国民も待望 逮捕劇の裏に“執念の捜査”…“30年間逃亡”シチリアマフィアのボス逮捕(2023年1月18日)
30年間逃亡を続けたマフィアのボスが、イタリアで逮捕された。国民が待ち望んだ逮捕劇。その裏には、執念の捜査があった。
■「コーザ・ノストラ」ボス 最重要指名手配犯に
街中で響き渡る拍手、そして歓声。中には、泣きながら感謝を述べる男性もいる。
16日、イタリア国民がテレビにくぎ付けとなるニュースが飛び込んできた。
イタリア軍警察 アンジェロサント司令官:「パレルモの診療所で化学療法を受けていた、マテオ・メッシーナ・デナーロ容疑者を逮捕しました」
イタリア南部のシチリア島のパレルモで、30年間逃亡を続けていた男が逮捕された。マテオ・メッシーナ・デナーロ容疑者、60歳。
イタリアでは、悪名高いシチリアのマフィア「コーザ・ノストラ」のボスとして知られ、最重要指名手配犯となっていた。
「コーザ・ノストラ」は殺人の他、マネーロンダリング、麻薬取引、廃棄物の不法投棄など、あらゆる犯罪に手を染めているとされる組織だ。
■判事2人殺害した裁判 本人不在のまま“終身刑”
そんな組織のボスとされるデナーロ容疑者は、1990年代にミラノ、フィレンツェ、ローマで10人の死者を出した爆弾テロ事件などに関わっていた。
中でも、デナーロ容疑者の悪名を世に轟かせた事件がある。
1992年、マフィア撲滅に尽力していたファルコーネ判事とボルセリーノ判事を高速道路に仕掛けた爆弾で次々と殺害。その後、1993年に姿をくらまし、逃亡を続けていた。
デナーロ容疑者は2人の判事を殺害した裁判で、本人不在のまま終身刑を言い渡されている。
事件後、パレルモでは反マフィアの機運が高まり、国際空港に犠牲となった判事の名前を付けるなど、2人は反マフィア運動の象徴となっている。
■“ボスの中のボス”逮捕 パレルモ市民も喜びの声
今回の逮捕を受け、イタリアのメローニ首相はファルコーネ判事の名前が刻まれた慰霊碑を訪れた。
メローニ首相:「我々はマフィアとの戦争に勝ったわけではありません。ですが、この闘いは負けるわけにはいかない大事なものでした」
パレルモ市民も、今回の逮捕について喜びの声を上げている。
パレルモ市民:「今朝、マフィアの“ボスの中のボス”が逮捕されたというニュースを聞いた時、信じられず驚きましたし、喜びました」
■30年“執念の捜査”…数十人もの“誤認逮捕”も
逃亡劇に終止符を打った、30年に及ぶ執念の捜査を詳しく見ていく。
1993年から逃亡を続けていたデナーロ容疑者。捜査をするにも、昔の顔写真しかなかった。
そこで、80年代後半の頃の写真数枚を元に、最新のコンピューター技術など使って、手配写真を作成し、捜査に当たっていたという。
一方、少ない情報の中での捜査では、ある事態も起こった。数十人もの誤認逮捕者を出してしまったという。
イギリス・ガーディアン紙によると、2019年には、シチリアの病院の神経科に入院中の男性を誤って逮捕。また、おととしには、54歳のイギリス人男性を、武装警察がオランダのレストランで逮捕。男性はすぐに釈放されたという。
■「がん」と会話…同年代患者を“しらみつぶし”
こうした過ちを繰り返しながらも警察は捜査を続け、デナーロ容疑者の“孤立”を狙う作戦にでる
毎年可能な限り、デナーロ容疑者の資産を押収し、いとこや妹などの親族を含む、100人以上の仲間を逮捕。デナーロ容疑者と支援者を遮断したという。
また、シチリアの地元メディアによると、3カ月前、デナーロ容疑者の家族を盗聴しているなかで「がん」について会話していることが分かった。
そこで警察は、デナーロ容疑者と同年代のがん患者の膨大なデータをしらみつぶしに精査したという。
その結果浮上したのが、あるマフィアの元メンバーだった。
この人物は2020年から21年の間に、2度手術した記録があったが、携帯電話は、手術の日に別の町にあったことが判明。
この“不自然さ”から警察は「デナーロ容疑者が、この人物になりすまして手術を受けていたのでは」と推理したという。
そして、13日から病院前で監視を続け、16日についに逮捕となった。警察の執念が実った瞬間だった。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年1月18日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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