エビやカニ 豊かな福島の海へ 今春にも…迫る原発処理水の海洋放出(2023年3月11日)

エビやカニ 豊かな福島の海へ 今春にも…迫る原発処理水の海洋放出(2023年3月11日)

エビやカニ 豊かな福島の海へ 今春にも…迫る原発処理水の海洋放出(2023年3月11日)

 菊地栄達さん(30)。相馬市の若手漁師で、乗組員5人を束ねる船長です。

 水揚げしたのはブドウエビにズワイガニ。福島の魚介類は「常磐もの」と呼ばれ、そのおいしさが高く評価されています。獲れたのは、原発からおよそ100キロ離れた相馬沖です。

 漁師・菊地栄達さん:「『福島県の魚はおいしい』『相馬の魚はおいしい』と言ってもらえるのが一番うれしい」

 福島県内3つの漁協の水揚げ金額は、前年比4割増と大きく伸びました。

 さらに、地元が誇るヒラメの価格もおととし、震災後、初めて全国平均を超えるなど明るい兆しも見えていますが、復興はいまだ道半ばの状況です。

 漁師・菊地栄達さん:「いいところまで来てみんな、成長してきたな。今まで頑張ってきたことを継続して、それ以上に頑張っていくしかないのかな」

 そんな福島の海に迫っているのが、春にも始まる原発処理水の海洋放出です。放射性物質のトリチウムを含む処理水は、敷地内のタンクにためられていてまもなく満杯になる見込みです。

 安全性をアピールするため、東京電力は処理水が含まれた海水でヒラメを飼育。さらに経済産業省も、見学する若者に対し、処理水の安全性をこう説明しています。

 経済産業省・木野正登参事官「この処理水を海に流して魚介類を食べたとしても全く人体に影響はないです。だから安心して食べられる」

 漁師・菊地栄達さん:「(海洋放出で)風評被害になって自分のものが買われない。値段が付かないという問題が出てくると思う。トラブルが出てきた時に15年はそういう目でしか見られないと思う」

 この日、菊地さんの船に長男・航世さん(10)が乗っていました。

 菊地さんの長男・航世さん:「漁師になりたいです」「(Q.どんな漁師になりたいですか?)お父さんみたいな漁師になりたいです」

 漁師・菊地栄達さん:「それは親としても漁師としても、うれしい。その気持ちを変えさせたくない。でも最初から10年、20年かかると分かっている問題。その時に20年後、下の世代が育たないんじゃないかと思って」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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