【架空請求詐欺】「未納料金が…」音声公開 住所聞き出す巧妙手口(2023年4月12日)
去年1年間で100億円に上る被害が確認された「架空請求詐欺」。警察が公開した音声を聞くと、犯人が未納料金があると語りながら言葉巧みに住所などを聞き出す一部始終が記録されていました。
■「未納料金が…」住所聞き出す巧妙手口
詐欺グループの男：「NTTファイナンス『オオタニ』がお電話対応します」
架空請求を受けた人（60代）：「お世話になります。私●●です。今、そちらから電話があって…」
詐欺グループの男：「弊社の音声ガイダンスからの問い合わせでよろしかったですか」
架空請求を受けた人：「はい、そうです。未納料金が」
詐欺グループの男：「ご本人さま確認のため、お名前と生年月日をお願いします」
架空請求を受けた人：「名前××××、●年●月●日生まれ」
詐欺グループの男：「はい、ありがとうございます」
去年、NTTファイナンス「オオタニ」を語る人物とのやり取り…。これは「架空請求詐欺」の通話記録です。「ご本人さま確認のため」などと、言葉巧みに通話開始からわずか数十秒間で、宮崎に住む60代男性の名前や生年月日が知られてしまいました。
詐欺グループの男：「未納料金のご案内があったということですよね」
架空請求を受けた人：「はい」
詐欺グループの男：「こちらでお調べするので少々お待ち下さい。お待たせしました。今、登録情報の確認が取れまして、今回弊社よりご連絡があったということですが、昨年の10月15日に●●さまの携帯電話より総合ポータルサイト『SNOW』の登録をいただいておりまして」
架空請求を受けた人：「総合ポータルサイト…何ですか、もう一つは」
詐欺グループの男：「S・N・O・W。『スノー』です」
架空請求を受けた人：「スノー？あの…初めて聞きます」
詐欺グループの男：「初めて聞いたということですか？」
架空請求を受けた人：「全然記憶にないんですけど、1年間未納というのは私がドコモ経由で払うことになっているのですか？」
詐欺グループの男：「携帯電話の利用料金とは別料金となっておりまして」
架空請求を受けた人：「利用料金は月額いくらになってますか？」
詐欺グループの男：「こちらは950円になっていたんですが、強制解約が取られているので『解約の違約金』『遅延損害金』『事務手数料』などが含まれ、29万9600円が未納になっている」
■「支払い義務が」追及に態度一変
男性には全く身に覚えのない請求です。架空請求を追及すると相手の態度が一変しました。
架空請求を受けた人：「請求書も来てないし、契約した記憶もないし、初耳で、私としては理解不能な話」
詐欺グループの男：「未納状態が長期続いているので精算は確定しており請求も確定している」
架空請求を受けた人：「でしたら署名の書類を郵送していただけませんか？」
詐欺グループの男：「明日以降、民事裁判の手続きになってしまいますから」
架空請求を受けた人：「結構ですよ」
詐欺グループの男：「では、手続きさせていただきます。よろしくお願いいたします」
29万9600円を支払わなければ「民事裁判の手続きをする」と言い残し、電話を切った男。だまされることはありませんでしたが、「架空請求」を受けた男性は憤りを隠せません。
架空請求を受けた人：「料金未納になっているのに向こうは1年間放置していた。通常の金融機関では考えられない」「（Q.犯人に対してどう感じるか）許せない。自分で汗して働けと言ってやりたい」
実在するNTTファイナンスでは、会社名をかたった詐欺電話などに注意を呼び掛けています。
■巧妙手口「名前と生年月日お願いします」
同じような手口は、奈良県でも…。
架空請求を受けた人：「コンテンツ利用料の関係でメールが入って」
詐欺グループの男：「ではご本人さま確認としてお名前と生年月日をお願いします」
架空請求を受けた人：「はい、名前は●●で」
詐欺グループの男：「生年月日を昭和か平成でお願いします」
架空請求を受けた人：「●年●月●日生まれ」
警察庁によりますと、去年1年間に被害額は100億円にも上ります。警察は、不審な電話やメールなどが届いた際には最寄りの警察署や「＃9110」への連絡を呼び掛けています。
また、カンボジアを拠点にして犯行に及んでいたとされる19人について、少なくとも75件の特殊詐欺に関わったとみられます。
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