隊員17時間休みなしの救急車が“居眠り”事故…「第8波」で医療ひっ迫 救急搬送の要請に半数が受け入れできない病院も|TBS NEWS DIG
2022年12月、東京消防庁の救急車が横転する事故が起こりました。原因は隊員の“居眠り”とみられていますが、事故直前まで長時間ほぼ休みなしで働いていたそうです。
一方、横浜市にある病院は救急搬送の要請のうち、約半数を受け入れできない状態に・・・。第8波でひっ迫する医療現場を取材しました。
■助手席にいた救急隊員も居眠り 「今回の事故は起こるべくして起きた」
中央分離帯で横転しているのは東京消防庁の救急車。フロントガラスが割れ、バンパーも大破しています。事故は2022年12月29日に東京・昭島市で発生。乗っていたのは救急隊員3人で、幸い全員軽傷でしたが、“ひと安心”と言う訳にはいきません。
というのも、隊員3人は事故前日の朝に出勤してから17時間ほぼ休みなしで、7件の搬送を担当していたのです。
事故の原因は居眠り。捜査関係者などによると、ドライブレコーダーには運転席だけでなく助手席の救急隊員まで居眠りする姿が映っていたといいます。
東京消防庁の“ある救急隊員”は…
「救急車の出動率は常にほぼ100%で、トイレに行く時間もなく現場は疲弊している」
「交通事故は他人事ではない。今回の事故は起こるべくして起こった」
■救急搬送“半数”受け入れできず ほぼ満床の病院
喜入友浩キャスター
「救急車の姿が見えました。コロナの疑いがある患者が運ばれてきます」
横浜市にある横浜労災病院。2022年12月から新型コロナなどによる救急搬送が急増しています。
こちらの女性は、1月16日の朝、職場で突然倒れたといいます。37.5℃と発熱の症状もあり、新型コロナの感染を疑いながらの診察に…
この病院に運び込まれるまで、あちこちの病院で受け入れを断られたといいます。
医師「うちの病院で何件目ですか?」
救急隊員「3件目になります」
医師「2つは断られちゃいましたか」
救急隊員「1つは熱があってダメで、もう1つは救急が立て込んでいるということで断られました」
医師「きょうは厳しいですか?」
救急隊員「そうですね」
医師「結構断られている?」
救急隊員「そうですね」
横浜労災病院では、新型コロナの患者向けの病床を22床確保しています。ただ、ほぼ満床の状態が続いていて、救急の受け入れ要請を約半数、断っているといいます。
喜入キャスター
「断らざるを得ない状況についてどう思いますか?」
横浜労災病院救命救急センター 中森知毅センター長
「非常に皆さんには申し訳ないと思いますし、そして、お断るする側も『本当に辛いな』と救急医たちも言いながらお断りをしていて、つまりみんなが辛い状況でお断りせざるを得ない。つまり逼迫ということなんだなと思います」
1月16日、確認された全国の新型コロナの感染者数は5万4378人。5日連続で前の同じ曜日を下回っています。
ただ、神奈川県では病床の使用率が約80%と全国でも高い水準となっています。
中森センター長
「新規感染者数というもので見れば、ピークアウトしたように見えますけども、医療機関にかかる負担は、もう少し先にならないと気が抜ける状況ではないだろうと思っています」
■コロナ死者 9割超は60代以上 意識朦朧も…「もっと症状の重い人がいる」入院できず
困難な状況となっている救急搬送。その影響は夜間の救急往診を行う「ファストドクター」にも及んでいます。この日、向かったのはコロナに感染した80代男性の自宅です。
医師
「コロナ発症してから3回くらいぼーっとしたり、力が抜けちゃうようなことがあったと」
家族
「目がふーって上がっていくんですよ、お父さんって呼んでも、全然分からなくて」
男性の家族は救急車を呼びましたが…
家族
「(救急隊が)探してくださった、入院できるところ。だけどもっと重い症状の人がいるから(病院が)とれなかったと」
搬送できる病院が見つからなかったため、救急隊はファストドクターに往診を依頼しました。
今、こうしたケースが増えていると代表の菊池医師は話します。
ファストドクター代表 菊池亮医師
「どうしても(病院が)見つからない場合は、往診やオンライン診療といった形で患者さんの症状を一旦おさめながら調整を続けるケースもあります。3、4日、長いところだと1週間ぐらい入院ができないケースもあります」
第8波では、全国の死者のうち60代以上が占める割合は全体の9割を超えています。
高齢者施設では、クラスターへの対応に追われていました。
杜の癒しハウス文京関口 山田渡施設長
「職員が(新型コロナに)なって、そのあとに利用者も熱が何人か続いて。職員も結構なってしまって」
東京・文京区にある「杜の癒しハウス文京関口」では、2022年12月、職員6人と入所者10人が感染。このうち5人の入所者は施設内での療養を余儀なくされました。
このため、食堂を閉鎖したり、職員の出入り口を分けたりして入所者や職員同士の接触を避けるようにしたということです。
山田施設長
「接触しないような形で(入所者には)全て部屋にいていただいて、食事を運ぶのとかも…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20230117-6062285)
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