サウジで「日本アニメイベント」 規制緩和で女性コスプレ“肌露出”…背景に“思惑”(2022年10月31日)

サウジで「日本アニメイベント」 規制緩和で女性コスプレ“肌露出”…背景に“思惑”(2022年10月31日)

サウジで「日本アニメイベント」 規制緩和で女性コスプレ“肌露出”…背景に“思惑”(2022年10月31日)

 中東のサウジアラビアで、日本の人気アニメが一堂に会するイベントが開かれた。宗教上、服装に制限のある女性たちが肌を見せ、コスプレ姿を披露。背景には、ムハンマド皇太子の“ある思惑”が関係しているようだ。

■3年ぶり2回目 “1.5倍”ファン1万1000人来場

 サウジアラビア エンターテインメント省・バファラト氏:「アニメエキスポへようこそ。3日間、楽しんでいって下さい」

 中東最大規模の日本アニメのイベント「サウジアニメエキスポ2022」が、サウジアラビアのリヤドで開催された。

 新型コロナウイルスの影響で、3年ぶり2回目となる今回は、会場の面積を1.5倍に拡大。初日には、およそ1万1000人のファンが来場した。

■“イスラム教の地”ならでは…女性コスプレも

 サウジ政府が主催のこのイベント。日本から20社以上の企業が参加し、日本のコスプレイヤーもステージに上がった。実際に、現地のステージに立った3人を取材した。

 世界コスプレサミット2022 日本代表・七星めろんさん(28):「『この素晴らしい世界に祝福を!』の『アクア』をしています、めろんです」

 世界コスプレサミット2022 日本代表・もいもいさん(30):「『この素晴らしい世界に祝福を!』の『カズマ』です。きのうは『ベジータ』をやっていました、もいもいです」

 アーティスト・Misakiさん(27):「『鬼滅の刃』の『冨岡義勇』をやっています、Misakiです」

 初めてサウジを訪れた3人は、日本アニメの人気ぶりに驚いたという。

 もいもいさん:「会場は、ものすごく盛り上がりました。スタートと同時に歓声が上がるくらい」

 さらに、イスラム教徒の多いサウジならではの女性コスプレイヤーも見掛けたという。

 めろんさん:「ヒジャブ(髪や肌を隠す布)の上から、カチューシャを着けたり、キャラクターのワンポイントなんか着けて。すごい、おしゃれだな」

 Misakiさん:「新しいコスプレの形だなと」

■規制緩和…女性も“肌露出”コスプレ可能に

 イスラム教の地・サウジアラビアでは、宗教上の理由から女性の服装は限定されている。そのため、2019年に行われた1回目のイベントでは、女性のコスプレは女性専用エリア内のみとされていた。

 しかし、今回は規制が緩和され、女性であっても男性がいる会場で、肌を露出するコスプレを行うことが可能となった。

 その背景には、アニメ文化に対する理解が進み、肌を露出することへの許容度が上がったことがあるという。

 日本のコスプレイヤーたちは、アニメ文化がサウジの社会変革を後押ししているようにも感じたという。

 もいもいさん:「突き詰めていくと、『キャラクターになりたい』『大人のごっこ遊びをガチでしたい』人たちが、コスプレをやってる。皆さん、何かしらしたい気持ちはある」

 Misakiさん:「アニメのカルチャーを大事に、楽しんでくれているということをすごい感じた」

■脱・石油依存…エンタメ事業に皇太子が尽力

 このイベントが行われたサウジアラビアは、中東の秋葉原を目指しているようだ。

 2016年4月、サウジアラビアは経済改革計画「ビジョン2030」を公表。この計画はムハンマド皇太子が中心となり、観光振興や文化娯楽などで経済の多様化を進め、石油依存体質からの脱却を目指している。

 この計画のなかで、ムハンマド皇太子が特に力を入れているのが、エンタメ事業だという。

 およそ10年前から、日本文化やポップカルチャーを中東全域に広げる活動をしている鷹鳥屋明さんは、「ムハンマド皇太子の日本アニメや漫画好きは、現地では有名。これまで、女性の肌の露出が多いアニメやマンガ作品は販売されていなかったが、エンタメ事業を加速させるために、近年は販売基準などが見直され、明らかに変わりつつある」という。

■中東エンタメ・レジャーの“ハブ”目指す

 さらに、サウジアラビアはエンタメ産業を巡って、自国での作品制作にも力を入れている。

 ムハンマド皇太子は、文化などについて、若者のイノベーションと創造性を生み出すことを目的とした非営利組織、ミスク財団を2011年に設立。そのミスク財団は2017年、クリエーターを育成する日本の教育機関「デジタルハリウッド大学」及び、プラモデル模型の総合メーカー「タミヤ」と覚書を締結しています。

 また、ミスク財団は日本のゲーム会社、SNKの株式の96.18%を保有していたことが今年分かるなど、アニメゲームなどで日本のノウハウを吸収しようとする動きを見せている。

 今後もサウジアラビアは、エンタメ産業に力を入れていく方針で、ジェトロ(日本貿易振興機構)によると、「サウジアラビア娯楽庁は、エンターテインメント産業や観光業などの発展のため、2028年までに最大でおよそ9兆4000億円を投資する意向を示していて、将来的に中東のエンターテインメントレジャーのハブとなることを目指している」という。

 また、鷹鳥屋さんは「サウジのエンタメ産業が成長すれば、その分、日本側へのメリットも大きくなる」と、産業規模の拡大に期待を寄せている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年10月31日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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