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「ロシア領土に対する攻撃とみなす」“動員”と“併合” ロシアの狙いは…専門家解説(2022年9月21日)
ロシアのプーチン大統領は21日、国民向けに演説し、予備役の動員を発表しました。さらに、『ドネツク州』『ルハンシク州』『ヘルソン州』『ザポリージャ州』それぞれの支配地域で、ロシア編入に向けた住民投票について、「結果を支持する」と表明し、事実上の併合に踏み切る考えを示しました。
◆防衛省の防衛研究所・兵頭慎治さんに聞きます。
(Q.この演説から何を感じましたか)
プーチン大統領は、この戦闘を2段階で対応しようとしているのではないかと思います。まず、ウクライナの支配・占領地域の住民投票を行って、ロシア領土に編入する。それを前提にして、部分動員で集めた兵士をこの戦闘に投入しようという構えではないかと思います。
(Q.なぜ、このタイミングで、プーチン大統領は一方的な併合をしようとしているのでしょうか)
そもそも住民投票は11月4日の『民族統一の日』に延期されたとロシアメディアは報じていましたが、かなり前倒された形となりました。その理由は「戦況の悪化」が関係していると思います。このまま時間が経てば、経つほど、支配地域がどんどん奪還されてしまう危険が出てきたため、慌てて編入の動きを早めたのではないかとみられます。
(Q.戦闘が続くなか、住民投票はできるのでしょうか)
何度も延期されてきましたが、今回は、見せかけの投票であっても、恐らく力づくで、押し通すのではないか。一部の地域ではオンライン投票も予定しています。クリミア半島のときのように、投票結果が出たら、直ちにロシアに編入する可能性もあると思います。
(Q.開戦当初からドンバス地方の完全支配を目指していたが、プーチン大統領は、もうあきらめたということですか)
プーチン大統領は、引き続き、ドンバス地方の制圧を目指すとは言っています。ただし、奪還の動きが強まるなかで、現在、支配している地域を編入するという決断をしたとみられます。当初は、州全体を制圧してから編入するという考えでしたが、編入した地域を固定化していく。これが戦闘の区切りになる可能性が出てきました。プーチン大統領は、かなり追い込まれているのではないかと思います。
(Q.ショイグ国防相は「30万人の予備役を招集する」としていますが、この規模はどう見るべきでしょうか)
プーチン大統領は、国家総動員には踏み切れません。それはロシア国内の反発を気にしてのことだと思います。今回の30万人という数ですが、多すぎると批判が出ますし、少な過ぎると戦闘に役に立たない。ギリギリのラインだったと思います。また、直前まで、“地域を限定した部分的動員”という観測もありましたが、結果的に全国を対象としました。より戦闘力の高い兵士を選抜することを優先したとみられます。
(Q.この30万人をどう動かして戦況を変えようとしているのでしょうか)
今後の動きを見ていかなければいけませんが、一つは、ロシアに編入した地域の防衛にあたらせる可能性があります。もう一つは、未制圧の地域の軍事作戦。この二つがあり得ると思います。プーチン大統領が、この30万人をどちらに投入するかによって、今後の戦闘の出口をどう考えているのか見えてくると思います。
(Q.戦況は今後、どうなるのでしょうか)
住民投票で4州がロシアに編入されると、そこが「ロシア領土になる」。だから、ウクライナ側は、ロシアが自国領とみなすところへの攻撃は、慎重にならざるを得ない。実際にプーチン大統領は、「国の安全が脅かされればあらゆる手段を使う」と発言しています。核を含めた大量破壊兵器の使用に対して、一定程度の警戒はせざるを得ないと思います。一方、西側諸国は、武器供与のあり方、そして、編入されたあとの追加制裁を検討しているということですが、それに踏み込めるのか。難しい判断を迫られることになると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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