「政府に焦りの声」進まぬ3回目接種と検査キット不足の理由を記者解説(2022年1月27日)

「政府に焦りの声」進まぬ3回目接種と検査キット不足の理由を記者解説(2022年1月27日)

「政府に焦りの声」進まぬ3回目接種と検査キット不足の理由を記者解説(2022年1月27日)

新型コロナ・オミクロン株の感染が急拡大する一方で、3回目のワクチン接種はなかなか進んでいません。

政府が今月末までの目標としていた施設の高齢者・医療従事者など1470万人の接種率は現在、21%にとどまっています。

官邸キャップの山本志門記者に聞いていきます。

(Q.なぜこんなに遅れているのですか)

モデルナワクチンの副反応を気にする人がかなり多く、それが影響しているというのが官邸の見立てです。そして、オミクロン株の重症化リスクに対する危機感が、これまでよりも低いという国民の意識も影響していると考えています。

官邸は、高齢者などへの接種を、来月末の時点で80%終える見通しを示していますが、達成は相当厳しいのではないかという見方も出始めています。岸田総理をはじめ政府高官からは、焦りの声も聞こえてきているだけに、岸田総理はビデオメッセージで接種を呼び掛けたということだと思います。

(Q.手元にある在庫から、打てる自治体に配っていけば、ここまで遅れなかったのではないかと思いますがいかがですか)

自治体に配る量を、もっと戦略的に配分すべきでなかったのかという声は上がってきています。前の菅政権の幹部は「自治体のバランスを気にしすぎている」として、公平に配分したことに疑問を呈しています。つまり、打てる自治体にはどんどん回していくべきだとしています。

接種の前倒しも断続的に示したことなどで、自治体が混乱したこともあり、政府の対応が後手後手ではないかと、見通しの甘さを否定できない部分もあると思います。

(Q.検査キットが各地で不足していますが、岸田総理が去年10月に就任してから、感染が落ち着いていた時に準備はできなかったのですか)

感染拡大のスピードが想定を超えてきた部分は大きいと思います。ただ、検査体制のひっ迫や、検査キットが足りなくなることを事前に想定して、準備してきたかといえば、官邸内を取材していても聞こえてきませんでした。ここは見積りの甘さがあったんじゃないかと思います。

また、後藤厚生労働大臣の「(検査キットは)発熱の症状がある人に対して検査を行う医療機関や保健所への供給を優先する」という発言は、検査キットの不足による様々な影響が出てしまっていることが背景にあると思います。

現在は10日間とする一般の濃厚接触者の待期期間を、政府は短縮する方針ですが、検査での陰性を条件にする方針です。しかし、ある官邸幹部は「検査キットが足りないから、そこに踏み切れないでいる」とも説明しています。

政府はメーカーに増産してもらうよう発破をかけていますが、その配分は一般の薬局などではなく、まずは医療機関などに優先的に配布して、何とか回していきたいというのが現状です。

(Q.岸田総理は「危機管理は最悪の事態を想定して行うもの」と再三言ってきました。しかし、想定できなかったということは、危機管理能力に疑問符がつきませんか)

去年の年末の感染状況を踏まえて、少し楽観視していた感じもします。去年11月に今後の対策の全体像を示しましたが、そこには新たな変異株が出ても、その感染力はデルタ株の3倍程度と見積もっていて、それをベースに準備を進めてきました。その想定を超えてきたことが、現在の色々な問題を生んできている部分があると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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