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「ここにいたい」津波で家族を失った場所で生き続ける“新たな家庭”と思い紡いだ12年(2023年3月5日)
岩手県陸前高田市で津波で家族全員を失った男性がいます。その後、新たな家庭を築き、生まれた息子はまもなく亡くなった娘と同じ小学校に入学します。失った命と新たな家族、紡いだ12年を追いました。
■津波で妻娘ら家族全員失う それでも前へ…12年間の軌跡
家族4人の13回忌を迎えた小島幸久さん(51)。東日本大震災の津波で両親と妻、一人娘を亡くしました。駆け寄ってきた男の子、震災後に生まれた新たな家族です。長男の空大くん(6)。小島さんは「かけがえのない家族」を失った故郷で「新しい家族」とともに歩んで行く道を選びました。
小島幸久さん:「13回忌になったので、これからも見守っていて下さいと。節目といえば節目、だからといって何も変わらない、まだ。震災は、鮮明にきのうのことのように思い出す」
12年前、陸前高田市。
小島幸久さん(当時39):「千空、紀子、父ちゃん、母ちゃん。ただ娘の名前を呼びながら…抱いて」
父・捷二さん(当時69)、母・キミさん(当時62)。妻・紀子さん(当時38)、そして最愛の一人娘・千空ちゃん(当時7)。津波は一緒に暮らしていた家族を一瞬で奪い去りました。
小島幸久さん:「ここが娘・千空の部屋。100点、(小学)1年生だからね」
当時、小学1年だった千空ちゃん。負けず嫌いで、ダンスがとても上手でした。
小島さん家族は地域に愛される電器店を営んでいました。たった1人、取り残された幸久さん。電器店の仕事を再開し、仮設住宅で人々の生活を支えます。ところが、抱えきれない孤独感に襲われます。
小島幸久さん(当時40):「仕事の忙しさは元に戻ったかもしれないけど、むなしさ。誰のために稼いでいるんだ…。1人はダメだね。ダメだ、つらい。慣れてきたけど家族があったほうがいいな」
“家族”の大切さを改めて痛感します。
■息子の名前 亡き娘から1文字を
幸久さんを救ったのは新しい家族でした。亡くなった母親の親友の紹介で、さちこさんと結婚。長男・空大くん(当時2)が生まれました。娘の「千空」から一文字もらい、「空大」と名付けました。そこには特別な思いが。
小島幸久さん(当時47):「震災で紀子と千空が死んでしまったから、空大が生まれたわけだから、今を生きるというのはそういうこと。たらればは人生にない」
■成長した息子 春から小学生に 亡き姉に入学を報告
そして、あの日から月日は流れ…震災から12年の今年。6歳に成長した空大くんです。亡くなった姉・千空ちゃんが当時、通っていた小学校に空大くんはこの春から入ります。
長男・空大くん:「気持ちいい。重い!ちーちゃんのほうが重い!何入っているの?めっちゃ入っているわ。だからめっちゃ重いのか。俺の何も入れてないから」
叔父・小島幸太さん:「空大くん。入学おめでとう」
長男・空大くん:「ありがとう。自由帳」
小島幸久さん:「カンカンしろよ、『もらったよ』って」
天国にいる家族に報告します。
長男・空大くん:「(Q.誰に言ったの)ちいちゃんたち。カンカンした」
小島幸久さん:「宝物ですね。成長が目に見えて分かるので、可能性しかない」
■「ここにいたい」家族失った場所で生き続ける
震災で失った家族と新たに築いた家族。父・幸久さんにとってはどちらもかけがえのない家族です。
小島幸久さん:「『ちいちゃんはお姉ちゃんなんだよ』と。一回『いつになったら(千空に)会えるんだ』と聞かれたことがあって、『いや会えないよ、お空にいる』と。最近は『会いたい』『いつ来る』とは言わない」
これからも家族とともに…。
小島幸久さん:「皆、ここで亡くなったのだから、その場所にいたい。ある種の使命感が働いていたのかもしれない」
故郷・陸前高田で亡くなった家族の思いも一緒に紡いでいきます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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