【報ステ解説】「育休中は学びの時間ではない」総理発言に反発も…問われる“本気度”(2023年1月30日)

【報ステ解説】「育休中は学びの時間ではない」総理発言に反発も…問われる“本気度”(2023年1月30日)

【報ステ解説】「育休中は学びの時間ではない」総理発言に反発も…問われる“本気度”(2023年1月30日)

“異次元の少子化対策”を打ち出している岸田総理。先週、国会で「産休・育休中の学び直しを後押しする」と発言し、SNS上では「育児中にできるわけがない」などの批判が相次ぎました。

自民党・鈴木貴子衆院議員:「この週末、ネットでもにぎわせてしまったのが、参議院の代表質問の“リスキリング(学び直し)と育休”。正直、私の周りでも『育休・産休中にリスキリング、それ本気で言ってるの』と反応が相次いだ」

発言の真意を問われた岸田総理。まず強調したのは、自らの“育児経験”です。
岸田総理:「私自身も3人の子どもの親です。子育てが経済的、時間的、さらには精神的に大変だと目の当たりにしましたし、経験もしました。ライフステージのあらゆる場面で、学び直しに取り組もうとする際に、本人が希望した場合には、しっかりと後押しできる環境整備を強化していくことが大事であると」

立憲民主党・山井和則衆院議員:「『育休は暇にしてると思っていのでは』『感覚がズレている』と非常に強い批判が出ています。認識、ズレすぎてるんじゃないですか」
岸田総理:「育休・産後を決して甘く見るということではないと、ご理解いただきたい。ご指摘は謙虚に受け止め、今後、発言については、より丁寧に、誤解のないように発信をしていきたい」

保育園にお迎えに来た保護者に聞きました。
4歳と1歳の子を育てる母親(34・育休中):「そういう環境があるのはありがたいかな。実際、自分の使える時間となると、子どもが寝た後かお昼寝してる時間か。育児もして家事もして、仕事のためにスキルアップもして、全部、課されるのは、正直きついなって」
7歳と4歳の子を育てる父親(37):「育児休暇中は、決して学びするための時間ではないと思う。それに補助することは大いにいいとは思うが、実際できるかどうかは疑問には思う。(Q.“育児休業”という名前だが、妻が休んでいたというイメージはある)全くそうは思わないですね。どちらかというと仕事の方が楽。そういう感じだったかなと」
4歳と1歳の子を育てる母親(39・育休中):「それ以前にやることがある。学び直しへの支援って、次の段階の話のような気もする。将来的なお金がかかるという部分で、不安な人が多いかな。教育費が、もうちょっと安くなるとか、負担が減れば、また違うかも」

30日の予算委員会では、児童手当をめぐり、自民党幹部の発言が取り上げられました。
立憲民主党・岡田克也幹事長:「茂木幹事長が、過去に所得制限を入れたことについて『反省している』と言われました。所得制限はもう入れないと茂木幹事長が言っているが、同じ考えなのかどうか、確認したい」
岸田総理:「茂木幹事長の発言については、今、児童手当をめぐって、さまざまな議論が行われている。そのなかで1つの意見であると認識」
立憲民主党・岡田克也幹事長:「与党幹事長の意見を1つの意見であると斬って捨てたわけですから、それなら幹事長にも、それを伝えてくださいよ。与党第一党の幹事長と総理の意見が食い違っているというのは、非常に誤解を招きますから」
岸田総理:「決して斬って捨てたというものではない。1つの意見が出た。それもまた1つ、政府として受け止めながら、今、内容の具体化を進めている。この作業を行っていきたい」

◆政治部・官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。

(Q.岸田政権の看板政策で批判を受ける形となりました。さすがに、ここまで予想していなかったのではないでしょうか)
その通りです。岸田総理の答弁を用意した秘書官も含めて、今回のリスキリングについて、批判の対象となるのは想定外だったようです。今回のリスキリングの質疑は、自民党議員の質問に総理が答えたものです。自民党のチェック、官邸のチェックも通っている。総理答弁は、前日や当日に秘書官たちと入念に、総理も含めてチェックします。そのチェックをスリ抜けた。誰もアラートを出さなかったと思います。感度が低かったと言われても仕方ないと思います。

30日の予算委員会で、印象に残ったシーンがあります。公明党・高木政調会長の発言です。
公明党・高木陽介政調会長:「私たちの世代というのは、あまり子育てに関わってこなかった。ここにいる委員の皆さん方も、子育てやってる方もいるんですけど、任せっきりの男性の方もたくさんいらっしゃると思うんですね」

高木政調会長は、国会議員の現状を正直におっしゃったと思います。与野党問わず問題だと思います。少子化は、国家の危機だというのは100%共感しますが、永田町や霞が関だけで政策立案をするには限界があるのかもしれません。

(Q.少子化対策は関心が高く、成果を上げられればいいのですが、失敗すると、諸刃の剣になる可能性もあると思いますが、どうでしょうかが)
政府は3月末をめどに、たたき台を取りまとめますが、現状では、具体的なゴールを描けているわけではなさそうです。“異次元”とハードルを上げたわけです。アイデアを持った方々がたくさんいると思います。単なる、総理がどこを視察しましたとかだけではなく、今までにないような国民の声を吸い上げるシステムが必要なのではないかと、取材をしていて感じます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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