「みなし陽性」で現場の医師は困惑 保健所から“差し戻し”も(2022年2月3日)

「みなし陽性」で現場の医師は困惑 保健所から“差し戻し”も(2022年2月3日)

「みなし陽性」で現場の医師は困惑 保健所から“差し戻し”も(2022年2月3日)

 東京の新型コロナウイルスの感染者は2日連続で2万人を超え、3日は2万679人です。こうしたなか、検査を受けずに診断する、いわゆる「みなし陽性」を巡り、現場の医師から困惑の声が上がっています。

 対象地域がさらに拡大します。

 新型コロナ担当・山際大志郎大臣:「まん延防止等重点措置区域に和歌山県を追加し、措置の期間を2月5日(土)から2月27日(日)までと決定しました」

 これで、「まん延防止等重点措置」が適用されるのは35の都道府県になります。

 松野官房長官:「1月9日から重点措置を適用している県については、新規感染者数が減少傾向にある地域もあるなど、一定の効果を発揮していると認識をしています」

 先月9日からまん延防止措置が適用されている3県では、峠を越したようにもみえます。

 一方、10日後に期限を迎える東京など13の都県では改善の見通しが立たず、政府内では「延長する可能性が高い」との見方が強まっています。

 東京都医師会・猪口正孝副会長:「(医療提供体制は)色は一つ進んで赤。医療体制が逼迫(ひっぱく)している」

 東京都では医療提供体制の警戒度を最も深刻なレベルに引き上げました。

 東京都医師会・猪口正孝副会長:「現在、たとえ肺炎は軽症であっても、新型コロナウイルス感染症と併存する他の疾患のため、集中治療を要する患者も増加傾向にあります」

 東京都の病床使用率は53.1%に達しています。

 緊急事態宣言の要請はどうするのか。都は今月3日、新たな指標を発表しました。

 小池都知事:「指標としてオミクロン株の特性を踏まえて設定をしようと」

 1つは重症病床使用率と、入院患者に対する酸素投与の割合のいずれかが、30%から40%になった段階。

 小池都知事:「オミクロンが元々の疾病をより重篤化していくことに鑑みた指標、見方」

 もう1つは欠勤者が都の就業人口のおよそ1割に対する水準、新規陽性者の7日間平均が2万4000人になることです。

 この2つを満たした場合に要請を検討するとしています。

 小池都知事:「2つ柱があって1つが都民の命を守るという観点で、もう1つが都民の暮らしを守って社会経済活動を継続するという観点から、欠勤者の急増による社会機能の停滞を回避する」

 3日、東京都で確認された新規感染者は2万679人。

 このうち検査を受けず症状から陽性と診断されたいわゆる「みなし陽性」は395人です。

 「みなし陽性」に医師から困惑の声が。

 五本木クリニック・桑満おさむ院長:「医師のメンツにかけて判断している。理由は書いているのに却下された」

 東京・目黒区にある五本木クリニックの桑満医師は「陽性」と診断しても、担当の保健所から「基準を満たしていない」と差し戻されるケースがあったと話します。

 診察した患者は発熱などの症状があり、本人以外の家族2人は検査結果待ちです。

 桑満医師は患者の重症化リスクが高いことから、家族の結果を待たずに感染者の管理システム「ハーシス」に「みなし陽性」と登録。すると・・・。

 五本木クリニック・桑満おさむ院長:「『みなし陽性ではないのでハーシスには登録できません』とのことだった」

 厚生労働省によると、「みなし陽性」になるのは、陽性になった「同居家族などの濃厚接触者で、症状がある場合」だけです。

 桑満医師が、家族2人の結果が出ていない状態で登録したことから、保健所は「みなし陽性に該当しない」とハーシスから削除。

 五本木クリニック・桑満おさむ院長:「重症化する人もいる。糖尿病とか高血圧とか。こういう症例が今後、続けばどうすればいいか私は悩む」

 その後、家族の陽性結果が出たため、再度ハーシスに登録することができたといいます。

 一方、ナビタスクリニックの久住医師は、「みなし陽性」の問題点を指摘しています。

 ナビタスクリニック理事長・久住英二医師:「感染しています。線2本出てるでしょ。検査できましたよって線です。ばっちり見せると『しょうがない』と行動を考えようとするけど、疑似症(みなし陽性)ですよというと、“正確に診断受けているわけじゃない”という隙が生じる」

 久住医師は急変した場合、「みなし陽性」でも東京都の「うちさぽ」を利用できるため、活用してほしいと話しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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