【旧統一教会の被害者救済新法】適用範囲と課題“悪質勧誘”抑止は◆日曜スクープ◆(2022年12月11日)

【旧統一教会の被害者救済新法】適用範囲と課題“悪質勧誘”抑止は◆日曜スクープ◆(2022年12月11日)

【旧統一教会の被害者救済新法】適用範囲と課題“悪質勧誘”抑止は◆日曜スクープ◆(2022年12月11日)

 新法成立で、献金・寄付の悪質な勧誘の排除に功を奏すのか。旧統一教会による高額寄付被害への対処を目指す新法が、自民、公明、立憲、維新、国民民主などの賛成で可決、成立した。寄付の勧誘を行う際、自由意思を抑圧しないなどとする配慮義務に、野党が異論を唱える場面もあったが、与党が「十分に配慮」の文言を追記した修正案を示し賛同に至った。同法4条では、不当な勧誘として、不退去、退去妨害、また、霊感で不安につけ込むなどの6類型を禁止行為と定めた。また、4条では、寄付の取り消しを可能とした。5条では、借入による資金調達の要求を禁じた。禁止行為に違反した場合は、行政措置や罰則の対象と規定、行政の勧告・命令に従わない場合は、罰則は1年以下の拘禁刑、もしくは、100万円以下の罰金が科される。

 同法は、配慮義務として、▽自由な意思を抑圧しない、▽寄付者やその親族の生活維持を困難にさせない、▽寄付の相手方と使途を誤認させない、の3点を規定した。配慮義務の不履行があれば、行政が勧告、従わなければ法人名の公表を行う。これについて、紀藤氏は大きな前進としたものの、「行政処分の内容が明確ではない」と抑止効果に懐疑的な評価。また、過去事案は、新法の適用対象にならない。法令は将来に向かって適用され、過去の出来事に遡って適用することができないとする“法の不遡及”という原則から、これまでの被害は直接救済されない。「新法は将来の被害者を出さない利点はあるが、現役の信者と過去の被害は救済が不可能」と、紀藤氏が新法の課題を指摘する。

 元2世信者で、宗教2世の子どもの窮状等を訴える小川さゆりさん(仮名)が9日、被害者救済法案を審議する参院消費者問題特別委員会に参考人として出席し、宗教2世の経験と窮状を訴えた。小川さんは、新法の成立に感謝の言葉を述べつつも、「子どもの被害が救済されない」と指摘する。

 子どもや配偶者が受けた被害について、取り戻せる範囲が扶養料に限定され、金額が少な過ぎるなどの課題もある。加えて、未成年の子どもが、お金を取り戻すのに親の同意が必要となる。両親ともに信者の場合は困難になる。親権者の代わりとなる未成年後見人を据えての訴訟提起は可能だが、親権停止の審判が必要となるなどプロセスが険しく、高い壁を乗り越えなくてはならない。10日の参院消費者問題特別委で岸田総理は、「損害賠償の判断にあたっては、親がこれまでした寄付の金額なども考慮されうると考える」と見解を示した。紀藤弁護士は、子どもの救済を進展させるうえで、「救える方法は行政処分しかない。そうでないと予防効果がない」と強調する。

 新法による被害者救済はどこまで実現可能なのか。そして、新法成立後も取り組むべき課題とは!?消費者被害や宗教・カルトの法律問題に精通する紀藤正樹弁護士とともに考察する。

★ゲスト:紀藤正樹(全国統一教会被害対策弁護団)
★アンカー…杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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