台湾のパンダ“命の危機” 寄贈した中国支援へ…背景に思惑?「中台の絆深まる」(2022年10月3日)
台湾で飼育されているパンダの「トゥアン・トゥアン」が、命の危機に瀕している。中国側は、パンダを助けるための支援を用意するとしているが、中国と台湾の関係悪化が叫ばれるなか、救うことができるのだろうか。
■中国 “赤ちゃんパンダ”13頭を公開
なんとも愛くるしい、赤ちゃんパンダたち。顔を寄せ合い寝そべる赤ちゃんや、今にもまぶたが閉じてしまいそうな子も…。
人民網によると、中国・四川省の成都にある、通称「パンダ基地」で先月28日、今年生まれた赤ちゃんパンダ13頭が公開されたという。
今年開催される卓球の世界選手権成都大会の成功を願い、卓球台をモチーフにした台の上に並べられた赤ちゃんパンダ。
さらに、このイベントは10月1日、中国の建国記念日にあたる、73回目の国慶節を祝うためでもあるという。「73」の形に並べられた赤ちゃんパンダだが、おしりの向きが、少しずれていたようだ。
■台湾パンダ“脳障害”判明…中国支援へ
こうしたパンダたちは、国内のイベントだけでなく“パンダ外交”と言われる、中国の外交戦略にも度々登場してきた。
中国事情に詳しい「現代ビジネス」コラムニストの近藤大介氏は、次のように話す。
近藤氏:「これまで多くの国、地域に重要と思う国に(パンダを)送っています。パンダ1頭は、外務大臣10人分にあたるという言葉があるくらいです。これによって相手の国が、中国を大変好きになると証明されている」
そんなパンダは、中国から台湾にも2頭、寄贈されている。
中国と台湾の緊張が高まっているなか、そのうちの1頭が今、命の危険にさらされているという。
CNNによると、台北市立動物園で飼育している、雄のジャイアントパンダのトゥアン・トゥアンに異常行動や食欲の減退がみられ、8月下旬には3分間の発作に見舞われた。
その後の検査では、脳に障害を負っていることが判明したという。
台北市立動物園は、トゥアン・トゥアンの危機を脱するため、中国の専門家に支援を要請した。
これに対して、中国の国営メディアは28日、国内の専門家らが動物園への技術的な支援に前向きで、パンダを救う用意があると報じた。
その背景に、「一つの中国を掲げる」中国側の思惑があると近藤氏は指摘する。
近藤氏:「パンダを中国側が助けるとなると、パンダを理由に、また中台の絆が深まるという思惑がある」
■台湾へは寄贈…「一つの中国」アピールか
命の危機に瀕しているトゥアン・トゥアンだが、中国と台湾の関係悪化が叫ばれるなか、救うことができるのだろうか。
現在18歳、雄のトゥアン・トゥアン(団団)。ロイター通信によると、2008年に雌のユアン・ユアン(円円)と共に中国から台湾へ贈られたそうだ。
当時、台湾ではパンダフィーバーが起きるなどし、パンダ目当ての動物園の来場者数は、多い時で一日およそ2万人に及んだという。
中国政府は、希少動物を保護するワシントン条約を基に、通常パンダを他国に送る際、「貸し出し」で行っているが、トゥアン・トゥアンたちに関しては台湾に「寄贈」している。
AFP通信によると、トゥアン・トゥアンたちが寄贈された2008年、当時の台湾は親中派の国民党政権が統治していて、2頭のパンダを台湾へ贈るという中国政府の決定には、象徴的な意図が込められていたという。
というのも、トゥアン・トゥアンとユアン・ユアンの文字を組み合わせると、「トゥアンユアン(団円)」という言葉になり、中国語では「再会」や「統一」という意味があるそうだ。
中国事情に詳しい「現代ビジネス」コラムニストの近藤さんは、「中国は、台湾は外国ではないとして寄贈した。『一つの中国』をアピールするため」と推測しています。
今回、中国側がパンダを救うため、支援する姿勢を見せていることについて、近藤さんは「来月、台湾では、総統選の前哨戦といわれる台北市長選(統一地方選)がある。『一つの中国』の象徴とも言えるパンダを中国が支援すれば、台湾の親中派の支持増加につながることを見越している可能性がある」と話している。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2022年10月3日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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