【報ステ解説】ふるさと納税に異変“日用品”人気…物価高やエネルギー危機が背景(2022年12月27日)

【報ステ解説】ふるさと納税に異変“日用品”人気…物価高やエネルギー危機が背景(2022年12月27日)

【報ステ解説】ふるさと納税に異変“日用品”人気…物価高やエネルギー危機が背景(2022年12月27日)

自治体への寄付で特産品などを受け取れる『ふるさと納税』。牛肉やカニ、イクラといった豪華食材の返礼品が人気ですが、今年は、その中に“日用品”もランクインしています。

200種類以上の返礼品を揃える川口市ですが、寄付件数でダントツなのがトイレットペーパー。寄付件数は804件で、去年の同じ時期と比べて4倍以上に伸びています。

これまでにない繁忙期を迎えている川口市の製紙工場。ふるさと納税の返礼品、トイレットペーパーが生産されています。
鶴見製紙営業部・星光亮課長:「中でも白い物だったり、色が付いたり、匂いが付いたものがあって、こういった商品を返礼品として使っている。いっぱい注文いただくことは非常にうれしいことなので、こちらは出荷体制を整える次第。12月中旬・下旬にきて駆け込みで増えてきていると実感している。(ふるさと納税を)始めて2年ちょっとでこんなに増えるとは。正直、うれしい悲鳴かなと」

トイレットペーパーなど日用品の人気が高まっている理由について、“物価高”があるといいます。
ふるさと納税ガイド・飛田啓介編集長:「コロナ禍になって、日用品の消費量が在宅の流れでどんどん増えて、ふるさと納税の日用品の人気が徐々に始まってきていたが、この物価高の影響で大きな人気になったのが今年のトレンド。家計の節約に繋げていこうという動き」

例えば、今年、繰り返し値上がりした『パスタ』を返礼品とする寄付件数は去年の2.3倍。『食用油』は1.4倍に増加しています。さらに、ウクライナ侵攻による輸送路の変更などで燃料費が高騰している『サーモン』は去年の1.3倍です。

今年分の申し込み期限が迫るなか、羽田空港では、帰省客を対象に1日限定で、ふるさと納税の特設コーナーが設けられました。
初めて利用した人(50代):「今までもったいなかった。おいしくいただきたいと思います」

宮崎県都城市ふるさと納税担当・大重健太郎副主幹:「普段使いできるような鶏肉や豚肉など、小分けになって、夕食で簡単に使える返礼品も非常に人気」

街で、すでに申し込みを済ませた人に聞きました。
主婦(40代):「米と乳製品、あとお肉。普段、使う用のものを、地元が福岡なので福岡のものや、旅行に行った先のものが多い」
主婦(70代):「(返礼品は)トイレットペーパーです。お得ですよ。(自分で買うと)重たいが箱で届くから。(Q.スーパーでは)買わないです。食べ物もいいけど、日常品のほうが助かる」

年々、行う人が増えている『ふるさと納税』。今年のキーワードは、“物価高”“行動制限緩和”“エネルギー危機”です。

まず、“物価高”ですが、今年は、物価高騰の影響で、『卵』や『さんま』など、日用品を選ぶ人が増加しています。

次に、“行動制限緩和”。3年ぶりに行動制限のない年末年始を迎えます。旅行などの『体験・ツアーチケット』は2.3倍、『スキーのリフト券』が1.6倍と、レジャー関連の返礼品が人気です。

そして、“エネルギー危機”。『電気』も返礼品として申し込みが増えています。背景に電気代の高騰などがあります。去年6月から“地域で発電した再エネ電気”が返礼品に加えられました。三重県川越町では、今月19日から、 太陽光パネルで発電した電気を返礼品に加えました。申し込みには、特定の事業者との契約などが必要で、愛知県や岐阜県など、中部エリアに住んでいることが条件です。電力そのものが返礼品になるわけではなく、1万円につき実質2500円が月の電気代から引かれます。去年1年間の川越町の寄付総額は約92万円。今年は電気の申し込みだけで195万円の寄付があるといいます。

地方が潤う一方で、都市部の税収が減るという課題は、常々、いわれています。今年度、住民税の税収が多く減った自治体は、横浜市・名古屋市・大阪市・川崎市・世田谷区などで、都市部が多いです。

川崎市は、約103億円の減収を見込んでいます。川崎市の担当者は、「去年に比べ、減収額が20億円ほど増えている。看過できない状況」と危機感を募らせています。

都市部は、人口が多く、収入が高い人が多い。現在は特例控除額が、所得に応じて課せられる住民税の2割までになっています。定率になっているので、高所得者ほど、ふるさと納税の寄付額が増えるし、節税効果も高くなります。川崎市を含む政令指定都市市長会では“定率”ではなく、例えば10万円までなど“定額”の上限を設置するなどの見直しを国に要望しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事