「円安」は追い風か逆風か インバウンド復活で潤う観光と“買い負け”するマグロ(2022年9月11日)

「円安」は追い風か逆風か インバウンド復活で潤う観光と“買い負け”するマグロ(2022年9月11日)

「円安」は追い風か逆風か インバウンド復活で潤う観光と“買い負け”するマグロ(2022年9月11日)

水際対策の緩和に、円安、さらに、もうすぐシルバーウィークと、追い風が吹く観光業。
一方、その円安の影響で、外国産のマグロや牛肉など、輸入食材を扱う業者では海外に“買い負ける”事態も起きています

▽“ハチマキ爆買い”ルーマニア人ツアーに同行
7日から緩和された水際対策。1日2万人だった入国者数の上限は、5万人に引き上げられました。
ガイド「あちらは渡月橋です。」
(ルーマニア人観光客)「ワオー、ベリ―グッド。」
バスから降り立ったのは、総勢22人、ルーマニアからやってきた団体客です。この日は、京都を代表する観光スポットを巡りました。
嵐山では、初めて見るという竹林に、興奮気味。
(ガイド)「人力車に犬が乗っています」
(観光客)「かわいい」
伏見稲荷大社の鳥居が連なる光景に。
(観光客)「本当に美しい。こんなの初めてだ。」
金閣寺では…
絶好の撮影スポットで、旅の思い出を残します。お土産も忘れてはいません。
(観光客)「友達にたくさん買いました。」
うちわ7枚に、ハチマキ15本。漢字入りが人気なようです。
ランチは、“すき焼き”に挑戦。
(ガイド)「新鮮な卵でしょう。そして箸で…」
(ガイド)「違う、違う!肉を卵につけて食べるんです。」
ルーマニアには、卵を生で食べる習慣はないそうですが。
(男性)「すごくおいしい。」
(ガイド)「お肉だけよりもいいでしょう。」
(男性)「そうですね。」
“すき焼き”は気に入ってもらえたようです。

▽“インバウンド支援”拡大 翻訳機に補助金も
山梨県の観光地でもインバウンドへの期待は高まっています。
(富士レークホテル 荒希予広報担当)「ここ2~3日の傾向としては(外国人の)観光のお客様も増えてまいりました。旅行に対してとてもお気持ちが高まっているのではないかと思います。」
山梨では、県を上げて外国人観光客向けの支援も始めています。
(山梨県観光振興課 矢野久課長)「2泊以上される旅行、5万円以上になるようなツアーに関しましては(旅行会社に)1人あたり1万円の助成を出させていただいております。」
さらに、自動翻訳機やWi-Fiなどの費用も一部補助しています。
新たにスタッフを募集するなど、受け入れの準備を進める観光施設も…。
(西湖いやしの里根場 職員 山崎英茂さん)「減らしてしまったイベントを復活させていこう、それにはやっぱりマンパワーも必要で今からテコ入れしないといけない部分だと思います」
まもなくシルバーウィーク。
(坂本園 坂本浩園主)「シャインマスカットも、若干黄色みがかかって非常に糖度が上がっている状態ですね」
外国人観光客だけでなく、国内客への期待も膨らみます。
(坂本園 坂本浩園主)「シルバーウィーク、敬老の日等もありますので、お客さんの笑顔が見えたらそれだけでうれしいです」

▽マグロ“買い負け”で業者悲鳴「足りない」
一方、24年ぶりの円安は、日本の“食”に大きな影響を及ぼしています。
(株式会社ヤマシタ 小倉諄一営業担当)「こちらマグロの原料と製品を置いてある、超低温冷凍庫になります。-50℃です。」
ここは、主に海外から輸入したマグロを取り扱う卸売会社。
(株式会社ヤマシタ 小倉諄一営業担当)「もっと本当は狭いんです。もっと製品が置いてある。魚が買えていないというのが現状です。」
本来なら、マグロでいっぱいのはずですが…在庫は激減。
(株式会社ヤマシタ 山下博章代表取締役)「養殖の本マグロについては、特に中国とか韓国から、“買い負け”しているとは思います。」
世界的なマグロ需要の増加で、海外の業者がマグロを“高値”で“大量”に買いつけるようになりました。
円安の逆風の中、日本は“買い負け”し、これまでのようにマグロが手に入らなくなったのです。
(株式会社ヤマシタ 山下博章代表取締役)「10tのモノを去年なら1000万で買えたとします。今年の場合は1500万~1600万で買うような状況」
こちらの市場では…
(平塚茅ケ崎魚市場 加藤康執行役員)「今日も午前中、お(客さんに)いわれた注文数がそろわなくて、ここのところずっとそうですね。」
飲食店やスーパーに商品を販売する仲卸業者も、在庫が減り仕入れ価格の上昇で、販売価格も上げざるを得ないといいます。
(平塚茅ケ崎魚市場 加藤康執行役員)「(買うのを)あきらめちゃうところもありますけど、(寿司店など)一定のレベルのお客さんは、損してでも出してるんじゃないですかね。超心苦しいです。全般的に何でもかんでも値上げしちゃっているんですけど、チリ産の銀鮭。これも1.8倍くらいの値上げ。」
多くを輸入に頼るエビ・カニなどの甲殻類や魚卵製品も“買い負け”。食卓に並ぶころには、これまでの5倍以上の値段になる商品もあるといいます。
(平塚茅ケ崎魚市場 加藤康執行役員)「(仕入れ値が)上がったから、そこに転嫁しようというのは、本当はしないとやっていけないんですけど、なるべく負担のかからないように魚屋さん、スーパーさんにはやっています。」

▽カルビも“買い負け”「ラムも豚トロも」
買い負けは“肉”でも…
焼肉店では欠かせない人気メニューにも影響が出ています。
(焼肉「ほるもんスタジアム」 横川真悟代表)
「カルビ(仕入れ値が)上がったのが1番ダメージでかいです。(仕入れの)値上がりは10%くらいですけど出る数が多いので。“ついに”って感じですかね…」
低価格で提供できる人気メニュー、輸入カルビの仕入れ値が上昇。これまで海外から買い付け、卸売業者が冷凍でストックしていた量が減ってきているといいます。
さらに牛肉以外も…
(焼肉「ほるもんスタジアム」 横川真悟代表)
「ラムは1.5倍、豚トロも1.4倍くらい上がってる。どちらも特定のお客さんが食べる商品なので値上げしづらいですね逆に…」
軒並みの値上げ…その背景について、以前、卸売業者とこんなやり取りが…

(肉卸業者)「まだ下がる物は無さそうですね」
Q. 中国に競り負けている状況もある?
(肉卸業者)「ありますね、やっぱり日本は(肉の加工の)要求が細かいので…ラム肉とか顕著なんですけど中国とかだと骨の付いた枝肉の状態でバンバン買ってくれる、(中国は)大口客なので人口も多いので…」
日本とは異なり、肉をあまり加工することなく大量に買い付けを行う中国。その結果、大きな差が生じているといいます。
(肉卸業者)「オーストラリアとか現地は楽なんですよ、そっちの方が。楽だし儲かるので中国にガンガン売りたい。日本は(肉を)加工しないといけないのでもう後回しになっている」
(横川店長)「日本に売らなくても中国に売るからいいやと?」
(肉卸業者)「そうですね」
日本への出荷が後回しになり、国内の輸入肉の在庫が減っているといいます。すでに手に入らない輸入食材も…
(焼肉「ほるもんスタジアム」 横川真悟代表)
「うちで結構メインで出ていた人気の“やげんなんこつ”ってアイテムがあったんですけどそれはもう入って来ないので、輸入が…ブラジル産ですね」
ブラジル産の鳥肉も今年5月ごろには、入荷しなくなったといいます。
(焼肉「ほるもんスタジアム」 横川真悟代表)
「(商品が)無いというのが一番キツイですね、値上げはお客さんも今のところ分かってくれてると思うので、商品が無いとなると来店動機につながっちゃうので…」

9月11日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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