“日本一雲に近い”露天風呂…客3倍「若い人が増えた」“過酷”なのに人気の理由(2022年11月23日)
山道を2時間以上登らないとたどり着けない場所にある、“日本一雲に近い”露天風呂・本沢温泉「雲上の湯」。秘湯にもかかわらず利用者が、去年の3倍に!?なぜ、こんなところまでやってくるのか追跡しました。
■工程約6キロ…待ち受ける“3つのポイント”
秘湯があるのは、八ケ岳の長野県側。登山道の入り口で、新潟県から来たグループに出会いました。
山岳会リーダー 戸貝美枝子さん:「30代が1人、60代が3人、70代が1人」
最高齢の71歳、山岳会リーダーの戸貝美枝子さん。20代から半世紀近く山登りを続けています。
戸貝さん:「最近は、温泉のある山がすごく好きになった。まったりしたい」
日帰りの人が多いといいますが、戸貝さんたちはテント泊をするため、15キロもの荷物を持って登ります。
戸貝さん:「久しぶりなんです。こんなに大荷物を背負って登るの」
登山道の入口から秘湯までは、およそ6キロ。3つのポイントがあるといいます。
■「地獄坂」の先に見える“絶景”
1つ目は、ほぼ中間地点で待ち受ける急こう配。疲れがたまった登山者の心を挫く“地獄坂”です。
戸貝さん:「ハア、ハア」
しかし、この先に、とっておきのポイントが待っているのです。
戸貝さん:「どこ?木の間?私には見えない」
男性:「心がにごっているから、見えないんだよ」
戸貝さん:「あー、この間にね。分かりました」
2つ目のポイントは、富士山を拝める絶景スポットです。分かりますか?富士山の頭が見えています。
戸貝さん:「毎日見ている富士山。うちのトイレに大きい富士山(ポスター)掛かっています」
■最後の難関“断崖絶壁”を越え…
さらに歩くこと、およそ1時間。戸貝さんにアクシデントが起こります。
戸貝さん:「ごめん。足つったから、対処して行きますので、先行ってて下さい。きょう、水飲まなかったから。なおさら…」
出発から3時間。なんとかキャンプ場まで辿り着いた戸貝さん。山小屋で入湯料を払います。ここがゴールかと思いきや、最後の難関へ。
戸貝さん:「え、なんだ。これか?え」
一歩間違えれば、転がり落ちかねない断崖絶壁です。
■たどり着いた“日本一雲に近い”露天風呂
出発から、実に3時間半。
戸貝さん:「入らないんですか?」
女性:「腰まで入りました」
ついに“日本一雲に近い”露天風呂に到着しました。
戸貝さん:「はい、どーぞ」
本沢温泉「雲上の湯」。源泉かけ流しのお湯は、硫酸塩泉。切り傷や冷え性などへの効果が期待できます。
戸貝さん:「(Q.また山登りますか?)はい、登ります」
男性:「間違いなく」「棺桶に入るまで」
■なぜ?“キャベツ”を背負う男性
この日出会った群馬県から来た男性2人組は、奇妙なものを背負っていました。
群馬から来た男性(40代):「きょう、そのザックの中にキャベツ入っている」
なぜか合計3キロほどのキャベツと白菜が…。今晩のおかず?と思いきや、そうではないといいます。一体、なぜ?
群馬から来た男性:「トレーニングじゃないですけど、重りにキャベツを背負ったのがキッカケ。たまたま山頂で会ったおじちゃんに『キャベツどうですか』って言ったら、よろこんでもらってくれた」
実は、農家だという男性。体力をつけるかたわら、野菜を配って歩いているといいます。
群馬から来た男性:「最後、畑に残っていたものなんですけど、白菜と一緒に持ってきたので良かったら」
本沢温泉 従業員:「うれしい」
■支配人「今年、若い人増えた」その理由は?
江戸時代末期に、猟師に発見されたというこの秘湯。本沢温泉として整備されてから、140年間愛され続けてきました。
本沢温泉支配人 松本慎太郎さん:「今年は、若い人が増えたと思う。女性のグループが目立つようになりました」
確かに年配の人たちに交じり、若い人の姿も目立っています。仲間と来た30代の女性もいました。
東京から来た女性:「気持ち良い。めっちゃ気持ち良い。は~最高」
温泉巡りが趣味だという女性。手元の温度計では42度。
東京から来た女性:「ちょっと熱めかも。気持ち良い」
女性は、多いときは1日に10カ所の温泉を巡るといいます。
東京から来た女性:「これから内湯に行きます」
山小屋では、コロナ禍で中止していた日帰り入浴を今月から再開しました。
東京から来た女性:「ちょうど良いです。極上です」
実は、若い人たちが増えたのには、こんな理由がありました。
本沢温泉支配人 松本慎太郎さん:「アニメ映画で、ここの温泉が登場するシーンがあった。それの影響はかなりある」
2022年に公開されたキャンプを題材にしたアニメ映画を観て訪れる人も少なくないといいます。
■一段とハードな“別ルート”も
この日、山小屋に宿泊するという、仲良し4人組に出会いました。
埼玉から来た女性:「登って下りて、登って下りてするの?」
スタッフ:「そうです」
埼玉から来た女性:「マジで!?(取材対象者)待ち構えて!?何の罰ゲーム」
取材スタッフが、一本道の登山道で女性たちに会わなかったことを不思議に思っていると、実は、別ルートから来たことが分かりました。
埼玉から来た女性:「みどり池、すごくキレイだった。あんなにキレイだと思わなかった」
そのルートは、アップダウンが激しく、一段とハードな3時間コースです。
温泉だけでは物足りない人は「みどり池」も見て癒されて下さい。
さて、別ルートを登ってきた女性4人組も、秘湯を目指します。
埼玉から来た女性:「どこにお風呂あるの?」「ここ通り越すって言ってたじゃん」「うわあ、怖い」
4人揃っての旅行は、久しぶりだという女性たち。
埼玉から来た女性:「幸せ!」「幸せ、すごく熱いの。浮いちゃうくらい。あー気持ち良い」
山登りをした後は、記念アルバムを作っているそうです。
■苦労して辿り着いた先に…“極上のひと時”
日の出から日没まで、入浴可能な露天風呂。目指す理由は様々です。
東京から来た30代の女性は、温泉で仕事の疲れを癒すそうです。
東京から来た女性:「私、今会計士をしていまして。年末に向け、色々忙しいんです」
滋賀県から5時間かけて来た新入社員。
滋賀から来た男性:「人手がIT関係は足りないので、力になるような仕事をしないといけない。ミスが許されない」
男性も、久しぶりの休日に温泉へ。人生も、秘湯も、苦労したからこそ味わえる喜びがあるといいます。
滋賀から来た男性:「仕事の嫌なこと、全部消えます。また、がんばれそうです」
“日本一雲に近い”露天風呂。苦労して辿り着いた人にしか分からない極上のひと時が、そこにはあります。
(2022年11月21日「スーパーJチャンネル」より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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