた』

しかし、改めて「警備の難しさ」が浮き彫りになっています。岸田総理が演説場所に到着すると、周りを囲むようにしていたSPたちが、視界を遮らないように移動。そして、この瞬間、SPたちの目線は、木村容疑者がいる聴衆の方向からは外れているようにも見えます。爆発物が投げ込まれたのは、この直後でした。

(洞爺湖サミットで警備を指揮 元警視総監池田克彦さん)
『SPもみんな岸田総理と同じ方向を見ている。どうしても総理と同じ方向を見てしまうと思う。そういう意味では背後は大変危ない』

安倍元総理の銃撃事件以降は、SPの組織の強化も図られていました。警察庁は去年11月から、皇室の警護と要人の警護を専門とする「警備2課」を新たに発足させました。3月には、警視庁のSPが異例の公開研修も行ない、全国の警察から派遣された警護担当の警察官に対して、襲撃者への対応などを指導しています。一方で、警視庁の幹部は今回の事件について…

(警視庁幹部)
『警備の薄い地方が狙われたのかもしれない』

今後の選挙の警備態勢に、どんな影響があるのでしょうか?

サタデーステーション 4月15日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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