逃れた国の違いで“運命が分かれた”兄弟も…入管法改正案が国会審議入り 「仮放免」当事者たちの思い【報道特集】|TBS NEWS DIG

逃れた国の違いで“運命が分かれた”兄弟も…入管法改正案が国会審議入り 「仮放免」当事者たちの思い【報道特集】|TBS NEWS DIG

逃れた国の違いで“運命が分かれた”兄弟も…入管法改正案が国会審議入り 「仮放免」当事者たちの思い【報道特集】|TBS NEWS DIG

国会で審議入りした入管法改正案。改正案では3回目の難民申請からは強制送還になりうるとしています。逃れた国の違いで運命が分かれた兄弟。日本で生まれ育った子供がいるケース。当事者たちの思いを取材しました。

■“入管法改正案”が審議入り 「難民申請」と「強制送還」のあり方とは

4月13日、不法滞在中の外国人の迅速な送還などを目的とした“入管法改正案”が国会で審議入りした。

傍聴席には、名古屋の入管施設で死亡したウィシュマ・サンダマリさんの遺族が。

改正案はウィシュマさんの死をきっかけに批判が高まり、廃案になった2年前の法案と大きく変わらないとの指摘がある。

立憲民主党 山田勝彦 議員
「難民申請中でも送還を可能にするなどの、前回の改悪案の骨格を維持している」

斎藤健 法務大臣
「旧法案は大きく修正しており、『改悪案の骨格を維持』とのご指摘は当たりません」

今の法律では、難民申請中であれば何回目の申請であっても国に送還されることはない。しかし政府は、この仕組みが不法滞在を続ける手段になっていると問題視。改正案では、3回目からは新たな資料を提出するなどしない限り、強制送還になりうるとした。

ウィシュマさんの妹 ワヨミさん
「姉の事件が解決されていない状況で国が入管法改正について議論することが、私には理解できない。皆さんの協力が必要です」

ミャンマーから逃れてきた男性は…

ミャンマー国籍 ミョーチョーチョーさん
「日本は国連では『難民申請の人たちを受け入れて面倒みる』と話している。世界中のみんなが知っている。それなのに、裏切る法案を作っている」

■難民申請認められず“仮放免”に…「強制送還になったら逮捕される」

逃れた国の違いで、運命が分かれた兄弟がいる。埼玉県・川口市で暮らすクルド人のアリさんは17年前、トルコから来日した。入管の施設に収容された時期もあったが、今は「仮放免」の状態だ。

これまでに3回難民申請をしたが認められず、入管法が改正されれば強制送還になりうる。

一方、3つ年上の兄は1998年にトルコからドイツに逃れた。そして、5年後に難民認定を受けたという。

トルコ出身クルド人・アリさん(43・仮名)
「ドイツで撮ったパーティーだと思う。仕事もしています。自由というか…」

膳場貴子キャスター
「境遇としては同じなのに、ドイツでは難民と認められて日本ではあなたは難民と認められないと?」

「(日本で)難民申請をしてそのあとドイツに行く手続きもした。それもだめだった」

ーーどういう理由でだめなのでしょうか?

「オーバーステイと言われた。あと、1か月いくら使えるとか計算して、このお金が口座にないとビザがおりないと言われた」

日本での不法滞在と資金不足を理由にドイツへのビザは発給されなかったという。

ーートルコに送還されたらどういう危険が?

「逮捕になると思う」

ーー何で逮捕されるのですか?

「クルド人、クルド民族だと迫害される。トルコから見ると(クルド人は)テロリストと思われている」

1980年代、トルコでは、クルド人国家の樹立を掲げた「クルド労働者党」がトルコ政府と武装闘争を開始。クルド人は「国家を持たない世界最大の民族」と言われ、虐げられてきた。

埼玉県・川口市周辺には、1990年代頃から故郷を追われたクルド人たちが住み始め、今は約2000人が暮らしているという。

「仮放免」のアリさんは、事前に入管の許可を得ない限り住んでいる都道府県を出ることはできない。

トルコ出身クルド人・アリさん(43・仮名)
「日本に17年間滞在して、川を渡っちゃ行けないというのは寂しい。県外に出ちゃいけないのは、結局収容されているのと一緒です。日本には自由があるが私たちにはない。でも日本は安全だし安心」

アリさんは日本で働いて、家を買い、自由に暮らしたいと望んでいる。

「改正案通ったら(在日クルド人は)みんな大変だと思う。次々強制送還になったらどうなるか分からない正直。そこまで考えたくない」

■「俺達には将来がない」 日本の難民認定率“0.7%”は国際感覚から乖離?

日本で生まれ育った子どもがいるケースもある。クルド人のロニーさん(仮名)は22年前、トルコから来日。クルド人の妻との間に、11歳の長女と生まれたばかりの長男がいる。

家族仲良く暮らすロニーさん。しかし、母国に戻れば迫害される恐れがあるほか、SNSでトルコ政府を批判したことがあり、逮捕される可能性もあるという。

ただ日本で“難民申請”は認められず、一家全員、保障がない「仮放免」の立場で生活している。

ロニーさん(仮名)
「俺たちにはもう将来がないんですよね、日本にいるとね。だって住民票がない、健康保険証はない。本当に何もない状態ですよ」
「子どもたちが病気しちゃいけない。病気するとすごく大変なんですよ」

そんな中、3回以上申請した人が“強制送還”となりうる法案に不安を募らせる。

ロニーさん(仮名)
「(入管難民法が)改正したら、僕、4回ぐらい難民申請しているから無理やり帰されるわけで…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20230415-6079393)

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