がんの父のため…在日ウクライナ女性が決意の帰国(2023年1月15日)

がんの父のため…在日ウクライナ女性が決意の帰国(2023年1月15日)

がんの父のため…在日ウクライナ女性が決意の帰国(2023年1月15日)

 ロシア軍の攻撃で死と隣り合わせの毎日が続くなか、3年半ぶりに一時帰国を果たした在日ウクライナ人女性の想いとは。

 鉄道でウクライナへ向かう女性。日本からの一時帰国を決断しました。

 アンナ・ミッツェルさん(キーウ出身):「私はこの度、ウクライナに行くことを決めました」

 アンナ・ミッツェルさんは、20年前にモデルとして来日したことがきっかけで日本のことが好きになり、日本で生活するようになりました。大切な家族もできました。

 アンナさんは現在もモデルや通訳などの仕事をしていて忙しい毎日を送っていますが、時間が空いた時には日本に避難してきたウクライナ人の支援も行っています。そんなアンナさんが今回、一時帰国を決めた理由は今もウクライナに残る父の存在でした。

 アンナさん:「(父親の)病気が悪化しているのは事実で、もちろん長生きしてほしいなという気持ちはあるんですけど、病気は急変することがあるので、不安で会いに行きたい気持ちが強くなってきました」

 アンナさんの父は、2年前にがんが見つかりました。いつ急変してもおかしくない状況のため、日本に避難してくることもできません。今すぐ父に会いたい、そんな気持ちをこれまで戦争が阻んできました。

 アンナさん:「もちろん怖いです、とても。ウクライナは今でも攻撃されているし、ミサイルも毎日、飛んでいるし、いつ何が起こるか分からない状態なので」

 それでも父に会えば、少しでも元気になってくれるのではないか。そんな思いを抱いての決断に日本にいる家族も理解を示してくれたといいます。

 アンナさん:「日本にいる家族に心配掛けるのは、もちろん申し訳なくて。ですが、こちらの家族はすごく理解してくれて、共感してくれて行かせてくれるので感謝してます」

 キーウへは、ポーランド・ワルシャワから寝台列車を使っていきます。今回、3年半ぶりの帰国となるアンナさん。両親には内緒にしているといいます。

 アンナさん:「前回、秋に行きますよと言った時にも(両親から)来ないでと言われ続けたので、今回は内緒で驚かせたいと思います」

 ワルシャワを出て16時間後。キーウに到着したアンナさん。実家まではタクシーを使って移動します。

 アンナさん:「帰って来られて本当にうれしい」
 タクシー運転手:「キーウは久しぶり?」
 アンナさん:「3年半ぶり。家に着きました!すごく緊張しています。待たないで(チャイムを)押したいと思います」
 母・オレナさん:「来てくれるとは思わなかった」
 アンナさん:「私の愛おしいお母さん、小さくなったね」
 母・オレナさん:「お父さんに」
 父・オレクシーさん:「何で来ることを教えてくれなかったんだ」
 アンナさん:「髪の毛はどこいったの?お父さん髪の毛は?」
 父・オレクシーさん:「もっと短くしたいのにお母さんが許してくれない」
 アンナさん:「許してくれないのね。私の愛おしい人たち、さあ座って」
 母・オレナさん:「帰ってくるなんて、だまされたわ」

 この後、恥ずかしがり屋だという父・オレクシーさんとたくさん話ができたといいます。この日の夕食は母の手作り、マッシュポテトとチキンのオーブン焼きです。

 アンナさん:「おいしかったです。お母さんの味ってやっぱりすごく心に残りますね、世界一。どんな高級食材よりお母さんの手料理が一番ですね」

 ロシアによる侵攻後、初めてキーウに里帰りしたアンナさん。停電が度々、起こり不便さは感じるものの、戦争状態だと感じることはあまりないといいます。

 アンナさん:「警報もまだ鳴っていないし、すごく強く戦争中という感じはしない」

 しかし取材中、空襲警報が鳴ったためこの後、避難してもらうことになりました。ウクライナのメディアによりますと、この日、ロシアによるミサイル攻撃でキーウ全域で空襲警報が鳴り、18棟の建物に被害が出たといいます。けが人はいなかったそうです。アンナさん一番の願いは、私たちが当たり前のように送っているごくごく普通の生活です。

 アンナさん:「子どもたちも大きくなったのでおばあさん、おじいさんとかに見せたいし、子どもたち3年半だと大きくなるのが早いです。見せたいです」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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