【独自】「兵士は無事だ」ロシア軍の製鉄所“突入”を否定 内部でいま何が? (2022年5月5日)

【独自】「兵士は無事だ」ロシア軍の製鉄所“突入”を否定 内部でいま何が? (2022年5月5日)

【独自】「兵士は無事だ」ロシア軍の製鉄所“突入”を否定 内部でいま何が? (2022年5月5日)

 ウクライナ情勢について、マリウポリ最後の砦(とりで)とされるアゾフスタリ製鉄所にロシア軍が突入したと伝えられるなか、製鉄所内のウクライナ兵を指揮する司令官が内部の様子を明かしました。

 街のほぼすべてがロシア側の手に落ちた南部のマリウポリ。アゾフスタリ製鉄所がウクライナ側の最後の拠点です。今も多くの兵士が立てこもっていますが・・・。

 マリウポリ、ボイチェンコ市長:「残念ながら、きょう兵士らとの連絡が途絶えました。何が起きているのか、無事なのかどうか、知る術がありません」

 多くの民間人も地下に隠れるなか、果たして現地では何が起きているのでしょうか。

 明るい日差しのもと、犬と散歩をする女性(25)。

 製鉄所から脱出した女性:「ようやく平和の空の下に避難できて、青空と明るい太陽が見られました。長い間、ビタミンDが足りなかったので、しばらく日焼けしてしまうかも」

 今、その顔には柔らかい笑顔が浮かんでいますが、つい3日前までは日の届かない場所で恐怖の日々を送っていました。アゾフスタリ製鉄所の地下です。

 製鉄所から脱出した女性:「2月24日の朝は激しい爆発音とたくさんの砲撃で始まりました」

 マリウポリはロシアによる侵攻が始まった当初から激しい攻撃にさらされ続けました。

 女性は母親が製鉄所で仕事をしていたため家族で話し合い、製鉄所の地下シェルターに隠れることを決めたと言います。

 製鉄所から脱出した女性:「4月には砲撃がどんどん激しくなって、前よりさらに大きく大変になりました。新しくミサイルの音も聞こえるようになりました。攻撃が戦闘機からか、軍艦からなのかも聞き分けられるようになりました」

 女性は1日、製鉄所の地下から脱出することができました。気に掛かるのは今もまだ残る民間人、そして負傷した兵士たちです。

 ゼレンスキー大統領:「マリウポリからの避難の第2弾が本日、完了した。市内と郊外から344人が救出された」

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、マリウポリの街や周辺から344人が避難できたと明かしました。ただ、アゾフスタリ製鉄所については・・・。

 ゼレンスキー大統領:「引き続きアゾフスタリ製鉄所とマリウポリから人々を助け出せることを期待している。まだ女性や子どもたちなど市民が残っている。彼らの命を守るためには攻撃の停止が必要だ。ウクライナ側は準備ができている」

 ロシア側はウクライナ東部での攻撃を激化させています。ハルキウでは一体、何のためなのか、遊園地の遊具が次々と爆撃されました。

 そして、マリウポリです。

 ウクライナ、クレバ外相:「ロシアはマリウポリを完全に制圧したと主張しているが真実ではない。ウクライナ側の最後の拠点であるアゾフスタリ製鉄所では、まだ抵抗を続けている」

 その街に残った唯一の抵抗の拠点、アゾフスタリ製鉄所。4日に撮影されたという映像では、複数の場所から黒い煙が立ち上っていることが確認できます。

 マリウポリの市長は・・・。

 マリウポリ、ボイチェンコ市長:「きのうまでは兵士らと連絡が取れていたが、残念ながらきょうは何も言えません。英雄たちのために祈るだけです。国全体に対する功績に感謝しています」

 市長はアゾフスタリ製鉄所で4日に激しい戦闘が起き、兵士らと連絡が取れなくなったと話します。また、地下には子ども30人が残っていると言います。一方、製鉄所にいるアゾフ大隊がSNSに投稿した短い映像では・・・。

 アゾフ大隊・プロポペンコ司令官:「敵が製鉄所に侵入して2日目になります。激しい血みどろの戦いが続いています。敵の圧力を押しとどめるために最善を尽くしている兵士たちを誇りに思う」

 現地では何が起きているのか・・・。

 アゾフ大隊、マクシム・ジョリン司令官:「彼らは1メートル単位の領土を、この2日間ずっと争い戦っている」

 その戦闘の激しさをアゾフ大隊の司令官から聞くことができました。

 「ハエ一匹通れないよう封鎖しろ」。プーチン大統領がそう命じたアゾフスタリ製鉄所。マリウポリの市長によりますと、ウクライナ側の兵士との連絡が途絶え、激しい戦闘が発生しているといいます。

 一方、ロシアのペスコフ大統領報道官はロシア側の攻撃を否定しました。

 ペスコフ大統領報道官:「攻撃を中止するようプーチン大統領が公式に命令しました。攻撃はない状況です。しかし、ウクライナの過激派が射撃姿勢を取ったため、状況が悪化したケースはあります」

 確かにプーチン大統領は地下への突入は中止を命じました。ただアゾフ大隊の司令官は・・・。

 アゾフ大隊、マクシム・ジョリン司令官:「プーチンがアゾフスタリ製鉄所に対する攻撃を断念すると全世界に嘘をついた。その日ですらロシア軍は空襲も砲撃も続けていました」

 中南部のザポリージャにいるというアゾフ大隊のジョリン司令官によりますと、現在、地上部隊による戦闘も発生しているといいます。

 アゾフ大隊、マクシム・ジョリン司令官:「現在、現地では激しい戦闘が繰り広げられています。ロシア軍はきのうから戦車と歩兵、装甲車で積極的に攻めてきています。1メートル単位の領土をこの2日間ずっと争っています。ロシア軍はまだ突入に成功していませんが、これからも攻撃は続くし、戦力を投入し続けると思います」

 司令官によりますと、現地の兵士との連絡は取れているといいます。

 アゾフ大隊、マクシム・ジョリン司令官:「攻撃を受けているのは地上の建物です。民間人がいる地下の施設も一部、打撃を受け、がれきの下敷きになった人もいます。ただし誰が生き延び、誰が死んだか、現在調べることは不可能です」

 ゼレンスキー大統領はアゾフスタリ製鉄所から156人を救出することができたとしています。

 ただ元々、製鉄所の地下に逃れていた民間人は約1000人いたと見られています。

 今もなお数百人の女性や子ども、高齢者が激しい攻撃から逃げ出すことができずにいます。そしてアゾフ大隊によりますと、2日にロシア側の空襲によって女性2人が死亡したと言います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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