レジオネラ菌「大したことない」 旅館社長が連発…お湯交換は年2回 基準値3700倍も(2023年3月1日)

レジオネラ菌「大したことない」 旅館社長が連発…お湯交換は年2回 基準値3700倍も(2023年3月1日)

レジオネラ菌「大したことない」 旅館社長が連発…お湯交換は年2回 基準値3700倍も(2023年3月1日)

 大浴場の湯の取り換えを年2回しか行わず、基準値の3700倍のレジオネラ属菌が検出された、福岡の高級老舗旅館「大丸別荘」の山田真社長が会見を開きました。山田社長は「大した菌ではないという認識だった」とし、「湯の入れ替えはしなくてよい」と自ら指示していたということです。

■レジオネラ属菌 気道内に入ると…最悪「死」

 1865年創業、江戸時代から150年以上続く老舗旅館、福岡県筑紫野市の大丸別荘。戦後まもなく、昭和天皇が宿泊したこともある由緒ある旅館です。

 長年にわたって、全国から観光客が訪れる人気旅館ですが…。

 山田社長:「大変深く反省し、おわび申し上げたいと思います。申し訳ございませんでした」

 事の発端は去年8月、大丸別荘の利用者が、レジオネラ属菌を原因とした感染症を発症。その後の福岡県の調査で、大浴場から基準値の2倍のレジオネラ属菌が検出されました。

 この際、旅館は「湯の交換や塩素の濃度は適正」だと報告しましたが…。

 山田社長:「当方は虚偽の書類を提出し、換水や塩素の注入が適正であったと説明してきた。しかし、これらは虚偽の資料による、不適切な対応でありました」

 虚偽報告は他にも、去年10月の水質検査で「菌は検出されなかった」と県に報告していましたが…。

 山田社長:「(Q.10月の自主検査自体おかしくなかったか?)検査自体は間違いないんですけど、検査に出す検体を出す時に、塩素を入れて検体を出すという形。うちが偽装した…まぁ偽装になるのか?検査に出す時に、塩素を入れた状態のお湯をとって検査に出せば、そりゃ合格するわけです」「(Q.虚偽の報告がバレると思わなかった?)あまり思っていなかった、形だけ作ればいいやという、あれがありましたね」

 その翌月、県が抜き打ち検査をしたところ、基準値の3700倍にも上るレジオネラ属菌が検出されました。

 山田社長:「(Q.3700倍も出るのは…数カ月で増える?)いや、それは、私も全然分かりません。何でそんなことになったのか、今までだって聞いたことない」

 土の中や川などに生息するというレジオネラ属菌。専門家によると、菌が気道内に入り、肺炎を起こす恐れがあり、最悪の場合、死に至るといいます。

■新事実も…飲用許可得ず 客室洗面所で温泉水

 福岡県の条例では週1回以上、お湯の交換を行う必要がありますが、大丸別荘では…。

 山田社長:「盆と正月にやるんですが。その時にすればいいよみたいな言い方をしたと思います」

 お湯の交換は、年にわずか2回。さらに消毒用の塩素注入も怠っていました。その理由は…。

 山田社長:「塩素を注入しなかったのは、塩素のにおいが、自分の体質に合わず、嫌いだったという身勝手な理由でございました。塩素を入れたきゃ、ちょこっと入れるみたいな感じしか言っていないです。そんな認識でした。私の独断ばっかりです」

 自分が“塩素のにおいが嫌い”という理由で、入れなかったといいます。

 山田社長:「(Q.大浴場に社長自身つかったりされていた?)風呂に入るかという意味ですか。それは毎日2、3回入っている」「(Q.レジオネラ属菌が出た時も入っている?)もちろんそうです」「(Q.ちょっとおかしいなみたいな?)いや~全く…全くないです」「(Q.基本的に毎日?)毎日。大体、子どもの時から入っているから、2~3回入ってますね」

 菌の危険性については、こんな言葉を繰り返しました。

 山田社長:「レジオネラって、大したことないというのが一番と。お湯を大量に入れているから、(レジオネラ属菌が)いても、大したことではないだろう」「レジオネラ菌といいますか、それがあまり大した菌じゃないという認識が一つと」「レジオネラというのは、大した菌じゃないという、どうしても、そういう先入観がありましたもので」

 去年、神戸市の温泉でレジオネラ菌に感染して亡くなった事案もあるなか、「大したことない」という言葉を連発しました。

 山田社長:「神戸で亡くなられたとかですね、自分のところは大丈夫だろうという、そういう確信がないと。もちろん、間違った確信でしたけど。実際、営業しないわけですね」「(Q.利用者の健康のことはどうでもいい?)そうですね。そう言われれば、そういうことになりますね。でも、どうでもいいという気持ちでなくて、よその事例で聞いた時に、そういう印象を持ったということで」

 会見中、認識の甘さが次々と浮き彫りとなるなか、新たな事実も分かりました。

 山田社長:「(Q.蛇口から温泉は出していた?飲用許可を得ないで?)あぁ、そうですね」「(Q.それについては、どういう対応だった?)そこまで気が回らなかったということですね。加熱していればいいという認識があったんですよね」

 本来必要な飲用許可を得ずに、客室の洗面所で温泉水を出していたといいます。

■業界全体に影響も…近隣温泉は問い合わせ急増

 大丸別荘と同じ地域にある日帰り温泉では…。

 二日市温泉「博多湯」・江藤大和さん:「『しっかり清掃していますか?』とか『清掃はどういうふうにやられていますか?』というお問い合わせはありました」

 大丸別荘に関する問題が報じられた後、利用者からの問い合わせが増えたといいます。

 温泉業界全体に影響を与えかねない行為に、レジオネラ属菌対策について温泉施設を指導する専門家は、次のように話します。

 入浴施設衛生管理推進協議会・中島有二会長:「こういうのは、やっぱりよくないですよね。ちゃんとやってるところに対して、よくないですね。まずは、条例を守るのが第一。管理責任者をちゃんと定めて、管理体制を整えるということは、社長さんには言いたい」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2023年3月1日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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