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ゴルバチョフ氏逝く 冷戦終結の立役者の死去【風をよむ】サンデーモーニング|TBS NEWS DIG
冷戦を終結に導くという歴史的な業績を残したゴルバチョフ氏。しかし、その評価は、称賛ばかりではありませんでした。
■“ゴルビ-”の訃報に各国から哀悼の意
9月3日、モスクワ市内で、8月30日に91歳で亡くなったゴルバチョフ氏の告別式が営まれました。訪れた多くの参列者の中に、プーチン大統領の姿はありませんでした。
今から30年ほど前…
「ゴルバチョフ大統領が姿をみせました」
核大国の首脳として初めて被爆地・長崎を訪問した当時のゴルバチョフ・ソ連大統領。
車から降り、沿道の市民に応えるなど、気さくな一面を覗かせます。また、大統領辞任の翌年には、広島を訪れました。
ゴルバチョフ氏
「広島は永遠に人類に警鐘を鳴らす町として残るでしょう」
日本でも“ゴルビー”の愛称で親しまれたゴルバチョフ氏。各国首脳からも死を悼む声が相次ぎました。
英・ジョンソン首相
「間違いなく世界をより良い方向に変えました。とてつもない成果です」
またアメリカのバイデン大統領は、声明で「驚くべきビジョンを持った人物だった」と讃えました。
まさにゴルバチョフ氏は、20世紀の世界を大きく変えた政治家でした。
■冷戦終結、核軍縮推進、ノーベル平和賞…その功績
第2次大戦後、米国を中心とする資本主義陣営と、ソ連が率いる社会主義陣営の東西に分断された世界。
冷戦下、米ソは核開発など熾烈な軍拡競争を繰り広げ、対立はエスカレートします。
しかし、1980年代に入ると、ソ連経済は行き詰まりを迎え、西側に遅れを取ったという危機意識が高まります。
こうした状況の中、1985年、共産党トップの書記長に就任したゴルバチョフ氏は、政治体制改革「ペレストロイカ」を推し進めます。
さらに、ゴルバチョフ氏は、アメリカのレーガン大統領と核軍縮を進めるなか、対話を重ね、「両国は異なっているが、関係改善しなければ、世界は破滅の道を避けられない」と語りました。
そして1989年、冷戦の象徴だったベルリンの壁が崩壊し、アメリカのブッシュ大統領とともに、東西冷戦の終結を宣言したのです。
ゴルバチョフ氏
「冷戦時代は終わり、新しい時代、平和の時代の始まりです」
世界を二分する対立構造を打ち壊したゴルバチョフ氏。その功績で1990年にはノーベル平和賞を受賞します。
しかし、保守派によるクーデター未遂事件で、求心力を失い、大統領を辞任。ソ連を構成していた共和国の中でも独立の機運が高まり、ソ連は崩壊に至りました。
ゴルバチョフ氏
「わが国が民主主義社会の中で生きることになると確信している」
■社会が混乱国内では不人気
その後、表舞台から去ったゴルバチョフ氏。ソ連崩壊を招いたとして、実はロシア国内では厳しい声が向けられています。
ロシア市民
「彼に対してどう思っていたかって?今なら言えるよ、国を
崩壊させた」
ロシア市民
「わが国に多くの損害を与えた。後始末するのは私たちです」
政府系世論調査機関によれば、ゴルバチョフ氏の政策が「ロシアに害を与えた」とする人は過半数の51%なのに対し、「有益だった」はわずか7%。今も厳しい見方が続いています。
■ゴルバチョフ氏が追い求めた「民主主義」と今のロシア
一方で、ソ連崩壊後、2000年にロシアの指導者となったのがプーチン大統領でした。
ゴルバチョフ氏は2014年のロシアによるクリミア併合については、「クリミア住民の大半はロシアとの再統合を望んだ」などと支持を表明。
しかし、プーチン大統領の強権的手法には強い懸念を示し、民主化や平和を望む姿勢を見せていました。
ウクライナ侵攻が始まった2日後にも、軍事行動の即時中止を求める声明を発表。
「人の命より大切なものはこの世にない。相互の尊重と配慮に基づく対話のみが、最も深刻な問題を解決し得る」
2021年、ゴルバチョフ氏は、JNNの書面インタビューに応じ、こう訴えました。
「ロシアの未来は1つしかありません。それは民主主義です」
今なおウクライナ侵攻を続けるプーチン大統領。ゴルバチョフ氏が願った民主主義は忘れられてしまうのでしょうか。
(「サンデーモーニング」2022年9月4日放送より)
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