相次ぐ“謎の飛行物体”撃墜 中国も「発見し撃墜へ」飛来したら日本は撃墜できるのか(2023年2月12日)

相次ぐ“謎の飛行物体”撃墜 中国も「発見し撃墜へ」飛来したら日本は撃墜できるのか(2023年2月12日)

相次ぐ“謎の飛行物体”撃墜 中国も「発見し撃墜へ」飛来したら日本は撃墜できるのか(2023年2月12日)

アメリカのアラスカに続き、カナダ上空でも未確認飛行物体が軍に撃墜されました。
世界中で報告が相次ぐ中国の気球との関連はあるのでしょうか。
一方中国も、現地メディアによると「山東省で正体不明の飛行物体を発見、撃墜の準備をしている」と発表しました。

▽「小さな円筒形」カナダでも“未確認物体”撃墜
(CNN)「速報です。NORADが新たな飛行物体を追跡しています。偵察気球の可能性もあります。アメリカ・カナダ国境近くで飛行物体が撃墜された次の日のことです」
アメリカ軍とカナダ軍が共同で運営するNORAD(ノーラッド)=北米航空宇宙防衛司令部は10日夜、アラスカ州上空を高高度で飛行する「物体」を確認、カナダの領空に入った後も監視を続けてきました。
(CNN)「はっきりさせないといけないのは、きのうアラスカ上空で見つかったものではなく新しい物体の話ですよね。」
「新しい物体の話です。NORADがカナダ北部で発見しました。実際、トルドー首相が先ほどツイートしました。『その未確認物体の撃墜を命じた』『カナダの領空を侵犯した』と」
アメリカのバイデン大統領とカナダのトルドー首相が11日に電話会談で「物体」の撃墜を承認し、F22戦闘機がカナダ北部の上空で撃墜したのです。
(カナダ アナンド 国防相)「“物体”を追跡し始めたときは暗く、目視で確認する必要があった。だから太陽が昇るのを待った。小さな円筒形という以外に現時点で“物体”の詳細は不明」
このニュースはすぐに中国でも…
「アメリカのまねか?トルドーが“不明物体”をカナダで撃墜したと表明。アメリカの軍用機で」と報道しています。

今月に入って相次ぐ「謎の飛行物体」の撃墜。4日にはサウスカロライナ、10日にはアラスカ、そして、11日にカナダ…これで3度目の撃墜。いずれも偏西風に乗って飛んできたとみられます。アメリカが、最初に撃墜した、大きさ60mにも及ぶ中国の気球。中国は「民間の気象などの研究用」と主張していますが、アメリカは軍事施設を標的に通信を傍受できるアンテナが搭載され「情報収集活動が可能だった」と断定しています。10日、アラスカ上空で撃墜した物体についてバイデン大統領は…
Q. アラスカで撃墜された物体については?
(バイデン大統領)「うまくいったよ。」
この時の「物体」は、最初に撃墜した気球よりもはるかに小さい小型自動車ほどの大きさ。今回、カナダで撃墜した物体も「小さな円筒形」というだけで、それ以上詳しいことは分かっていません。

▽「成層圏の上を利用」中国の“気球戦略”追跡
バイデン政権は、中国の気球製造などに関わったとして、中国企業6社を「禁輸リスト」に加え、アメリカ製品の輸出を事実上禁止する制裁を発表しました。制裁を受けた6社とはどんな企業なのか…その中の1社に連絡してみると…
Q. 日本のテレビ朝日です
(リストに載った企業)「申し訳ありませんが…」
Q. 今回の制裁の件はご存じですか
「知りません」
Q. 知っている部署はありますか
「この件には関わらない方がいいですよ」
別の担当者は…
Q. この件を知っているのですね
「私たちもこの件は知っています。取材は受けることができません」
中国が開発を進める“気球”について、米中の安全保障に詳しい静岡県立大学の西特任准教授は…
(静岡県立大学 西恭之 特任准教授)「中国は成層圏の上の方の利用を進めるということを10年前から明らかにしていまして、なぜそこを利用したいのかというと偵察・情報収集においては人工衛星よりは近い、コストも人工衛星に比べるとはるかに安い」
今回、アメリカの「禁輸リスト」に記載された企業の一つ、北京南江空天科学技術社は8年前、共同開発した気球の性能について中国国内のテレビ番組でこう説明していました。
(中国の番組(2015年放送))「各国の成層圏飛行艇の研究競争はますます激しくなっている。この分野で先制すれば、未来の必殺武器になる」
「圓夢号(ドリーム号)」と名付けられた気球は全長75m、上空2万m以上の成層圏に到達可能、そして長時間飛行・滞在が可能だといいます。
(中国の番組(2015年放送))「2つの周波数を使用、コントロール系統を2セット積み込み、通信を確保するため中国のナビゲーションシステムを使用。この3つのシステムにより飛行艇は常に我々のコントロール下に置くことを可能にしている。」
ドリーム号は、成層圏におよそ22時間留まり予定通りテスト飛行を成功させました。さらに中国科学院の公式ホームページには、去年5月に撮影された「最新の飛行艇」が紹介。気象条件に左右されず、コントロール可能な最新のシステムが搭載されており、技術の進歩が伺えます。
(静岡県立大学 西恭之 特任准教授)「当時、メーカーは軍事用途とは言ってなかったんですけども、その後中国の習近平政権は「軍民融合」という路線をはっきりさせている。中国はアメリカをはじめとして偵察したい国の近くに基地がないから気球を放ってはるばる送っているという面もあります。これは中国の弱点の表れでもある。」

▽“未確認物体”日本に飛来なら撃墜可能?
日本上空でも同様の飛行物体が、2020年から去年にかけて東北や九州で確認されています。おととい(10日)松野官房長官は…
(松野博一官房長官)「外国の気球が我が国の許可なく我が国領空に侵入すれば領空侵犯になることに変わりありません。国民の生命及び財産を守るために必要と認める場合には所要の措置を取ることができます。当該措置を取るにあたっては具体的な状況に即し適切な装備品等を用いることになります。」
実際に日本で撃墜は可能なのか…元航空自衛官の潮氏は…
(元航空自衛官 潮匡人氏)「気球の方が弾道ミサイルや戦闘機・爆撃機よりも迎撃ないし撃墜する事は難しいというのが正直なところだろうと思います。技術的な問題というのは、日本が特に不利な条件に置かれているという事はないんだろうと思いますが、日本の自衛隊の運用を巡る法制度というのが、日本とアメリカあるいはカナダといったような国とは根本的に異なっていますのでその点が一番大きな支障・ハードルになるだろうという風に思います。今回明らかにアメリカと並ぶ軍事力で近代化拡大を続けている中国の軍事目的による気球ということがほぼ確定している訳ですので日本がこれまでと同じ対応を続けるのはもはや国家の体をなしていないと私は思います。」

2月12日『サンデーステーション』より (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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