4大臣ドミノ辞任 支持率低迷も「岸田おろし」ナシ 防衛増税“波乱”ウラに重鎮?(2022年12月29日)

4大臣ドミノ辞任 支持率低迷も「岸田おろし」ナシ 防衛増税“波乱”ウラに重鎮?(2022年12月29日)

4大臣ドミノ辞任 支持率低迷も「岸田おろし」ナシ 防衛増税“波乱”ウラに重鎮?(2022年12月29日)

 旧統一教会問題や政治とカネの問題などでわずか2カ月余りで、4人の大臣がドミノ辞任。支持率が下がり続けた岸田政権、“波乱の政権運営”、裏側には岸田総理大臣が頼る重鎮たちの存在があるようです。

 今年の漢字に「進」を選んだ岸田総理。

 岸田総理大臣:「来年も一つひとつ課題を進めていくべく、努力したいと思います」

 来年も突き進む覚悟をみせた岸田総理ですが、7月の参議院選挙で大勝し、一時54%近くあった内閣支持率は現在31%。政権維持が難しくなるとされる危険水域30%割れ目前です。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「内閣支持率が下落して、急落をして不支持率が圧倒的に多い内閣だが、不思議と『岸田下ろし』がない。『超低空水平飛行内閣』。もう地面は見えているが、機体は下に向かない状況ではないでしょうか」

 7月以降、下落し始めた内閣支持率。その前とその後で何が変わったのでしょうか。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「現権力者の岸田さん。これに対してもう1つ、安倍さんという柱があって、この2つが相互に作用しながら政権全体が前に進んでいく構図だったが、その一方の大きな柱の安倍さんがこつぜんと消えてしまってですね、そこが埋められないまま政治全体がいわゆる漂流している」

 7月に非業の死を遂げた安倍元総理。地元では政治活動の拠点だった事務所が閉鎖されました。自民党内最大派閥97人を束ねていた安倍元総理。その後ろ盾があって誕生した岸田総理にとって、安倍元総理不在の安倍派との関係が重要でした。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「(安倍派は)会長不在のまま決定能力がない。派閥全体としてこうしたいという方針決定ができない。これを誰に委ねるのか、今最も影響力のあるのは森喜朗元総理。岸田さんは森さんのパイプを利用しながら、森さんを通じて安倍派全体をコントロールしているというのが今の状況だと思います」

 寺田総務大臣が事実上更迭された翌日の11月21日。この日行われた会談が1つの“節目”になったとジャーナリストの後藤さんはみています。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「11月21日に早稲田大学の大隈庭園の中の料理店で、森さん、青木さん、岸田さんというメンバーが会食をしている。ここが今回の大きな出発点の1つだと思います」

 岸田総理と会食したのは、安倍政権誕生の後ろ盾となった森喜朗元総理のほか、自民党参議院のドンと言われた青木幹雄元自民党参議院会長らです。岸田総理は、森元総理、青木氏のほか、大島理森元衆議院議長など、自民党のOB、いわゆる「長老たち」に相談しながら自民党内をコントロールし始めたといいます。

 例えば、岸田総理が打ち出したいわゆる「防衛費増税問題」。

 岸田総理大臣:「毎年度約4兆円の追加財源の確保が必要となります」

 岸田総理は防衛費を増額し、その財源の一部を増税で賄うと表明。ところが安倍派議員を中心に今増税すべきではないと異論が続出しました。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「今回の増税話も12月14日、昼間ですが、総理公邸で岸田さんと昼食を取りながら森さんが会談をして、森さんが『俺に任せておけ』ということになって、この日は税調がワンワン激しい議論が起きていた時ですが、翌15日になって安倍派の怒りも散発的になり、そして16日には税制改正大綱が決まると」

 先の自民党総裁選挙で、安倍元総理が支援した高市経済安全保障担当大臣が岸田総理を批判したことについても…。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「高市さんの処遇については、森さんが『穏便な形で済ませてもらいたい』と。それに近い趣旨の発言をしたと聞いています」

 岸田総理は人事や政権運営など、森元総理ら長老に相談しながら活路を見いだしているといいます。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「長老の意見を尊重しながら、現在の政権運営の方向性を定めているというのが岸田内閣の大きな特徴だと」

 防衛力強化とそれに伴う増税。さらには原発政策の転換と独自路線を進み始めた岸田政権。その背景には霞が関の存在がありました。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「岸田さんの様々な政策については“安倍時代にできなかったこと”も結構ある。それはやはり霞が関、つまり官僚機構と安倍さんの関係はある種、緊張状態もあった。今回、岸田さんに対しては霞が関は応援団にまわっていると。岸田さんの決断があれば、霞が関が束になって理屈を考える。例えば増税の問題は財務省が強く支援したんだと思いますね」

 “長老の力”と霞が関の支援で決断力が増してきたという岸田総理ですが、持ち味だった「聞く力」の対象が「国民」ではなくなってきているのではないかと後藤さんは懸念しています。

 ジャーナリスト・白鴎大学名誉教授、後藤謙次氏:「岸田さんの決断力の発揮の場所がですね、国民との間でズレが生じているんだと思いますね。国民は人事の方はさっさとやってくれよと。だけど防衛力の増強とか増税とか原発再稼働とか新増設とか、これはもっと議論してほしいよと。その部分がですね、この後、どういう国民世論の反動となって出てくるのか。そこが岸田さんの今後の政権運営の最大のカギを握るんじゃないでしょうか」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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