4年間で“総額5億円”か・・・葛飾区が保育所に補助金“誤支給”なぜ?(2022年6月10日)

4年間で“総額5億円”か・・・葛飾区が保育所に補助金“誤支給”なぜ?(2022年6月10日)

4年間で“総額5億円”か・・・葛飾区が保育所に補助金“誤支給”なぜ?(2022年6月10日)

 東京・葛飾区が私立の認可保育園へ補助金を誤って多く支払っていた問題です。支給額は総額で5億円に上る可能性があることが新たに分かりました。なぜ区は4年もの間、誤った支給を続けていたのでしょうか。

 区議会の議員は嘆いています。

 葛飾区議会日本共産党・木村秀子議員:「議論にならない。おおよその園の数ぐらいは答えて下さるかなと思ったらそれもできなかった」

 問題が明らかになったのは東京・葛飾区。87の保育園への補助金が誤って多く支払われていたといいます。

 区議会議員によれば、期間は4年にわたり総額5億円に上る可能性もあるといいますが、葛飾区長は・・・。

 葛飾区・青木克徳区長:「(Q.総額、規模、委員会で見ていたが、どれくらい誤って支給したか?)まだ聞いてないです」「(Q.取材だと5億円という話が。規模感は聞いていない?)実際の状況を把握していると。検討していると。中身を調べている段階と聞いていますので、まだはっきりとしたことは聞いていません」

 葛飾区で一体、何が起きているのか・・・。

 葛飾区の補助金は、私立の認可保育園がパート勤務の保育士を雇った際、区から保育園に支払われました。

 具体的には、区の職員が作った表計算ソフトを使用。この計算式が間違えていた可能性があります。対象となる保育士の人数を誤って2倍にしてしまい、補助金も多くなってしまったといいます。

 「払いすぎた額」は区なら分かるはずかとも思うのですが・・・。

 葛飾区・青木克徳区長:「(Q.規模感は?)私は今の時点では分かりません。あくまでそういうことがあったという報告を受けて、今のお話では何億とかあるとか聞いていますけども、それは具体的に聞いていませんので分かりません」

 保育園側は気付かなかったのか。実は先ほどのCG(コンピューター・グラフィックス)は、あくまで概念図。こちらが実際の計算式です。

 園児の年齢で請求する人数が決まり、0歳児なら人数が3倍、1、2歳児なら1.5倍などとし、そこから15を引き、15で割るなど・・・かなり複雑です。

 番組が取材した保育園は、この計算について、「入力は、区から表計算のシートが来て、ここはこう入力して下さいなどのガイドがありその通りに入力した」。

 間違いは、今年3月に判明しました。こちらは同じ保育園の間違えていた時期と「修正後」の計算結果です。

 間違えていた時期は0歳児が10人になっていますが、そもそもこの保育園に10人を保育する能力はありません。修正後は3人となっていて、これが適正な人数です。

 こうしたミスによってパートの保育士の人数が計算され、補助金が支給されました。

 葛飾区議会自民党・池田久義議員:「(Q.チェック体制という意味では問題があった?)問題ありましたね。完全に保育園の経営者は被害者だと思いますよ、僕は。そこはぜひ助けてあげなきゃいけない」

 補助金を返還するとなると、保育園の経営は苦しくなる可能性があります。

 保育園を考える親の会・普光院亜紀さん:「『一気に返してくれと』となりますと、保育士さんを今まで通り補助の先生が雇えるかとか、子どもが受けられる保育が手薄になってくる、質が落ちてくるところが心配されます。待遇が悪くなって、辞めてしまわれる先生が出るという恐れもあります」

 そもそも、返済の義務はあるのか。専門家は・・・。

 弁護士・大澤孝征氏:「(多い補助金に)気付いていた場合ひょっとして間違えて振り込んでいるんじゃないかと。分かっているけど、いいや使っちゃえということになれば、これはある意味で財産上の故意犯意が認められるということで横領の成立が考えられる。ところが本当に気付かなかったと、信じていましたということになると全く犯意がないのでこれを罰することは多分できない」

 区民の思いも複雑です。

 葛飾区は保育園に全額返還を求める方針です。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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