「高揚感は見られず」ウクライナ4州“併合宣言”8年前との違いは?専門家に聞く(2022年9月30日)
ロシアのプーチン大統領がクレムリンで演説し、ウクライナ4州の併合を一方的に宣言しました。
◆防衛省の防衛研究所・兵頭慎治さんに聞きます。
(Q.前回のクリミア併合の時とは違った雰囲気だと思いますが、どう感じていますか?)
クリミア併合の時は、無血・短期間で軍事掌握して併合できました。併合宣言の時は、出席者も歓喜に満ちあふれている感じでしたが、今回は軍事紛争が続いているので、神妙な演説になったと思います。
今回の演説では“併合の正当性”を強調しています。今回の併合・住民投票は法的手続きにのっとっているんだと。4州にいる数百万人の住民が自ら決めた話であることを強調しています。
そして、今後が気になる戦闘の行方ですが、ウクライナ政府に対して「戦闘行為をやめなさい。直ちに交渉の席につくように」としています。ドンバス紛争は2014年から始まっていますが「その前の状況に戻りなさい」と一方的にウクライナ側へ戦闘の停止を求める発言がありました。
ロシア兵士に対しては「犠牲を覚悟しながら続ける必要がある」ということを言っています。
冒頭、兵士の犠牲に対して黙とうを捧げていました。今回、戦闘が続いているなかで、犠牲に対するプーチン大統領の一定の配慮があったと思います。
45分ほどの演説でしたが、かなりの時間を割いて、西側諸国に対する批判を強調しています。
プーチン大統領は西側諸国が、多民族国家であるロシアで、複数の民族が滅びることを望んでいて「資源豊かな国を狙って世界を強奪しようとしている」と、改めて欧米諸国に対して強い批判を加えて、ロシアの正当性を国内にアピールしながら、引き続き支援・理解を呼び掛けるような演説になっていたと思います。
(Q.ロシア国内で反発が高まるなか、国民はどう受け止めるのでしょうか?)
部分動員が始まっていて、多くのロシア国民が「戦場に送られるのではないか」と動揺しています。
今回のプーチン大統領の演説がロシア国内の反発や動揺を抑えることが果たしてできるのかどうか。ロシア国民がどのように受け止めたのかが気になるところです。
プーチン大統領は、犠牲になったロシア兵士に対して哀悼の意を示しましたが、実は短いフレーズしかありませんでした。
かなりの部分は西側諸国への批判を強調しながら、何とかロシア国民に今の状況を理解してもらいたいという、プーチン大統領の追い詰められたようなニュアンスも感じ取れたと思います。
(Q.どこまで戦争を続けるつもりなのでしょうか?)
4州の併合が宣言されましたが、ウクライナは引き続き奪還の構えを崩していません。
ロシアは一方的な停戦をウクライナに突きつけていますので、戦争の出口はなかなか見通せない状況です。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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