甘い誘惑に注意 SNSに潜む“闇バイト”の危険 経験者が語る実態とは(2022年8月20日)
SNS上にあふれる「闇バイト」の募集。高額な報酬に惹かれて応募した結果、犯罪に加担させられるケースが後を絶ちません。サタデーステーションは、闇バイトに手を染めてしまった男性を取材。一度手を出せば、簡単には抜けられない実態が見えてきました。
■「絶対に捕まらない」鵜呑みにした結果は…
闇バイトの経験者: 「新型コロナの影響で会社の給与が減っていたので、お金が必要で…」
こう話すのは、SNSなどで高額な報酬を謳い希望者を集める、いわゆる「闇バイト」に手を染めた男性。SNSで、『誰でもできる1日5万円』という募集を見て、ダイレクトメッセージを送ったといいます。
一見、魅力的に見える闇バイト。 しかし、その実態の多くは、強盗や、違法薬物の運搬役などの犯罪行為です。 男性が手を貸したのは特殊詐欺でした。
まず、メッセージを送るとすぐに返信があったといいます。 その後、男性は指示されるがまま、身分証や住んでいる家の写真などを送信。 ここで初めて、「お年寄りの自宅に行ってキャッシュカードをとってきてください」と、仕事の内容を聞かされたといいます。
闇バイトの経験者: 「『ばれるでしょ?』と言ったら『絶対捕まらないから。簡単だよ。多くとればとるだけ自分のお金になるんだから楽勝だよ』と言われ、鵜呑みにしてしまった」
そして、およそ1週間後。
闇バイトの経験者: 「駅にいたら『お客さん(騙す相手)が捕まりました。今すぐスーツ着て行ってくれ』と」
具体的な指示に、事の重大さに気づいた男性。「辞めたい」と指示役に連絡したといいますが…
闇バイトの経験者: 「見張り役がいて、それでトイレに連れ込まれて、腹を殴られて『ふざけんな』という話になって『行けよ』と」
その後、高齢者の自宅でキャッシュカードを受け取り、ATMでお金を引き出しました。
闇バイトの経験者: 「おじいちゃんおばあちゃんたちの顔を見ていると申し訳なくて、ほんとすみませんという感じで」
ただ、闇バイトの恐ろしさはこれで終わりではありませんでした。
闇バイトの経験者: 「『もうこれでいいですか』と言ったら『いやいや困るよ』と。『やめられると思ってるの?君の会社に言うよ?実家に連絡するよ。いいの?やめられると思ってる?』と言われた」
身分証などを見せてしまっていたため、報復におびえるようになったといいます。
闇バイトの経験者: 「抜けたくてしょうがなかったが抜けられなかった。(生きた)心地は…しなかったです」
SNSでの応募からおよそ4カ月。男性は逮捕され、その後、執行猶予付きの有罪判決を受けました。
闇バイトの経験者: 「僕が生きている限りはずっと反省しないといけない。僕の場合は報酬が3万円。たった3万円のために人生を棒に振る。ばかばかしい」
■特に危険なのは“今の時期” 専門家が警鐘
いま、身近なSNSから安易な気持ちで闇バイトに手を染める人が後を絶ちません。
「SNS上で『高額バイト』といった文言で検索すると、このようにずらっと出てきます」(取材ディレクター:白鳥宏亮)
中でも目立つのが若者による犯罪です。今月2日には、東京・武蔵野市の70代男性からキャッシュカードをだまし取ろうとしたとして、17歳の少年が逮捕。少年は、「夏休みに暇で、専門学校の学費を稼ぐためだった」と供述したということです。警察庁のまとめによると、去年、特殊詐欺で検挙された人のうち、およそ5人に1人が少年です。
闇バイトの事案を複数、担当してきた弁護士は、特に今の時期が危険だと指摘します。
横浜パートナー法律事務所 杉浦智彦弁護士: 「初めて手を出してしまったタイミングが、夏休み・冬休みに集中しているという実感はある。時間がある事、休みで遊ぶためのお金がほしくて、というのがあるのかもしれない」
また、年々手口は巧妙化。 簡単に捨て駒にされ、その罪を全てかぶることになるケースが多いのが実情です。
横浜パートナー法律事務所 杉浦智彦弁護士: 「基本的には受け子・出し子は末端でも実刑。刑務所に行く期間も、長いと7~8年の場合もある。(若者は)社会経験が乏しく、特殊詐欺の危険性・怪しさを十分に認識していない。低い報酬、しかも見つかりやすい犯罪に手を染めるのは非常に浅はかな事だというのはぜひ知ってもらえればと思っています」
サタデーステーション 8月20日OA
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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