「中古重機」即売会 総売上29億円 外国人バイヤー殺到 新車より高くても売れる理由(2023年4月14日)

「中古重機」即売会 総売上29億円 外国人バイヤー殺到 新車より高くても売れる理由(2023年4月14日)

「中古重機」即売会 総売上29億円 外国人バイヤー殺到 新車より高くても売れる理由(2023年4月14日)

 今、クレーン車やショベルカーなど中古の大型重機の価格が新車以上に高騰しています。その理由は、メンテナンスの行き届いた「ユーズド・イン・ジャパン」を求める海外のバイヤーたちです。

■日本の「中古重機」がほしい…即売会に殺到

 千葉県山武市に来ています。この周りは畑で囲まれているのですが、すぐ近くで高額な取引が行われるオークションが開催されるということです。

 午前7時前ですが、すでにかなりの人が並んでます。朝早くからやって来た人々。

 来場者:「群馬から。(ここまで)3時間くらい。良い位置に座りたい」「都内から来ました。予算は決めてない」「買えるかどうかは、金額次第」

 午前7時、開門。小走りで会場に向かう人もいます。かなりの数の重機が、ずらりと並んでいます。

 行われていたのは、日本最大級の中古重機のオークション。主催しているのは、重機の買い付けや販売などを行う「相互通商株式会社」です。

 3日間で638台が売りに出されますが、驚くのはその値段です。

 相互通商 営業部・冨塚達也次長:「総額の売り上げが、20億円から22億円を予想」

 用意されたおよそ600席は、あっという間に満席に。会場には、女性や外国人の姿もありました。なぜ、重機を買いに来たのでしょうか?

 来場者:「(Q.お仕事は何を?)建設業。自分の仕事で使います。パワーショベルとかローラー。(予算は)買えば、いつも1000万円くらい。2台くらいじゃないかね」

 Rエンジニアリングトレーディング・杉山恵美専務取締役:「自社で使う中古重機もあるんですけれど、ほとんどは国内のユーザー向けの販売と、海外への輸出」

 Rエンジニアリングトレーディング 杉山心道代表取締役:「海外では、大型のホイールローダーの金額が高騰している。中古の機械を欲しいっていう人がいる」

■“新車”より高くても…次々に売れる理由

 午前8時、いよいよオークションのスタートです。まるでランウェイのように次々と重機が運ばれ、セリにかけられていきます。

 バイヤーたちに向けての動きのアピールタイムが行われています。1台のセリにかかる時間はおよそ2、3分。このペースで、休みなく夕方まで駆け抜けます。

 クレーン車ともなれば数千万円にも。それが次々と落札されるなど、取引価格のスケールが違います。

 バイヤーの季山さんは、スタート価格が250万円のお手頃なクレーンを狙い、セリに参戦します。

 ところが、ものの数秒で380万円に跳ね上がります。結局、別の人が425万円で落札。わずか10万円届かずでした。

 サカモト産業・季山勤係長:「あげた金額が、元々設定してた金額を超えてた。どんどん釣りあがったので、これはもう勝てないと思って諦めた」「(Q.イヤホンで、誰と連絡取っていた?)海外のお客さん。こんなもんですね。とれる時もあれば、とれない時もある」

 先ほどインタビューに答えてくれた、バイヤーの杉山さん。産業廃棄物の処理や運搬を行うかたわら、中古重機の販売も事業として行っています。

 今回のお目当ては、550万円のショベルカー。しかし、700万円を超えると、あっさりとセリから降り、アツアツのケータリングを食べ始めてしまいました。

 1500万円から始まるブルドーザーの落札にもチャレンジしますが、気が付けば、あっという間に2700万円に。これにはもう、立ち上がるしかありません。

 杉山代表取締役:「当時、新車で2500万円。ここ1~2年は相当高いです。新車の納車が遅れているので、ブルドーザーで言えば、1年前に頼んでいるのに、まだ(納期)未定」

 現在、新車の流通が滞っているため、中古の重機が新車を超える値段で取り引きされることもあるのです」

 冨塚次長:「半導体不足等で、新車の納期が非常に伸びていて。程度のいい中古の建機で、間に合わせようというお客様が多い」

■オンラインでも…外国人バイヤー多数参加

 一体、誰が落札しているのでしょうか?

 今回のオークションは、海外からオンラインで参加する人も多く、かなりの重機が、中国や韓国、東南アジア方面の富裕層によってセリ落とされていたのです。

 会場でも目に付くのは外国人の多さ。この日、参加者の4割は外国人バイヤーでした。

 スリランカ人バイヤーのラサンタさんは日本に住み、様々な重機を母国へ送っています。

 ラサンタさん:「スリランカの建物をつくったり、山を削ったり」「(Q.日本の重機に対するイメージは?)日本のは物が良いので、ダメな所があったら直す。日本で直すと人件費が高いから、向こうに持っていく。なるべく安く買いたい」

 ラサンタさんがセリ落としたショベルカーは海を渡り、母国スリランカの水道インフラ事業で活躍しています。

 冨塚次長:「諸外国の中古の重機に比べて、メンテナンスがちゃんとしている。メイド・イン・ジャパンだけでなく、ユーズド・イン・ジャパンの中古の重機が非常に人気」

 とのことで、少々古い重機も迷わず落札していきます。

 フィリピン人バイヤー:「グッドプライス!」「(サインして)どうもありがとうございます」

 2008年式、15年モノのショベルカーを240万円で落札。他国で購入するのに比べ、少し値が張りますが、それ以上の価値が日本製にはあるのです。

 当初20億円から22億円の売り上げを想定していたオークション。実際には、29億2375万円と過去最高額を記録しました。

 冨塚次長:「日本の新車の建機が売れれば、中古の建機は自然的に出てくるので。今後も中古の建機は継続的に、海外に輸出されると思う」

(「グッド!モーニング」2023年4月14日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事