“簡素な国葬”に悩む岸田政権【後藤政治部長のリアルポリティクス】|TBS NEWS DIG
政府は9月27日に行われる安倍元総理の国葬について政府の予備費から約2億5000万円を投入することを決めました。ただ、国費の投入で、世論の反発が高まる中、この他に警備費などで費用が膨らむことが想定されており、岸田政権はいかに簡素化する頭を悩ませています。後藤部長の解説です。
後藤部長:
安倍元総理の国葬について考えていきたいと思います。先週、政府は国葬の費用を決めました。具体的には税金=国費を約2億5000万円投入することを決めたわけです。開催の期日は9月27日と決まっています。今後、政府は具体的な段取りについての概要を公表していく予定です。
ーー各報道機関の世論調査を見てみるともかなり厳しい声が出ていますが。
後藤部長:
賛否がかなり分かれています。世論も手放しで肯定的というわけではないという現状です。そう考えると岸田総理は決断が少し早まったではないか、おそらく本心では後悔というか、もう少し状況を見てから判断すべきではなかったかと思います。
ーー国葬に関して時系列で振り返ってみたいと思います。7月8日に安倍元総理銃撃で死去。そして、7月14日には岸田総理が国葬を執り行うことを表明しています。
銃撃は参院選の2日前の出来事でした。銃撃事件から参院選、そして国葬決定までの間に告別式がありました。参列者が花を手向けに行ったというのが印象的でした。自民党本部でも献花台が設置されました。自民党本部から最寄りの地下鉄の駅まで約200mの長蛇の列ができましたが、おそらく岸田総理はこうした光景をみて、と政治判断したのだと思います。また安倍派からも国葬を求める声ありました。いまは時間をかけて悩むよりもぱっと決めた方がいいだろうというのがこの時の岸田総理の判断だった。
ーーただ7月下旬ごろから旧統一教会と自民党議員との関係が徐々に明らかになってきました。
後藤部長:
山上容疑者の供述の中で旧統一教会の話が出てきました。そこからいろいろなチャネルを通じて旧統一教会と自民党の個別議員との関係性が露わになってきました。参院選挙で支援を受けていた候補者も分かったのがこの時期です。国葬発表からしばらくしてかなり流れ変わったなと思います。世論もちょうど7月下旬から旧統一教会と個別議員の関係性、そこを明らかにすべきじゃないか、検証を踏まえた上で国葬を決めるべきではないかという意見が強くなってきたと感じています。政権が見通しを誤ったと言っていいと思いますが国葬に関して手続き的にも問題な部分があります。国葬は明確な法律に基づいて行う法的な整備が不十分です。今回は岸田総理が政府として決定したということですが、立法府=国会はどうそれに介在したのか。賛否は分かれるにしても、少なくとも国会で与野党で「なぜ国葬を行うのか」などを審議すべきだが現在のところ行われていません。
ーー立憲民主党の安住国対委員長が自民党に対して国葬に関して実際にかかる経費について国会で総理が説明をしろという声がありました。
後藤部長:
立憲民主党の安住委員長はこの問題についてキーマンになるかなと思う。国対委員長などの経験が長く国対畑が長い政治家で、政府与党に対して追及姿勢の強いタイプ。政府はいまのところ閉会中審査で官房長官が説明する考えですが、安住委員長は、岸田総理に説明を求める考えを主張しています。安住委員長は今後さらに攻勢を強めていくと思う。
ーー予算が約2億5000万円という話があったが、安住委員長は実際にかかる費用について説明を求めている。
後藤部長:
政府は多くの金額を出すことをためらっています。予備費からはこれだけ出しますということを決めましたが、一番大きいのは警備のお金です。いま最大で6400人を招待しということ、海外の要人にも声をかけていますが空港も含めた警備の体制は膨大になってきます。銃撃事件のこともありますから、警備当局は力を入れてくると思いますが、実質にかかる費用となれば2.5億円ではとても及ばない膨大な金額が出てくるのではないかと思います。政府としては国葬はやるが、いかに簡素な国葬にするのかに頭を悩ませています。そういったことをこれから1か月ありますから工夫してやっていくということが政府の当面の姿勢になると思います。しかし、世論がこれだけ分かれている中で「簡素にしました。皆さんよろしいでしょうか」とすんなりとはいかないのではないかと思います。今後、閉会中審査をやるのであれば時間をかけて様々な賛成の側、反対の側、それぞれの立場から政府がしっかり答えますと、そういう姿勢が少なくとも国葬を行うにあたって必要になるのではないかと思います。
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