「医師の指示はなかった」元職員語る“身体拘束”精神科病院で「日常的に虐待」か(2023年2月17日)

「医師の指示はなかった」元職員語る“身体拘束”精神科病院で「日常的に虐待」か(2023年2月17日)

「医師の指示はなかった」元職員語る“身体拘束”精神科病院で「日常的に虐待」か(2023年2月17日)

東京・八王子市の精神科病院『滝山病院』で、入院患者が看護師から暴行などの虐待を受けたとされる事件をめぐり、元職員が取材に応じ、暴行に加えて違法な可能性のある「身体の拘束が行われていた」と語りました。

暴行は、1人や2人によるものではなかったといいます。

滝山病院の元職員:「オムツ交換の時に、よく介護スタッフがお尻をたたいたり、背中をドンってやったりとかよく見ていた。注意しないといけないと思って『たたかないで』と言いました。そうしたら改善されるどころか、介助も入ってくれない。看護師長にも話したが何も返事がなくて。(Q.改善されるどころか仲間はずれに?)そうですね。自分が大変な思いをしちゃう。だから自分が折れていくしかない」

患者を支援する弁護士によりますと、刑事告発が受理されたのは、看護師3人と准看護師1人について。ただ、それだけで終わらない恐れもあります。

相原啓介弁護士:「数名の心ない職員による、偶発的な虐待事件だとは思えない。病院全体にまん延している疑いを、私自身は強く持っている」

「社会から隔絶した病院で起きていることを多くの人に知ってほしい」と、耐えかねた関係者が撮影した映像では、患者に暴行するような様子や暴言を吐く姿が映し出されています。

医療スタッフ:「(ベッド揺すって)地震だ。すごい地震」

医療スタッフ:「『すみません』だよな。口の利き方に気をつけろよ。何?返事をしろよ」
患者:「痛い。痛いよ」

患者の耳をつまんで、頭を何度も押さえつけます。そして…。

医療スタッフ:「うるさいから寝てろ。しゃべるなっつってんだろ」
患者:「大丈夫っす。うまいっす」
医療スタッフ:「(患者を殴って)しゃべるなっつってんだろ」
患者:「怖い、怖い」
医療スタッフ:「黙ってろ。メシ来るまで」
患者:「痛い」

滝山病院の精神科には、去年6月時点で153人が入院していました。認知症の患者も入院しています。

医師は11人。看護師や准看護師は175人いて、そのうち9割以上が非常勤でした。

ホームページには「患者様は家族である」とうたい、看護師らの介助により「自由に活動できる環境を整えた」ともあります。

相原啓介弁護士:「(Q.偶発的な虐待事件だとは思えない根拠は?)皆様にお配りした映像・音声は、そのごく一部。私の考えでは、十数名はいるのではと」

告発された看護師ら4人の男の他に、女性スタッフのこんな暴言も。

医療スタッフとみられる音声:「全く憎たらしい男だ。このバカ男。小便ひっかけてやるぞ。自分の小便。あんたの小便を」
患者とみられる音声:「何が感謝。こんな病院に、精神病院にいて、何が感謝だよ」
医療スタッフとみられる音声:「だって、あんたそれしかないじゃん。“精神”だからだべよ。頭おかしいだろ」

さらに、目の前の患者が苦しんでいても…。

患者とみられる音声:「痰とってくれ」
医療スタッフとみられる音声:「『くれ』言ってるやつは、ダメだっつってんだろ」
患者とみられる音声:「痰とってください」
医療スタッフとみられる音声:「嫌です。お前の言うことは聞かねえよ」

暴行のほかに、違法な身体拘束をうかがわせる画像も公開されました。

本来、やむを得ず拘束する場合は、医師の指示が欠かせません。

そして、拘束した理由と日時を、カルテなどに記す必要もあります。

相原啓介弁護士:「医師の指示を全く受けずにやっていることが、ほぼ明らかではないかと思われるような情報も得ている。カルテを調べても、医師の指示が記されていない」

病院の元職員は、その内情について。

滝山病院の元職員:「ナースステーションに来て『うるさいから、帰る前に縛っていってくれ』と言われていた。(Q.特に医師の指示があるわけでもなく?)はい。チェックシートがあるわけでない。(Q.縛る理由は?)ナースステーションに来て、ドンドンって声かけてきて、うるさいからって」

そんな環境で適切な医療が施せていなかったのではないかと元職員は訴えました。

滝山病院の元職員:「褥瘡(床ずれ)の前に水疱ができるんですけど、つぶれないようにとシールを貼ったりする。看護師長が『高いものだからあまり使うな』と。自分が処置した時に、絆創膏の貼り方で分かる。次の日に行った時に処置されてないなって。前の人がやらなかったのが分かる」

病院側は、これまでの取材に、こう話しています。

滝山病院:「警察の捜査や行政機関の調査に全面的に協力しているので、事件についてはお答えできません」

【「検査前に拘束具は隠す」病院に監視の目は…】

事件を告発した相原弁護士は「入院患者の多くが身寄りがなく、外来もないため、人目に触れにくい」として、病院全体の構造的な問題があるのではないかと指摘しています。

(Q.監視の目は働かなかったのでしょうか?)

東京都は定期的に調査に入っていて、去年6月にも調査を行いました。

ただ、その際には、病院職員にしか聞き取りを行っておらず、緊急性が高くないので予告して入ったということです。

この調査について、滝山病院の元職員はこう話します。

滝山病院の元職員:「『何月何日に検査に入る』と、事前に連絡が来るので、拘束具などは隠す。患者への聞き取りなども行わず、すぐに帰った」

東京都の担当者は「捜査機関ではないので、適切な運営をしている前提。抜き打ちなど工夫はしているものの、具体的な虐待の情報がないと、なかなか難しい部分はある」と話しています。

小池都知事は17日の会見で「これからも必要な検査を行うし、病院に対して必要な資料の提出を求めている」と話し、病院の状況を改めて確認するとしています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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