「受付は中学生」避難所で運用“AI搭載”シャワーに喜びの声“災害関連死”どう防ぐ【報道ステーション】(2024年1月10日)
長引く避難生活で懸念されているのは、震災後の避難生活で体調が悪化するなどして亡くなる“災害関連死”です。石川県によりますと、県内の死者は206人。そのうち珠洲市で6人、能登町の2人が、災害関連死とされています。
避難所となっている能登町の松波中学校で9日午後9時ごろ、86歳の男性の様子がおかしいことに妻が気付き、看護師を呼びましたが、心肺停止の状態だったということです。病院に緊急搬送されましたが、その後、死亡が確認されました。男性は、地震が発生した1日から、妻とともに、この避難所に身を寄せていました。男性に持病があったかについてはわかっていません。この避難所では、高齢者を中心に、いまも157人が避難生活を送っています。新型コロナに感染する人も出始め、衛生面の悪化が懸念されています。
輪島市の避難所では、元看護師の女性が現状をこう訴えます。
避難している元看護師:「ノロウイルス(の疑い)の方も出た。段ボールハウスの中に1週間、本人の持ち物とか全部、感染症対策で持ち込んで入ってもらった。2日前に息子さんが来られて、独り暮らしだったので、連れていかれた。病気のことじゃなくても、うちの話でも、聞いてあげることしかできない」
能登町・鵜川にある避難所では、お風呂に入れないため、ホットタオルで顔をふくのが精一杯です。
避難している人:「あったかいものって、色んな温かさを感じます」
また、この避難所ではペットボトルに入れたお湯を使い、シャンプーをしていました。
避難している人:「シャンプーする前は気持ち悪かったけど、シャンプーした後は、あっさりした」
地元美容師:「みんな頭を洗えていなくて、気持ち悪かったり、衛生面を考えた。全員は、どうしても水の制限があり、できないんですけど」
避難所での生活を少しでも改善させたい。
珠洲市では、ベンチャー企業とタッグを組んで、ある取り組みを始めています。
珠洲市の避難所では、先週末、水を循環し、繰り返し使うことができるシャワーブースが設置され、1日100人ほどが利用しています。同じ仕組みを使って手洗い場も設けられました。これは、『WOTA』というAIで水質を管理する循環システムで、5種類のフィルターを使い、シャワー後の水を98%以上も再利用できるというもの。シャワーの場合、2人分の水があれば、100人分を賄うことができます。
シャワーの利用者:「(Q.入浴はいつぶりですか)1日に地震があってから、それから入ってないので、10日ぶりですかね。間違いなく生まれてきたなかで、一番、最高のシャワーでした」
避難所にいる人たち自らで管理・運用ができるのもメリットの1つです。
受付を担当する中学生:「皆さんが避難して不安な気持ちがいっぱいあるなかで、自分が一つの力になればいいなという思いでボランティアしている」
また、輪島市では、ドローンを使って孤立している鵠巣地区の被災者に薬が送り届けられました。
日本UAS産業振興協議会・嶋本学さん:「配送という意味では、それほど多くの物を運ぶわけではないが、お薬は非常に小さいが、それでも価値は非常に重い」
それでも避難所での生活は限界に達しています。
厚生労働省には、9日時点で約70人が新型コロナなどの急性呼吸器感染症に、約40人がノロウイルスなどの消化器感染症に感染していることが報告されています。
石川県・馳浩知事:「災害関連死の可能性のある高齢者・要支援者を避難所や現場の市町役場から聞きとって、早くそういう方々を、1.5次あるいは2次避難所に直結する可能性もあります。速やかに運ぶということが、関連死を防ぐために必要なこと」
防衛省によりますと、自衛隊は、輪島市内の港から2次避難を希望する高齢者や子どもたちを金沢市内まで輸送しました。
“災害関連死”は、2016年の熊本地震の際も起きました。熊本県内で亡くなった方のうち、『直接死』は50人、『災害関連死』は218人となっています。災害関連死のうち、4割弱が自宅で死亡。8割近くが70代以上の高齢者でした。
■熊本地震を含め、過去の地震での災害関連死について分析した関西大学の奥村与志弘教授は、今回の能登地震での災害関連死が8人ということについて「この規模の地震であれば、現時点で8人は多い。能登半島のように高齢者が多い地域では、今後、さらに災害関連死が増える可能性がある」としています。
そもそも災害関連死はなぜ起きるのか。
奥村教授は分析の結果、災害関連死が発生する過程を表にまとめました。その一例です。
ライフラインが停止し、水が不足します。歯磨きができず、口の中のケアが不足。そうなると、口の中で細菌が増加し、誤嚥性肺炎につながる可能性があります。また、水洗トイレが使用できなくなる例で見ていくと、劣悪な環境で排泄の回数が減少します。さらに、トイレに行かないように、水分の摂取を控えてしまう。そうすると、脱水症状で血栓ができ、エコノミークラス症候群につながる可能性があります。
奥村教授は、災害関連死を防ぐために「医療従事者の数も限られているので、避難所にいる人同士で声を掛け合い、お互いの健康状態を確認することが大事。また、自治体や自衛隊などが協力し、自宅に残っている被災者を設備の整った場所に避難するよう促す」としています。
災害関連死を防ぐため、石川県は、ホテルや旅館などを2次避難所として準備しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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