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【独自】歯科矯正トラブル…消えた20億円「夜の店に」 渦中社長70分激白「真実話す」(2023年4月11日)
歯の矯正を巡って、女性たちがクリニックの運営会社などに損害賠償を求めている問題。弁護団は11日、詐欺罪などでも刑事告訴する方針です。
そんななか、ついに運営会社の社長が取材に応じ、“消えた20億円”の行方について語りました。
■渦中の社長 70分に及んだ単独インタビュー
番組のカメラが入ったのは、銀座の歯科クリニックの運営会社「グランシールド」の社内です。
客から集めた20億円近くが、行方不明になっている今回の問題。カメラの前で初めてグランシールドの中村佳敬社長(45)が、取材に応じました。
中村社長:「(Q.20億円の所在は分かっている?)分かっていないです」「(Q.分からない?)弊社は1円ももうけというか、1円もお金は来ていないですし」
70分に及んだ単独インタビューで、中村社長が語ったこととは…。
■全国で約1700人…被害総額は20億円近く
被害130万円 女性(30):「借金も残ったまま、健康被害も残り、この先どうしたら良いか分からない状態です」
今年1月、会見を開き、涙ながらに被害を訴えた女性たち。
被害100万円 女性(35):「本当にあの…すみません。クリニック側と運営会社が責任取ってもらえるようにお願いしたいです」
女性ら153人は、銀座の歯科クリニックを運営するグランシールドなどに対し、総額2億円の損害賠償を求める集団訴訟を起こしています。
およそ2年前、歯並びに悩んでいた女性が申し込んだのが「マウスピース矯正モニター」でした。
モニター契約を結んで187万円を支払えば、治療を受けられるうえに、クリニック側から謝礼として毎月5万円がキャッシュバック。つまり実質、無料で歯の矯正ができるというものでした。
ところが、去年3月、突然クリニック側からこんな連絡がありました。
クリニック関連会社「アーサー」:「現状、資金移動が間に合っておらず、(謝礼金の)お支払い日の延長をお願いさせて頂きたいと思っております。ウクライナ、ロシア問題などの海外情勢の影響で、海外口座からの送金取引が停止しているということが主な要因です」
その後、クリニック側との連絡も取れなくなり、女性は治療をストップ。歯並びが悪化したうえに、130万円の借金が残りました。
弁護団によりますと、同様に集められた無料モニターは全国で、およそ1700人。被害総額は20億円近くに上るとみられています。
■社内会議の音声入手「突っ込みどころ満載」
番組はその後の取材で、ウクライナ侵攻のため、謝礼金の支払いが遅れたというクリニック側の説明を覆す、去年4月の社内会議の音声を入手しました。
中村社長:「ロシアとかウクライナとか、突っ込みどころ満載の文章が出ていたんですけれども、今となって思えば、あの時はあれが最善だったなっていうくらい笑える内容なんですね。炎上してくれぐらいの内容。出しちゃったものはしょうがない。後からネタになればなっていう」
「戦争が原因で謝礼金が支払えない」とした理由を中村社長自らが、「突っ込みどころが満載だ」と、茶化すかのような発言。さらに、当時の会議では、関連会社の「アーサー」に、責任を押し付けようという口裏合わせが行われたといいます。
幹部:「業務委託していた(関連会社の)『アーサー』が勝手にやってしまったことですという体にして。(関連会社の)『アーサー』という箱を使って、『アーサー』に責任を詰め込めるっていう感じ」
中村社長:「なので、そもそもその契約書を『アーサー』が勝手に作ったというストーリーに」
社内会議の音声を聞いた、被害女性は…。
被害130万円 女性(30):「完全にバカにしてますよね、この人。笑い話とか意味分からなくないですか。笑い話じゃないですよね。人をなんだと思ってるんでしょうか。契約書を偽造したとか、この契約書の向こう側に私たちがいるのを分かってないですよね」
■社長「真実を話したい」…取材に応じる連絡
番組はその後、2カ月間にわたって、中村社長を追跡取材。すると、本人から「真実を話したい」として、取材に応じる連絡があったのです。
カメラの前に姿を現した、グランシールド・中村社長。
中村社長:「(Q.今回、なぜ番組の取材に応じた?)事実と全く違うようなことが、世の中に広まっているのかなということがございまして。これは違うなということを感じました。それが私が表に何も対応しないことがきっかけになっているのだったら、私が表に出てきちんと真実をお話したうえで、責任あるところはきちんと対応していくということを皆様に発表しておきたいなと思って、取材に応じました」
中村社長は「責任あるところには、きちんと対応する」と語ったうえで、“矯正モニター”というビジネス構造について、説明を始めました。
中村社長:「経営、運営、総務すべてを任せていた『アーサー社』の小島という人間がいるんですが。歯科医師の伊藤ドクターとあと小島氏と僕で、3人でクリニックをやろうっていうところだった」
■20億円の鍵を握る男“小島社長”とは…?
中村社長によりますと、自らが社長を務めるグランシールドが運営資金を出資。モニターの管理は関連会社のアーサーの小島社長が行い、実際の治療計画については歯科医師の伊藤剛秀氏(44)が監修することになっていたといいます。ところが…。
中村社長:「2021年の夏ごろから、資金が足りないということになって。『足りないって、どういうこと?』と。運営がうまくいっていないのか、何なのか。きょう振り込まないと間に合いません、みたいな感じで」
2年前には、すでに自転車操業になっていたといいます。無料モニターは、最終的に全国で1700人近くも集められていましたが、小島社長の独断で規模が拡大してしまったと釈明します。
中村社長:「(Q.当初から1700人もの方をモニターとして受け入れる予定だった?)そんなにいるのかってことが、この状況が発覚した時に思いまして。最初、200~300人くらいのキャンペーンという形でやれたらいいなと。絶対、モニターだけでやるとなったら、破綻するというのは普通に考えても、誰が考えても、そういうふうに思うと思うので」
中村社長:「(Q.なぜ、数倍にもモニターが膨れ上がった?)僕が当時かわいがっていた、小島氏を信頼してしまった。小島氏が言ってることがすべて正しいだろうと思い込んでしまった」
モニターから集めた金はおよそ20億円。一体、どこに消えたのでしょうか?
中村社長:「(Q.20億円の所在は分かっている?)分かっていないです。弊社は1円ももうけというか、1円もお金はきていないですし。逆に2億6000万くらいは支払っているという状態ですので。皆で通帳出し合おうという話もしたんですけども、『アーサー』の小島のところだけ、通帳が出てきてないというところで」
中村社長:「(Q.可能性としては小島氏が?)クリニックのクレジットカードを使って、1院あたり300万円~400万円くらいの請求が、夜のお店からきているというのを聞いたことがある」
中村社長:「(Q.夜のお店というのは?)キャバクラとかですね。月に300万円~400万円、1クリニックなので。その当時、4クリニックあったので、大体2000万円近くは使ってる計算にはなります」
中村社長:「(Q.1カ月にキャバクラで2000万円使っていた?)キャバクラでシャンパンを開けまくって、ヒーローになってたとかっていう話も聞いたことはある」
■キャバクラ・飲食以外では使っていない
関連会社の小島社長が、客の金をキャバクラに使っていたと主張する中村社長。番組は、グランシールドの代理人弁護士が、小島社長と直接話したとする録音データを独自入手しました。
弁護士:「結局、そのお金って、どこに消えちゃったの?」
小島社長:「実際問題、一部はキャバクラとか。そういうところで使っているのは事実であると思う。中村さんだったりとか、院長とかもしっかりそこらへん分かっていたと思うんですよね」
弁護士:「だいたい、いくら使っているの?」
小島社長:「そんな大した金額にならないと思いますけど」
弁護士:「億は?」
小島社長:「億はいってないと思いますね」
弁護士:「キャバクラとか飲み食い以外で、返済以外で使ったというのはない?」
小島社長:「結構ドクターからは、僕が持ち逃げしているという話もあったと思うんですけれど。全くそういうのはないですね」
「客の金を私的に使ったのは1億円以下で、キャバクラや飲食以外では使っていない」と主張した小島社長。
その後、展開されたのは、驚くべきストーリーでした。
■“世界一の歯科医”伊藤氏に巨額報酬?
一方で、クリニックを一緒に立ち上げた歯科医師の伊藤氏に、お金が流れていると話しました。
弁護士:「伊藤先生には、いくらぐらいお金が払われているんですか?」
小島社長:「伊藤先生は給料いっさいもらっていないっていう話をするんですけれど。マネジメント会社に対して払ってるお金で、少なくとも4億、5億くらいは。半分は(マウスピースの)材料費ですが」
中村社長も、伊藤氏は2億円は受け取っている可能性があると語ります。
中村社長:「4億円くらいだというふうに伺っています。そのうちの45%が本当の(マウスピースの)材料費ですので。約2億ちょっとが伊藤先生のところに入ってるというふうに推測されます」
しかし、伊藤氏は、過去のインタビューで、次のように話していました。
伊藤氏:「(Q.デンタルオフィスXを巡る報酬は全くない?)3年間で30万円くらいですかね」
あくまで自分は出資金を出しただけで、小島社長と伊藤氏が金を使い込んだと主張した中村社長。
■食い違う証言…返金はどう進める?
では、「戦争が原因で返金できない」と適当な理由を付けて、モニターに返金しなかったことについては、どう説明するのでしょうか?
中村社長:「(Q.ロシアのウクライナ侵攻は関係ある?)全く関係ないと思います。まず、何が起こっているのかを明確にする、究明する段階で、皆が混乱してるなかで、僕としてはどんな発言をすれば、和やかな空気になるのかなというふうな形で不用意な発言というような。ただ、それによって患者さんを軽視してるわけではなくて」
本意ではなく、会議を和ませるための発言だったと弁明した中村社長。また、もう一つの録音についても…。
幹部の女性:「業務委託していた『アーサー』が勝手にやってしまったというていにして」
中村社長:「そもそも契約書を『アーサー』が勝手に作ったというストーリーに」
中村社長:「(Q.ストーリーとは、どういう意味?)ストーリーというのも、患者さんにきちんと返金をするために、その当時『グランシールド』ぐらいしか、売り上げを立てられていない状況でしたので。
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