“インスタ映え”大鳥居狙い “危険横断”続出…死亡事故も 神社困惑「対応に限界」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年8月26日)

“インスタ映え”大鳥居狙い “危険横断”続出…死亡事故も 神社困惑「対応に限界」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年8月26日)

“インスタ映え”大鳥居狙い “危険横断”続出…死亡事故も 神社困惑「対応に限界」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年8月26日)

 琵琶湖の湖畔に建つ「写真映えする」と人気の神社。この神社の周辺で、車通りが多い国道を横断する観光客が相次いでいるということです。神社側は、看板を設置するなど対策を講じていますが、死亡事故も起きています。

■取材中のカメラ前で…相次ぐ“ヒヤリ場面”

 滋賀県高島市。琵琶湖のほとりに建つ白鬚神社。創建は2000年以上前とされ、御利益は延命長寿や商売繁盛、交通安全など。全国におよそ300ある白鬚神社の総本宮と言われる、由緒ある神社です。

 コロナ前には、年間およそ15万人が訪れたという白鬚神社。観光客の目的は…。

 愛知からの観光客:「インスタグラムを見て写真を…」「SNSで(ここを知った)」「(Q.写真撮りたいなと?)はい」

 この神社のシンボルは、国道を挟んで琵琶湖に浮かぶ朱塗りの大鳥居。湖岸から撮影すると、鳥居が琵琶湖に浮かんでいるかのように見えます。

 この幻想的な風景は「近江の厳島」と呼ばれ、日本遺産にも認定。国屈指の“インスタ映えスポット”として、人気を集めています。

 しかし、4年ほど前からある問題が起こっています。

 美しい景観をより近くから撮影しようと、神社と鳥居を挟む横断歩道のない国道で危険な横断が続出。スピードを出した車が目の前に迫っていても、強引に横断を試みます。

 歩行者に気付いた車が、とっさにスピードを緩め、こと無きを得ましたが、一歩間違えれば大惨事にもつながりかねない危険な行為です。

 取材を続けると、そんなヒヤリとする場面がカメラの前で相次ぎます。

 2人組の男女は、何度も左右を確認して渡るタイミングを計っています。すると、道路のど真ん中で車を止めて、無理やり渡りました。

 車が通り過ぎたわずかな隙を狙って、国道を渡る観光客たち。中には、小さな子どもを連れた人の姿もありました。

■“展望台”設置も…翌日に道路で死亡事故

 神社側は、危険を知らせる「横断禁止」の大きな看板や、自動アナウンス装置を設置して注意を呼び掛けています。

 土日には、警備員を配置して渡ろうとする人に注意をしていますが、強引な横断が後を絶ちません。

 なぜ、危険を侵してまで横断をしてしまうのでしょうか?渡った人に話を聞いてみました。

 道路を横断した人:「(Q.横断禁止と書かれているのを見た?)あぁ、すみません」「(Q.何で渡ってしまった?)何で渡っちゃったか?鳥居を撮りたかったから。この湖を、ここを見たかったから」

 しかし、スタッフが注意した直後、車がいない隙を見て、また渡って行きました。

 写真を撮りたい気持ちが先に立つのか、看板を見ていなかったという人もいます。

 道路を横断した人:「(Q.横断禁止、ご存じなかった?)全然知らなかったです」「(Q.書いてあるのが見えなかった?)全然、分からなかったです」

 国道を渡って写真撮影をしようにも、白鬚神社の近くには、横断歩道や歩道橋などが設置されていません。最寄りの横断歩道まで、どれくらい離れているのでしょうか?

 琵琶湖沿いの国道をひたすら歩いて行くと、ようやく神社から一番近い横断歩道にたどり着きました。どれくらい時間がかかったかといいますと、およそ20分。かなり遠く感じました。

 神社から最寄りの横断歩道を渡って、大鳥居まで行くには40分。往復で1時間20分歩く必要がありますが、国道を横断すれば、ほんの数秒で渡れてしまいます。

 横断者の増加を受けて、去年12月、地元のロータリークラブが、国道を渡らなくても大鳥居を撮影できるようにと、展望台を設置。展望台は大変にぎわっていて、展望台の下で順番を待つ人も出てきています。

 宮司によれば、展望台の設置後、横断する人が9割減ったということですが、それでも、危険な横断をする人が後を絶ちません。

 展望台が設置されているのに、なぜ国道を渡ってしまうのでしょうか?5年前に国道の向こう側で、大鳥居を撮影したことがあるという人は、次のように話します。

 展望台から撮影した人:「微妙に、やっぱり距離感が違うと思います」「こっちから撮ると、ガードレールとかが写っちゃいます」

 実際に、展望台から写真を撮ってみました。確かに、大鳥居の手前に道路やガードレールが映ってしまい、いま一つの写真に…。きれいには撮れますが、結構、車道が映ってしまいます。

 観光客の安全を守るために設置された展望台ですが、設置の翌日、恐れていたことが起きてしまいました。

 白鬚神社・高橋敬一宮司:「朝7時すぎに、向こうから男性が写真の撮影を終えて、上がってきた。『ドーン』という音がしましたので、慌てて見に行ったら、先ほどの男性が、車にはねられていました」

 亡くなったのは、岐阜県から来ていた79歳の男性。宮司によれば、男性は即死状態だったといいます。

 悲劇を繰り返さないためにも高橋宮司は、国道を横断しようとする人を見つけ次第、注意しています。

 高橋宮司:「危ないよー。入って、入って!危ない!入って!」

 しかし、4人の神職での対応には限界があり、国や県などに対し、歩道橋の設置を求めています。

 高橋宮司::「やはり国道を渡って、近くから湖中の大鳥居を撮りたいという方もいるので。人間の渡りたいという行動を、神社では止めることができないので。ゼロにするには、かなり難しいことだと思っています」

■横断歩道は困難…迂回ルート検討

 この問題、どうすればよいのでしょうか?まず、考えられるのが“人の流れを変える”という対策です。

 滋賀県警によると、横断歩道や信号の設置については、「湖畔に人が待つ安全なスペースがない。歩道もないので、横断歩道は作れない。50センチの路側帯はあるが、自転車も通るため安全の確保ができない」といいます。

 そのため、今考えられているのが“車の流れを変える”という対策です。

 国土交通省の滋賀国道事務所によると、交通事故の軽減などのため、迂回(うかい)ルートを検討しているそうで、現在は都市計画手続き中で、工事開始時期は未定だということです。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年8月26日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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