「防犯カメラだけでは防げない」学校の対策は…埼玉の中学校に侵入 切りつけ(2023年3月2日)
埼玉県の中学校で教員を切りつけたとして逮捕された少年(17)は、「人を殺すことに興味があった」「確実の学校がやっているこの時間を狙った」などと供述し、事件当時は、複数の凶器を持っていたこともわかりました。
犯行から一夜が明けた中学校では、保護者に付き添われ登校する生徒の姿がありました。学校は2日、登校時間を2時間遅らせたほか、カウンセラーを配置しました。
少年が押し入った教室で試験を受けていた生徒は、少年の不気味な行動の一部始終を目撃したといいます。
少年が押し入った教室にいた生徒:「(Q.何で気付いた)扉を開ける音。(Q.入ってきたとき、容疑者はどっちを向いていた)キョロキョロしていたと思う。無言で、リュックサックからナイフを取り出していた」
少年が中学校に侵入した経路が、新たにわかってきました。事件から3時間後の集団下校のときの映像に、電柱の裏に置かれた1台の自転車が映っていました。少年は、この自転車で中学校まで移動してきたとみられています。
自転車を置いていたとみられる場所から30メートルの所に正門があります。当時、正門は閉まってはいましたが、鍵はかかっていなかったといいます。正門付近には防犯カメラが設置されています。防犯カメラには、少年とみられる人物が、映っていたといいます。
戸田市教育員会によりますと、この中学校には、複数の防犯カメラが設置されていましたが、警備員は配置されていませんでした。事件を受け、「防犯マニュアルを改めて確認するよう通知した」としています。
2001年、8人の児童が犠牲になった大阪の附属池田小事件以来、学校の安全対策は見直されてきました。今回、少年が押し入った中学校のように、全国の学校で防犯カメラの設置は進んでいます。しかし、それでも凶器を持った男の侵入を防ぐことはできませんでした。
教育の場での試行錯誤は今も続いています。
神奈川県二宮町にある山西小学校では、校内に6台の防犯カメラが設置されています。人の出入りが予想される場所に、集中的に防犯カメラを設置。モニターは職員室の中で、教員の目にとまりやすいところに置いています。
さらに、この映像を、教育委員会でもリアルタイムで見ることができる仕組みになっています。二宮町の5つの公立の小中学校、すべてのカメラ映像が、ここに集約されているのです。
二宮町教育委員会・田嶋卓司主幹:「学校からの通報を受けて、すぐ確認できて、二重にチェックができるので、教育委員会にも設置した。池田小の事件を受けて、そういう学校が増えたと思う」
ただ、今回の事件のように防犯カメラだけでの防犯対策には限界があるといいます。同時に求められているのが、緊急事態の現場対応です。山西小学校の構内には、“さすまた”や“スプレー”“ネットランチャー”を常備。さらに、すべての教員に一斉連絡ができるIP電話も導入しています。緊急時、子どもたちの安全を守るために1秒でも早い情報共有が不可欠です。
構内アナウンスにも注意が必要です。
二宮町立山西小学校・山口穣教頭:「『不審者がいるので気をつけて』とアナウンスをしてしまうと、不審者を刺激してしまうとので、校内放送である“暗号と教室名”を言うと、『そこに不審者がいる』と共通理解できる」
防犯訓練も毎年1回行っているといいますが、今回の事件を受け、不安を隠せません。
二宮町立山西小学校・山口穣教頭:「防犯カメラを設置するだけでは完全に防ぐことはできない。気軽に誰でも入れるようになると、不審者の侵入を許してしまう。“開かれた学校”とのバランスを両立する難しさは感じています」
政府は、今回の事件を受け「極めて遺憾だ」とし、学校の安全確保に必要な対応をとっていきたいとしています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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