温泉街に“廃虚ホテル” 20年以上も放置 住民が困惑…ネット上では“心霊スポット”(2022年11月17日)
岩手県花巻市の温泉街にある廃虚となってしまったホテル。約20年以上も放置されていて、ネット上では“心霊スポット”と紹介されるなど、地元の人や観光客が困惑しています。
■近隣旅館「印象良くない」…観光客「気持ち悪い」
岩手県花巻市の山あいに位置する台温泉。1200年前に坂上田村麻呂が疲れを癒やしたと伝えられる温泉として古い歴史を持ち、多くの観光客がやってきます。
そんな風情のある温泉街の入り口には、廃虚と化したホテルがあります。ホテルの名前が書かれた看板は、今にも崩れそうな状態になっています。
入り口の前には、大量の草木が生い茂っています。建物のほとんどの窓が割れていて、外壁は色あせ、崩れ落ちてしまっています。
建物の左側は広範囲にツタが絡まり、“緑のカーテン”が掛かっているような状態になっています。
来る人は皆、温泉街に入る前に、この廃虚となったホテルの前を通らなくてはなりません。
近隣の旅館経営者:「(温泉街の)入り口がああいう状態だとね。どうしても印象が良くないからね」
観光客:「なんか(温泉街の)入り口から気持ち悪い。こういう廃虚があるのは、ちょっとイメージ悪いですね」
■バブル崩壊後に“廃業”…がれき散乱・落書きも
温泉街の入口にあるのは「ホテル花仁」。1960年ごろに創業。当時は、大型バスが何台も来るなど人気を博していましたが、バブル崩壊後に経営不振に陥り、廃業しました。
そこから20年以上が経ち、今では廃虚と化しています。
建物を上空から見てみると、建物の屋上部分には草がうっそうと生い茂っています。
緑に覆われた部分の内部を見てみると、床にまで草が伸び放題になっていて、波を打つようにへこんでいる箇所もあります。また、壁には落書きされた跡があり、天井も一部破損している所があります。
さらに、時がずっと止まっているかのように、客室の障子や寝具がそのままの状態で置かれています。
地上から見た緑のカーテン。上空から見てみると、まとわりつくように大量の植物が外壁を覆い尽くしています。
1階部分の玄関口は、床には割れた窓ガラスの破片が辺り一面に散乱。天井や壁紙がはがれかけていて、屋根部分の板が今にも落ちてきそうです。
同じ1階部分にある厨房エリアの内部は、ここにもまた赤いスプレーで落書きした跡が2カ所。天井は腐食が進み、床には食器やゴミが散乱。使われていたコンロもさび切ってしまい、当時の面影がまるでありません。
また、3階部分は、大きな自動販売機が倒れ、天井の一部は崩落してしまったのか、はりがむき出しになっています。
床にはがれきが散乱し、いつ崩れてもおかしくない状態です。
出迎える人も、訪れる人もいない。ただ、寂しげにたたずんでいます。
■“心霊スポット”に…“肝試し”動画も多数
廃墟ホテルの問題は、景観だけではありません。
近隣の旅館経営者:「インターネットで“心霊スポット”と出てて…」「(Q.中に入ってイタズラする人も?)結構いるみたいでね。時々お巡りさん来たりでね」
ネット上で“心霊スポット”として紹介され、ホテルの中に入り、“肝試し”をしている動画が多数出回っています。
廃虚に侵入した際に、窓ガラスを割るなどの迷惑行為があり、警察が出動することもあったといいます。
近隣の旅館経営者:「『肝試しするから入ってもいいですか?』って来るんですよ、よく。困ってますね」
他にも、不安なことがあるといいます。
地元住民:「見て分かる通り、ものすごく(建物が)壊れてるでしょ?旅館街だし、大きい火事になったら大変ですよ」「だんだんに崩れがひどくなってきてる。もちろん、良い印象は持てないし。できるんだったら花巻市で、何とか解体するなり、処分してくれないかなと思ったりもする」
解体してほしいという住民の思いとは裏腹に、簡単に解体することができない理由とは…?
■数億円の解体費用「自治体だけでは賄えない」
ホテルを所有する事業者は破産し、土地と建物の権利を放棄しました。現在、権利者がいない状態です。
花巻市によると、「解体費用は数億円で、行政代執行しても解体費用を請求する先がない」ということです。
花巻市は、国の支援策などの活用を検討しています。国の「廃屋撤去」支援策では、工事費用の2分の1まで、上限1億円が補助されます。
ただし、「跡地を観光目的に使用すること」という支援条件があります。
花巻市の担当者によると「跡地の利用法について検討したがまとまらず、数億円という解体費用を自治体だけでは賄えないため、今年度の支援申請を見送った」ということです。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年11月17日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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