プーチン大統領の一方的“停戦提案” 本心か策略か?その意図は(2023年1月6日)
ウクライナ侵攻以来、初めて停戦を命じたプーチン大統領。専門家は、この動きを国民に向けたメッセージが込められていると指摘しています。
第100独立領土防衛旅団は多くの志願兵によって構成される部隊です。激戦地から遠く離れたウクライナ北西部。しかし、常に新たな攻撃を警戒して訓練を欠かしません。
激しい戦闘が続く東部では、変わり果てた街で日夜、住民は恐怖におびえています。
ロシアがウクライナに侵攻を開始してから10カ月以上が過ぎるなか、ロシア大統領府は5日にプーチン大統領による“命令”を発表しました。
ロシア、プーチン大統領:「6日の正午から8日の午前0時までの間、停戦するよう国防相に命じた」
36時間の一時停戦です。期間中の7日は旧暦を使うロシア正教やウクライナ正教のクリスマス。プーチン大統領はロシア正教会のキリル総主教の提案に応じたとしています。
プーチン大統領:「信者がクリスマスの礼拝に参加できるよう、ウクライナ側も停戦を宣言するよう求める」
この突然の一方的な提案をウクライナのゼレンスキー大統領は策略だと切り捨てました。
ゼレンスキー大統領:「ロシアは『クリスマス休戦』を隠れみのにして、東部ドンバスでのウクライナ軍の反撃を止め、人員と装備をさらに投入しようとしている。それでどうなる?また損失が増えるだけだ」
侵攻開始当初は、ロシア側は首都キーウにも迫っていました。しかし、ウクライナ軍の抵抗で東部に戦力を集中させる方針に転換。秋には南部から東部にかけての4州の併合を一方的に宣言しましたが、その地域でもウクライナ軍の反転攻勢にあっています。
アメリカのバイデン大統領はプーチン大統領が苦しい立場に立っているとの見方を示しました。
バイデン大統領:「プーチンの発言に反応するのは気が進まない。彼は12月25日や元日にも病院や保育園、教会を爆撃しようとしていた。息を付こうとしているのだろう」
停戦は戦況に変化をもたらすのでしょうか。
東京大学先端科学技術研究センター・小泉悠専任講師:「36時間、一日半で立て直せる戦力はそんなに大きくない。もちろん最大限、戦力の立て直しにも使うだろうが、軍事的というよりは政治的、社会的な目的が大きいのではないかと思う。国内向けのメッセージがあるのではないかと思う」
なぜ、プーチン大統領は国内に向けてメッセージを出す必要があるのでしょうか。
プーチン大統領によるクリスマス停戦の提案。それが向けられているのはウクライナではなく、国内に対してだと言います。
東京大学先端科学技術研究センター・小泉悠専任講師:「軍事的というよりは政治的、社会的な目的が大きいのではないかと思う。ロシア国内ではいい加減、戦争に対してうんざりしている気持ちもあるので、この日くらいは戦争はしないという国内向けのメッセージがあるのでは」
プーチン大統領によるクリスマス停戦の提案をウクライナ国民はどう受け止めたのでしょうか。
ウクライナ市民(21):「まず第一に馬鹿げていると思います。国際女性デーにも独立記念日にも12月25日にも停戦しなかったのに、なぜ今なんでしょう」
ウクライナ市民(25):「これまでと同じだと思います。宣言はするけど停戦はしないで、ウクライナ軍が反撃したらプーチンはテロだと非難するつもりでしょう」
ロシアが「一時停戦を提案」する一方、プーチン大統領はトルコのエルドアン大統領と電話で会談。「対話のためにはウクライナ側が領土の喪失を受け入れなければならない」と話していました。プーチン大統領が引く気配を見せないなか、西側にも動きがありました。
国防総省・ライダー報道官:「ウクライナの領土防衛を有利にする火力と装甲が提供されます」
アメリカとドイツが首脳会談をし、歩兵戦闘車を提供することで一致したのです。これまで提供を見合わせてきたものです。
東京大学先端科学技術研究センター・小泉悠専任講師:「明らかに従来の西側諸国の軍事援助、ポリシーから一歩踏み出した。これは戦争の早い段階で、そういうものは送らないという取り決めを早い段階で交わしていたようなんです。戦車や歩兵戦闘車は戦場でかなり決定的な威力を持っているので、ウクライナ軍が大々的にロシア軍を押し返し始めるとエスカレーションの危険がある。ところが今回は戦車まではまだいかないけど、その次ぐらいに強いやつ、歩兵戦闘車送ることに決めた。今回、歩兵戦闘車で終わっちゃうのか。本当に戦車みたいなものまで入ってくるのか、そこも注目点かなと思う」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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