ウクライナ民族楽器の演奏者 楽曲に託した“祖国への想い”「子どもたちのために…」(2023年1月21日)

ウクライナ民族楽器の演奏者 楽曲に託した“祖国への想い”「子どもたちのために…」(2023年1月21日)

ウクライナ民族楽器の演奏者 楽曲に託した“祖国への想い”「子どもたちのために…」(2023年1月21日)

 ウクライナ出身で、民族楽器「バンドゥーラ」の奏者であるカテリーナさん(36)を独自取材。演奏する楽曲に託した“祖国ウクライナへの想い”とは?

■観客「心に染みる歌声」「音楽は共通と実感」

 13日、群馬県高崎市の劇場で行われた、ウクライナ支援のためのチャリティーコンサート。ウクライナの民族楽器「バンドゥーラ」を奏でているのは、カテリーナさんだ。

 カテリーナさん:「そろそろ戦争が早く終わって、明るい話、明るい文化、明るい歌をたくさん皆さんにお届けしたいです」

 ロシアによるウクライナ侵攻後、日本各地でチャリティーコンサートを行ってきたという彼女が今、歌に込め届けたい思いとは?

 観客:「すごい心に染みる歌声で、これから世界が平和になってほしいなって、心から思いました」「日本語じゃなくても、ちゃんと伝わってくるなと。気持ちはちゃんと伝わるかなと思って」「音楽って共通だなって実感します」

 ウクライナ出身の「バンドゥーラ」演奏家、カテリーナさん。多くの観客を魅了したその歌声には、特別な思いが込められていた。

■生まれたのは…“原発事故”場所から2.5キロ

 カテリーナさんは現在、日本人男性と結婚し、息子と3人で暮らしている。しかし、ウクライナで暮らす母・マリヤさんのことが心配だったという。

 カテリーナさん:「ミサイルの振動が、ママが住んでいる家まで届いて。すごく怖くなって、あんなに近くまで落ちたということは、次は私たちの家にも当たる可能性はないと限らない」

 母を説得し、日本へ避難させることはできたが、気掛かりなことは他にもあるという。

 カテリーナさん:「生まれたのは、チョルノービリ原発事故が起きた所から、わずか2.5キロの距離。事故が起きたのは、生後1カ月の時」

■“思い”込め…最後の曲に「翼をください」

 1986年4月26日、旧ソ連で起きたチョルノービリ原発事故。生まれたばかりのカテリーナさんも被災し、現在のキーウで避難生活を送ることになった。

 カテリーナさん:「『あの人たちは、原発事故が起きた所から来た子どもたちだな、ちょっと怖いな』。休憩の時にお話しようとしたら、『えっ、ちょっとごめん。うつるかもしれないので嫌だ』とかって言われたり」

 原発事故により、いわれのないつらい思いをした幼少期。そのチョルノービリ原発は、今回のロシアによる侵攻で攻撃され、一時占拠されるなど、危険にさらされた。

 ロシアからの攻撃で、ウクライナの子どもたちに同じ思いをしてほしくない。そんな思いを込めて、最後の曲に選んだのが「翼をください」だ。

 カテリーナさん:「『翼をください』の歌詞は、すべて私の人生が書かれたような感じじゃないかなって。今、私の願いは、世界中が平和になってほしいです。子どもたちのために、安全な自由な平和な世界になってほしいという願いです」

■日本の琵琶法師と「音楽的背景が似ている」

 カテリーナさんが演奏するウクライナの民族楽器「バンドゥーラ」は、50から60の弦からなり、5オクターブの音域があるそうだ。

 その起源は12世紀頃にさかのぼり、目の見えない人も多く演奏してきた歴史があることから、カテリーナさんは「日本の琵琶法師とバンドゥーラ奏者は、音楽的背景が似ているかもしれません」と語っている。

 カテリーナさんは、音楽を通して自分の想いを伝えることについて、「今、行われている戦争に対して、心の中の叫びを声に出しても、それを聞きたくない人も多い。でも、その想いを歌詞にして歌えば、誰の心にも触れることができます。だからこそ、音楽で自分の気持ちを伝えていきたい」ということだ。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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