米国の『アルテミス計画』 なぜ今、再び月へ?【サンデーモーニング】【手作り解説】|TBS NEWS DIG
アメリカが半世紀ぶりに人類の月面着陸を目指す『アルテミス計画』。その第1弾となる、ロケットの打ち上げが迫っています。再び月を目指す背景には宇宙開発をめぐる大国の覇権争いが垣間見えます。
■“アルテミス”とは
『アルテミス計画』の“アルテミス”とはギリシャ神話の“月の女神”にちなんで名付けられた名前です。『アポロ計画』の由来となった太陽の神・アポロンの双子の妹ですが今回の計画は着陸自体が主な目的だったアポロ計画とは違います。
■火星探査まで見据える「アルテミス計画」
計画は3段階に分かれていて、今回は無人の飛行試験です。宇宙船オリオンは、高さ100m近くの巨大なロケットのこの部分に搭載されていますが、座席には様々な機器をつけたマネキンが乗り放射線など宇宙飛行士への影響を計測します。
ちなみに今回のロケットには日本の超小型探査機も2機、搭載されています。1つは月面着陸を目指す、『オモテナシ』。世界最小の月面探査機で放射線量を測定する予定です。
もう1つは『エクレウス』。月の近くで軌道操作技術の実証や、月に降る隕石の観測などを行う予定です。計画では、その後、第2段階(2024年)で宇宙飛行士が乗り込みますが、月に着陸はせず、第3段階(2025年)でアポロ計画以来53年ぶりとなる月面着陸を目指しています。
さらに、その先には、月を周回する、新しい宇宙ステーション『ゲートウェイ』の建設を予定しているほか、月の資源開発や基地建設なども進める予定です。こうしたことを足がかりに2040年ごろ、有人による火星探査までも見据えているのがアルテミス計画です。
■なぜ、今、再び月へ
では、なぜ、今、再び月を目指す計画が動き出したのでしょうか。実は月面着陸20周年にあたる1989年にはブッシュ大統領が月や火星への探査構想を打ち出していました。しかし、巨額の費用の問題などから立ち消えに。その後も、浮かんでは消えてきた有人での月探査計画ですが、今回の『アルテミス計画』が決定したのは、トランプ政権の時です。実現の背景にはトランプ大統領自身の実績作りのためではないか、との指摘もありますがその他にも中国の存在が大きいとの声もあります。
『アルテミス計画』の発表は2019年5月ですが、その4か月前、中国が、無人探査機『嫦娥4号』で難易度が高い月の裏側への着陸を世界で初めて成功させました。月は、常に同じ面が地球を向いているため、電波を中継する衛星まで打ち上げて前例の無い月の裏側への着陸を成功させたのです。
そして、翌年(2020年)には、『嫦娥5号』により米ソに次ぐ土壌サンプル回収に成功するなど月での宇宙開発を進めています。また、今年7月、国際宇宙ステーションからの離脱を表明したロシアは、すでに中国と月面基地の建設で協力することを合意しているなど月探査をめぐる競争が、今、加速しているのです。
各国が、月での資源開発や宇宙産業での主導権争いを行う中で、人類の足跡は、月に、どんな風に残るのでしょうか。
(サンデーモーニング2022年9月4日放送より)
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