メキシコ・麻薬王“エル・チャポ”の息子 “再拘束”の理由…丸山ゴンザレス氏に聞く(2023年1月9日)

メキシコ・麻薬王“エル・チャポ”の息子 “再拘束”の理由…丸山ゴンザレス氏に聞く(2023年1月9日)

メキシコ・麻薬王“エル・チャポ”の息子 “再拘束”の理由…丸山ゴンザレス氏に聞く(2023年1月9日)

 メキシコの麻薬王の息子が治安当局によって拘束されたことを受け、犯罪組織が激しい攻撃を行っている。道路が封鎖され、空港でも被害が出るなど混乱が広がっている。

■麻薬王“エル・チャポ”の息子 拘束に数千人

 激しく燃える車。機内には、息を潜めうずくまる人々。今、1人の男の拘束を巡って、メキシコが揺れている。

 5日、麻薬王“エル・チャポ”の名で知られるホアキン・グスマン受刑者の息子で、麻薬組織のリーダー、オビディオ・グスマン容疑者が銃撃戦の末、治安当局に拘束された。

 この拘束作戦のために、動員された兵士は数千人に及ぶという。

 麻薬組織は拘束されたリーダーを奪還するため、攻撃を開始した。

 撮影者:「まだ炎が上がっている。ものすごい。道が…なすすべがない」

 リーダーを奪還するため、麻薬組織はトラックや車に火を放ち、道路を封鎖。さらに空港も襲撃し、離陸直前の旅客機が銃撃を受けた。

 メキシコ ロペス・オブラドール大統領:「任務を遂行し、命を落とした方々、そして、亡くなられた方全員を追悼します」

■4年前にも拘束 大統領指示で釈放 理由は…

 凶悪犯の拘束に成功したメキシコ治安当局だが、実は、オビディオ容疑者を拘束するのは、今回が初めてではない。

 今から4年前の2019年、治安当局は今回同様、激しい銃撃戦の末にオビディオ容疑者を拘束した。

 しかし、現在も大統領を務めるロペス・オブラドール氏の指示で釈放されたのだ。

 メキシコの麻薬組織を取材しているジャーナリスト・丸山ゴンザレス氏に釈放された理由を聞いた。

 丸山ゴンザレス氏:「オビディオ・グスマン容疑者の1回目の逮捕された時、逮捕した警官が報復で殺されている。警備の要員を上回る(麻薬組織の)人数が動いたとされているんですよ。700人以上ですね。しかも、ただの銃撃とかじゃなくて、捜査機関の人たちの家族をターゲットにするっていうことに出たんで。そうすると、もう釈放せざるを得なかった。(今回も)これで終わりじゃないだろうなって感じがしてますね」

■米国 麻薬密輸で被害…“6.7億円”懸賞金も

 なぜメキシコ政府は、このタイミングでオビディオ容疑者を拘束したのか。そこには、アメリカが関係しているようだ。

 麻薬王“エル・チャポ”の名で知られるホアキン・グスマン受刑者の息子で、麻薬組織のリーダー、オビディオ・グスマン容疑者が、最初に拘束されたのは2019年だった。

 しかし、報復の恐れがあることから、大統領の指示で釈放されていた。ただ、この釈放をよく思っていないと考えられるのが、麻薬の密輸などで被害を受けているアメリカだ。

 アメリカ側はこれまでに、オビディオ容疑者に6億7000万円の懸賞金をかけている。

■バイデン大統領に「“治安状況制御”示したか」

 では、なぜこのタイミングでの拘束だったのか。その理由は、メキシコで今週開催される北米首脳会議だった。

 アメリカのバイデン大統領も出席する予定で、ロイター通信によると、9日午後には、両国大統領の首脳会談も予定されているそうです。

 CNNは、今回のオビディオ容疑者拘束を専門家の見解として、バイデン大統領がメキシコを訪れる直前に行われ、メキシコのオブラドール大統領が「軍隊とメキシコの治安状況をコントロールできていることをアメリカに示した可能性がある」と報じている。

■自国だけでは…「米国と協力・連携したい」

 アメリカと距離をとっているメキシコのオブラドール大統領だが、なぜ今回はアメリカの意向に沿って再拘束したのか。

 アメリカとメキシコの麻薬問題を巡る関係について、メキシコの麻薬組織を取材しているジャーナリストの丸山ゴンザレスさんは、「メキシコ政府は国内問題にアメリカが介入することを嫌う。しかし、麻薬問題は自国だけでは解決できないため、アメリカと協力・連携したいと思っている」という。

 これでメキシコの治安は収まるのか。丸山さんは「今回の拘束で、メキシコの麻薬問題や治安悪化が収まることはない。麻薬王“エル・チャポ”が率いる組織以外にも、メキシコには強力な麻薬組織がいくつも存在する」といい、そういった面からもアメリカとの協力が必要だとみている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年1月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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