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毎朝5時まで…“入力作業”に医療現場は疲弊 新型コロナ“全数把握”の実態(2022年8月19日)
19日に全国で確認された新型コロナの感染者は26万1029人と過去最多、初めて26万人を超えました。
この数字は、医師などが入力した情報に基づいて集計されていますが、この作業の負担を見直すべきだという声が高まっています。
患者がいなくなったあとのクリニックを追いました。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:「今、9時半になろうとしています。夜の9時半です。診療がやっと終わり、やらないといけないことが色々あるのですが」
院長が一人、パソコンに向かって始めたのは、その日に陽性と診断した患者の『発生届』の作成。感染症法では、医師に全てのコロナ患者の情報を保健所に伝えるよう定めています。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:「(情報を)いれるためには当然、名前や住所、検査日や発症日など分からないといけないので、このように問診表のコピーをとって、12~13人分あると思います」
発生届に当初、120あった入力項目を、厚労省は段階的に減らしていき、今は65歳未満で重症者リスクの低い患者は7項目でも良いとしています。ところが…。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:「違うぞ、何。書いてある通りに入れてるのにだめって。一日の最後に、疲れ果てた後にやる夜中の作業なので、かなり効率も悪くなってくるし、正直精度も下がってしまう。前の人の(情報を)入れたか不安に思って戻ったりする時もある。見てみると案の定抜けていたり、なかでも電話番号は非常に重要。そういう確認作業がどうしても入ってきます」
他にも片付けなければいけない仕事が山積みです。仕事を終えたのは午前5時。すでに外は明るくなっていました。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:「この時間が毎日ですから、その分、他の診療を圧縮せざるを得ない。我々のところで診ている患者も問い、合わせいただいた患者の10分の1にすぎない」
感染者全員の発生届を求める、いわゆる『全数把握』をどう見直していくのか。衆院厚労委員会の閉会中審査でも議論がありました。
立憲民主党・長妻昭衆院議員:「全数把握の簡略化は至急やっていただきたい。すぐに来週にでも遅い」
加藤勝信厚生労働大臣:「なぜ全数把握しているか2つある。1つは感染状況そのものをしっかり把握する。もう1つは個々の患者をフォローアップしていく。負担は減少しながら、全数把握の目的や機能をどういう形で残していくのか。できるだけ速やかな対応をしていきたい」
加藤大臣は、全数把握を段階的に見直す考えです。ただ、見直しの具体的な時期については明言していません。
最前線の医師が今求めることとは。明け方に帰宅した伊藤院長は、午前9時には働き始めていました。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:「意志が登録したりフォローアップするものは、かなり絞り込んで、本当に重症な患者、あるいは重症化リスクの高い患者にポイントを絞ってやるべき」
全国保健所長会も緊急提案で、発生届は重症化リスクの高い患者などに限定することを求めています。そして一案として『定点把握』という提案もしています。
定点把握とは、医療機関の一部を定点医療機関として指定し、そこにだけ感染状況の報告を求めるものです。すでにインフルエンザなどの流行状況をつかむために使われています。
こうなる状況を見据え、コロナの定点把握を始めている自治体がありました。三重県では2020年の10月から、2年近くも定点把握を続けています。
三重病院・谷口清州院長:「当初の目的は、地域におけるコロナ感染リスクを評価すること。たどっていくと、法律で規定された『全数の届け出数』の動きとほぼ一致」
全数把握に基づく感染者数に、定点把握による陽性率を重ねてみると、感染状況の動向は概ね一致する結果が出たということです。
三重病院・谷口清州院長:「定点把握によって、全数把握とほぼ同じトレンドが分かる。三重県では、多くの医療機関がコロナを診ている。これによって定点把握が成り立つ」
三重県は定点把握に適していました。取り組みに参加した72の医療機関すべてが、インフルエンザの指定医療機関でもあったのです。
東京では、インフルエンザの指定医療機関でもコロナの患者を診ていないところもあるため、すんなりとは、いかない可能性もあるといいます。
三重病院・谷口清州院長:「ただ“全数”か“定点”かという議論ではなく、何のために、どういう目的で、どういう情報が必要か考えないといけない」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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