【徹底検証】クリミア大橋爆発 綿密計画で実行か?ウクライナの関与は?専門家が分析(2022年10月9日)
ロシア本土とクリミア半島を結ぶクリミア大橋の爆発、崩落を巡り、プーチン大統領は原因究明と警備の強化を指示しました。ウクライナは関与しているのか、そして、あの爆発がどんな影響を及ぼすのか、専門家が分析しました。
景色が一変しました。ロシア本土とクリミア半島を結ぶクリミア大橋で発生した大規模な爆発火災。
地元当局:「ウクライナの破壊者が引き起こした」
大統領府顧問:「これは始まりだ。違法なものはすべて壊す必要がある」
橋の一部は崩落。通行止めとなり、周辺の地域では渋滞も起きました。
ロシアはヘリコプターを使い、消火活動にあたっていました。
そして、わずか16時間後には残っていた車道で普通車などの通行を再開させたと発表しています。
この爆発火災について、ロシアのテロ対策委員会は「ロシア本土からクリミア半島に向かうトラックが爆発し、並走する鉄道の燃料輸送車両に引火した」としています。
専門家は、この爆破火災は綿密に計画されて実行されたものだといいます。
軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏:「(爆発したものが)トラックかはまだ断定できないが、車道の方で爆発させて引火して、貨車が燃えたというのは恐らく間違いない。日常的にロシア軍の燃料貨車が通るので、そのタイミングを見計らって起爆させた可能性が圧倒的に高い」「(Q.ミサイル攻撃の可能性は?)ミサイルなら何かしらの兆候を目撃するので、飛んできたら誰かが気が付く。そこはちょっと情報が出てないので(考えづらい)」
ロシアの調査団は、この火災で爆発したトラックの運転手1人のほか、横を走行していた車の男女2人が死亡したと発表。
また、「爆発したトラックはロシア南部のクラスノダール地方で登録があった」と明らかにしています。
一方、独立系メディア「BAZA」は、このトラックの所有者とみられる人物は事件とは無関係とした動画をSNS上に投稿したと報じています。
トラックの所有者とみられる人物:「私の名前はユスボフ・サミルです。1996年生まれ。クリミアの橋で起こったこととは何の関係もない。トラックは書類上では私のものでありますが、実際には父のいとこの男性が使っていました。名前はユスボフ・マヒルで、ずっとトラック運送業に携わっていました」
一体、誰が関与したのでしょうか。
プーチン大統領は政府委員会を設置し、原因究明を急ぐように指示し、クリミア大橋の警備強化を指示する大統領令に署名しました。
クリミア大橋はロシアがクリミア半島を一方的に併合した後に建設を開始。
2018年に開通し、式典にはプーチン大統領自らが大型トラックのハンドルを握り、運転するパフォーマンスを見せていて、クリミア「併合」の象徴とも言われていた橋でした。
ロシア、プーチン大統領:「皆、こんにちは!あなたたちの努力と才能のおかげで、ようやくこの奇跡は現実になりました。ありがとうございます」
この4年後、ロシアはウクライナに軍事侵攻開始。
クリミア大橋は装備や物資を輸送するための補給拠点となり、これまでウクライナ軍は「攻撃」対象にしてきました。
そして、プーチン大統領が70歳の誕生日を迎えた翌日。
ウクライナ国防省:「ロシアの権力の悪名高き象徴であるミサイル巡洋艦モスクワとクリミア大橋が沈んだ」
今回の爆発について、ウクライナの政府は直接の関与には言及していません。
ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「我々の未来は晴れている。ウクライナ全土、特にクリミアで占領者のいない未来だ」
また、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は「爆発したトラックはロシア側から橋に侵入していた。答えはロシアで見つけるべきだ」として、ロシアが関係している可能性を示唆しています。
一方、軍事戦略が専門の高橋さんによりますと、クリミア大橋の爆破火災によるメリットはウクライナ側の方が大きいと言います。
防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「軍事的にもクリミア半島からヘルソンに向かう補給線を断つことができれば、ヘルソン地方でロシア軍は厳しくなるので、攻撃する理由はウクライナに間違いなくある。ロシアが仮に自作自演だとすれば偽旗作戦として、今後の核兵器を正当化するための自作自演。ただ、自作自演だとすれば被害が大きすぎる」
ニューヨークタイムズによりますと、ウクライナ政府の高官は匿名を条件に答え、ウクライナの諜報(ちょうほう)機関がトラックに積まれた爆弾を使って爆発を画策したと関与を認めたといいます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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