【独自】“泳ぐ宝石”ニシキゴイ求め…外国人バイヤー殺到「1匹2億円超」 海外生産も(2023年2月17日)

【独自】“泳ぐ宝石”ニシキゴイ求め…外国人バイヤー殺到「1匹2億円超」 海外生産も(2023年2月17日)

【独自】“泳ぐ宝石”ニシキゴイ求め…外国人バイヤー殺到「1匹2億円超」 海外生産も(2023年2月17日)

 日本の国魚「ニシキゴイ」が今、世界中から注目されています。中には、1匹で数千万円を超える値段で取引されるものもあります。その実態を取材しました。

■中国で空前ブーム “1匹で2億円超”も

 オランダのバイヤー:「私はオランダで小さいお店を持っています。そこでコイを売っています。ここ日本でコイを買いつけて、オランダで売っています」「(Q.予算はどれぐらい?)私は5000ユーロ(70万円)です」

 イギリスのバイヤー:「新潟県でコイを買って、全世界に船で運びます。カタール、ドバイ、南アフリカ、アメリカなどです。2億円を超えるコイも見たことあります」

 今、日本のコイを求めて世界中からバイヤーが殺到。日本のコイを買い、海外の愛好家に販売しているといいます。

 美しい姿から「泳ぐ宝石」ともいわれるニシキゴイ。その大きさ、模様、形などを競う「全日本総合錦鯉品評会」が先月、行われました。

 会場では、外国人バイヤーの姿が目立ちました。

 台湾のバイヤー:「ニシキゴイは、多くの中国の富裕層の方にとって、魅力的で流行となっています」

 この女性、このコイを日本で仕入れ、中国人の愛好家に売ったといいます。一体、どれほどの値段がついたのでしょうか?

 台湾のバイヤー:「実際の値段はお伝えできないですが、優に1000万円を超えています。普通は3000万円とかですね。2018年に2億300万円のもありました。それも私のお客様でした」

 オークションが白熱し、1匹で2億円を超えたこともあるといいます。

 中国では今、空前のニシキゴイブームが続いているのだと。

 台湾のバイヤー:「5年前は、オークションでの値段は大体300万円、500万円などでしたが。中国のバイヤーが入ってきてから、値段がどんどん上がってきて、今は1000万円から3000万円になりました」

■買うだけでなく…養殖も「広さは7万平米ぐらい」

 中には、室内の会場で傘を差す人もいました。一体、なぜでしょうか?

 ベトナムのバイヤー:「(Q.なぜ傘を差している?)ライトがあるので、この傘を使うと、(コイが)きれいに見えるんですよ」「(Q.水面に光が反射しないということ?)そうです」

 自分が出品しているコイを、きれいに撮影するための工夫だといいます。

 ベトナムのバイヤー:「僕は写真と動画を撮って、お客さんに紹介して値段を相談する。大体、このコイは20万円前後。100万~200万するものもあります。僕も1回買ったことがある」

 さらに、海外のバイヤーは日本のコイを買うだけではありません。

 香港のバイヤー:「生産もしている。(養鯉(ようり)場の広さは)6万~7万平米ぐらい。面積は中国の養殖場の中では小さいよ」

 アメリカのバイヤー:「私たちは、ニュージャージーで100以上の養殖場があります。アメリカでも売るし、アメリカ以外の国にも輸出します」

■「他の品評会と価値が違う」今冬は寒波との戦い

 今や、世界中で生産されているニシキゴイ。農林水産省は去年12月、ニシキゴイを海外への輸出重点品目に新たに追加。2025年には、97億円の輸出額を目指しています。

 大学院生(20代):「色がきれいだなと思って。飼ってみたいなって思いました」

 愛好家(60代):「1匹として同じものがいない。奥深さを感じる」

 品評会では、コイの所有者や生産者(作出者)、流通業者(取扱者)が、自慢のコイを持ち寄り、入賞を目指しますが、一級品のニシキゴイを育て上げるのは簡単ではありません。世界中から注目されているだけに、より一層、力が入ります。

 ニシキゴイ発祥の地・新潟県山古志で養鯉場を営む田中三史さんも、その一人です。

 丸新養鯉場・田中社長:「『全日本』というと他の品評会とは違って、各生産者ここでの賞がとりたいんです。価値が違うので、他の品評会と」

 この冬は、寒波との戦いだったといいます。

 田中社長:「寒すぎると冬場が灯油代がかかるとか、停電が起きるのが一番怖い。ポンプとか酸素が止まっちゃうんでね、そうすると死んじゃう。手間をかけた分(コイは)きれいになるので。それで入賞すると、すごくうれしいですね」

 今回の品評会で出品されたニシキゴイは、およそ2000匹。いずれも、色鮮やかな模様をまとっています。なぜ、ここまで美しいコイを育てられるのでしょうか?

■大きさ・形・色などを審査…育て方は?

 品評会の1週間前。訪れたのは、愛知県小牧市にある成田養魚園です。

 成田養魚園・成田隆輝社長:「きょうは、久しぶりに飼育池から最終調整で池にあげているところなので」

 出品するコイを別の池に移動するのだといいます。その理由は…。

 成田社長:「(品評会)開催される会場の水温が低いので、それに合わせないと、どうしてもコイは変温動物なので。水温が低いと体も同じように低くなってしまうので」

 毎シーズン、全国の生産者から数万匹のコイを仕入れるという成田社長。その額は、5億円に上るといいます。

 生産者から仕入れたコイや、所有者から預かったコイを美しく、丈夫に育てるのが仕事です。

 成田養魚園にコイを預けている人は、次のように話します。

 愛好家:「まず(コイを)大きくするというのと、病気に対しても対応が早い。この世代のナンバー1ですよ。ぶっちぎりのナンバー1ですよ」

 品評会は、主に大きさと品種によって部門が分かれ、形や色などを基準に審査されます。

 成田社長:「今結構、主流は若くてデカいコイが強いんですよ。品評会での見栄えとかは全然違ってくるから。僕らは、それを目指してできるだけ、そのサイズの一番デカいところを、オーバーさせないように飼うのがなかなか難しい」

 規定サイズのギリギリまでコイを大きくすることで、より華やかに見せるのが狙いです。審査で重要なのは、大きさだけではありません。

 成田社長:「肌があまり白くないとか、墨、黒色があまり黒くないとか。色んな条件が整わないと、品評会で勝てないので。うちの水自体が結構、黒いコイ、黒くなる、墨って言われる黒いコイの墨が出やすい感じなので。黒の入ったコイとかが、結構きれいになりやすいんじゃないかなっていう傾向にありますね」

 水質や餌(えさ)の管理一つで、ニシキゴイの美しさは変わってくるのだといいます。

 成田養魚園のニシキゴイには、どのような評価がつけられるのでしょうか。品評会に出品するために厳選したのは504匹。6台の水槽車で、東京の会場まで運びます。

■9部門のうち…“6部門”でチャンピオン

 迎えた品評会。日本全国から、美しいニシキゴイが集まりました。

 錦鯉振興会による審査は、一日がかりで行われました。注目は、品評会の中で最も大きな賞である「総合優勝」ですが、果たして成田養魚園のコイたちの結果は…?

 総合優勝に輝いたのは、85センチを超える大物です。成田社長のコイは惜しくも、準優勝でした。

 成田社長:「これは『昭和三色』という品種なんですけど。黒の模様がうまく配置されているというのが特徴的なので。正直、赤が少なめなんですけど、その赤と白のコントラストというか、うまいこと墨の配置が良くなっている」

 それでも、成田さんが育てたコイは、9つの部門のうち、6つの部門でチャンピオンに輝きました。

 成田社長:「全体総合は、今回残念なことにとれなかったですけど、2番はとれましたので、すごく満足しています」

(「グッド!モーニング」2023年2月17日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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