好きな日本語は「アリガトウ」避難してきてもうすぐ1年…母国の味をキッチンカーで(2023年2月23日)
2月23日でロシアによるウクライナ侵攻から1年が経ちます。
「アリガトウゴザイマス」と片言の日本語で接客にあたるウクライナ人のイリーナ・ヤボルスカさん(51)。去年3月、激戦が続くウクライナの北東部ハルキウから滋賀県彦根市で暮らす娘夫婦を頼りに母親とともに避難してきました。現在イリーナさんがキッチンカーで売っているのはウクライナの郷土料理「ムレンツィ」。クレープに似た食べ物で、モチっとした生地にサケやチーズなどが入っています。
日本に来てまもなく1年が経つイリーナさん。毎日ひらがなの勉強を欠かしません。好きな日本語は?
(イリーナさん)
「アイライク…アリガトウ。アイライク…ジャーネ!」
いつも笑顔のイリーナさんですが、心には不安を抱えています。
ロシアによる軍事侵攻で国境に近いハルキウは戦禍に巻き込まれ、イリーナさんの自宅は爆風によって窓が粉々になりました。夫のローマンさんは今も現地に残り続けています。
(イリーナさんの娘の夫 菊地崇さん)
「ローマンさんと電話される時には辛い表情をする時が結構ありますね」
暗い日常に光が差したのは母国の味ムレンツィをキッチンカーで販売し始めたこと。しかし。
(イリーナさんの娘の夫 菊地崇さん)
「元々(ロシア語の)ブリンチキという言葉で僕たちはこの料理を表現していたんですけれども、ウクライナ語ではムレンツィという表現を使うということで変更しました」
戦争は慣れ親しんだ言葉さえも変えてしましました。ただ、この1年間で新たな出会いもありました。
今年2月に滋賀県彦根市のコンサートホールを訪れたイリーナさん家族。学生たちの演奏を笑顔で聴いていましたが、ウクライナで人気の曲が奏でられると涙がこみ上げます。
(イリーナさん)
「正直なぜ涙が出てきたのか自分でもわかりません。この曲は定番の曲なので、ウクライナにいた時のことを思い出して、いろんなことが回想されて、涙になりました」
去年3月にキーウから避難したというサックス奏者・五十嵐健太さんの演奏に、イリーナさんは涙を拭った後、大きな拍手を送りました。
(イリーナさん)「こんにちは。とても素晴らしい、美しい音楽でした」
(五十嵐さん)「ありがとう」
(菊地さん)「ムレンツィ食べる?」
(五十嵐さん)「いいですか、お願いしても」
イリーナさんには夫とともに叶えたい夢があります。
(イリーナさん)
「(自分たちの店で)ウクライナのお菓子とか軽食やコーヒーなどをつくって、もっと多くの日本人の皆さんに食べていただきたいです。ムレンツィなどを食べてもらいたいです」
ロシアによる侵攻から2月24日で1年。イリーナさんが願うのは夫とレストランを開きたいという平和な日常です。
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