【報ステ】閣僚経験者「官邸はセンスない」“防衛増税”に大臣ら反発…復興税転用案も(2022年12月12日)

【報ステ】閣僚経験者「官邸はセンスない」“防衛増税”に大臣ら反発…復興税転用案も(2022年12月12日)

【報ステ】閣僚経験者「官邸はセンスない」“防衛増税”に大臣ら反発…復興税転用案も(2022年12月12日)

敵のミサイル発射基地などを攻撃する『反撃能力』の保有を盛り込んだ、防衛関連3文書の改定内容について、与党が合意しました。

ただ、防衛費増額の財源をめぐる問題の決着は、まだついていません。

自民党・塩谷衆院議員:(Q.増税には党内から反対意見もあるが)まだこれからです。

高市経済安保担当大臣はツイッターで、岸田総理が表明した増税に異論を唱えました。

高市大臣:総理から突然の増税発言。反論の場もないのかと、驚きました。

発端となったのは、官邸で開かれた政府と与党の会議。岸田総理はこの場で、防衛費に使う1兆円強を増税」でまかなう方針を明らかにしました。

高市大臣は、この会議に呼ばれなかったとしたうえで「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解できません」と真っ向から批判しました。

高市大臣は、閣議の前には岸田総理の隣に座り、臨時代理の順位も、官房長官に次いで2番目にあたります。

松野官房長官は、閣内不一致ではないと否定します。

松野官房長官:様々な努力や工夫を行ったうえで、なお不足する財源については、税制でご協力をお願いしなければならない。その考えは、閣内でも共有されているものと考えています。

異例の批判について、高市大臣は…。

高市大臣:ちょっと唐突感がございましたので。内容もまだ分からないし、全体でかかる金額も分からない時に“増税の対応を”という話が急にございましたので。来年度の税制の話ではございませんので、この年末のタイミングでおっしゃったことの真意が、私自身も分かりませんでした。現段階でもそうです。しっかりと時間をかけて、来年末ぐらいまでに検討を進める。そういった性格の事柄と、私は理解を致しておりました。

防衛費をまかなうため、どの税金を充てるのか。政府・与党が調整しているのが、次の3つです。

法人税で7000~8000億円、たばこ税で2000億円、そしてもう一つが『復興特別所得税』です。ここから2000億円をねん出して、1兆円あまりを確保するといいます。

復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興のために、2037年度までに限って所得税に上乗せして徴収されています。

政府は、この期限を延ばし、一部を防衛費に転用することを検討しています。

この案に“待った”をかけたのが、秋葉復興大臣です。

秋葉復興大臣:一部報道で、党の税調において、防衛費の財源確保について、一部、復興財源が使われるんじゃないかと報道が出ておりますけど、復興庁としては、復興財源が防衛費に使われることは断じてないと。

党で政策をまとめる立場の萩生田政調会長も…。

自民党・萩生田政調会長:もうこれは、あらゆる選択肢を排除しないで、例えば“国債”も排除しないで、しっかり予算を組んで、一日も早く抑止力を高める、防衛力を高める。“増税”は最終の選択肢だということ。

閣僚や党幹部から苦言が相次ぐ、異例の事態。岸田総理は、増税は避けられないとのスタンスです。

岸田総理:“国債で”というのは、未来の世代に対する責任として、取り得ないと思っております。あらゆる努力をしたうえで、最終的に国民の皆さんに一定のご負担をお願いせざるを得ない。

12日夜、総理公邸で全閣僚と夕食をともにした、岸田総理。その直前に今年の漢字を問われ、こう話していました。

岸田総理:「進」という字を選びたいと思います。様々な課題を一つ一つ進めていく一年だったと思います。来年も、この一つ一つ、課題を進めていくべく努力したい。

***

◆政治部・与党担当の平元真太郎記者

(Q.政府・自民党の中枢から異論が噴出する形になっています。岸田政権の求心力を含めて大丈夫ですか)

自民党内でも異論・反論が相次いでいて、岸田総理は求心力をさらに落とす形となっています。

党幹部からは「この件で事前の根回しはなかった」と不満の声が聞こえています。

また、岸田総理は“来年度は増税しない”と明言していますが「それならなぜ、年内に慌てて増税の詳細まで決めないといけないのか」という意見も根強くあります。

閣僚経験者からは「官邸はセンスがない」といった冷ややかな声も上がっています。

(Q.現職閣僚や党役員から批判が上がるというのは、岸田総理にとっては深刻な事態ではないですか)

閣僚から公然と異論が出るというのは、これまでの安倍政権や菅政権ではあまり見られなかった光景で、岸田総理にとってはマイナスと言えます。

ただ、西村大臣・高市大臣・萩生田政調会長というメンバーを見て、自民党内では「分かりやすいよね」といった皮肉めいた見方があります。

つまり、党内では、安倍元総理と考え方の近い、保守派の中の“主導権争い”だとみるむきがあります。

自民党内全体を見ると、いわゆる“岸田降ろし”といった、政局の雰囲気は取材をしていて感じられません。

その理由は、明確な“ポスト岸田”という存在がいるわけではないことが一つ。また、国政選挙がしばらくないことが背景です。

自民党は13日、国会議員全員が発言できる場を設けるが、その場で意見集約ができるかは不透明です。

15日にも、自民・公明は与党として増税案をまとめる予定でしたが、スケジュールが少しずれ込んでしまいそうです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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