ウクライナ産穀物“輸出再開”へ ロシアと共同管理 停戦協議再開は?専門家解説(2022年7月14日)

ウクライナ産穀物“輸出再開”へ ロシアと共同管理 停戦協議再開は?専門家解説(2022年7月14日)

ウクライナ産穀物“輸出再開”へ ロシアと共同管理 停戦協議再開は?専門家解説(2022年7月14日)

ロシアが一方的な侵略を始めてから、まもなく5カ月。“欧州のパンかご”ウクライナの穀物は、収穫の時期を迎えています。

ロシアが黒海沿岸の港を封鎖し、輸出ができなくなっている今、倉庫は穀物で一杯に。輸出できない穀物が余り、値段は半分以下に下がってしまったといいます。

農家:「こんな値段で売るのは厳しい。普段は使わない倉庫まで(備蓄のため)準備しています」

その一方で、深刻化する世界の食糧危機をどう解決するのか。

ロシアとウクライナの実務者が、久しぶりに顔を合わせました。トルコと国連の代表団が仲介役です。

参加国は、黒海の港を共同管理することや、航路の安全確保で合意。そのための『調整センター』をイスタンブールに開設することも決まりました。

ロシアとウクライナは来週にも再び会談し、合意文書に調印する見通しです。

ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「(協議の)成功は、ウクライナだけでなく、全世界に重要です。黒海でロシアの脅威を取り除くことは、世界の食糧危機も緩和するはずです」

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輸送ルートがどうなるか詳しいことは分かっていませんが、ロイター通信によりますと、機雷が設置されている港から出入りする際には、ウクライナ側が誘導し、ロシアは船の移動中は攻撃を停止するなどの計画だと報じています。

◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.今回の合意の背景には何がありますか?)

今回、黒海からの穀物輸送で、ウクライナ・ロシアの協議が大枠で合意できたということは、非常に大きな前進だと思います。

今回、ロシア側が協力姿勢に転じました。ロシアが黒海を封鎖しているので、世界的な食糧危機が高まっているという国際的な非難があり、ロシアとしても何らかの対応をせざるを得なかった部分があると思います。

ただ、これまで陸上でも人道回廊を設置して避難民を避難させるという合意を何度も実行できなかった経緯があります。

今回は船の回廊ということで、安全輸送にどこまでロシアが本格的に協力していくのか。今後のロシアの姿勢・行動を見極めていく必要があると思います。

(Q.今回の合意は、停戦協議につながりますか?)

今回の協議は穀物輸送がテーマで、基本的には別ものになります。

ロシアは、ウクライナ東部2州の完全制圧を断念できないなかで戦闘を続けていて、ロシアが早期に停戦に応じる気配は今のところありません。

ただ、3月末までトルコが仲介する形でロシアとウクライナの停戦協議が行われていました。今回もトルコが入っています。

また、今回の4者協議ではロシアとウクライナ双方の軍事関係者が一堂に会しました。

久しぶりに両国の軍の代表が話し合う機会が実現したので、将来的に停戦協議に結びついてほしいという期待は持っています。

これが一つの足がかりとなって、穀物問題の協議が継続するなかで、何とか停戦の方向にも協議が進んでほしいと期待を込めたいと思います。

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交渉の裏で戦闘は続いています。

東部ルハンシク州を事実上制圧したロシア軍ですが、イギリス国防省は「ロシア軍は現在、再編の最中で、ドネツク州で攻撃を続けるも、この72時間で目立った領土獲得はない」と分析しています。

ウクライナ軍は東部で反抗を続けていて、南部でも反撃しています。イギリスのタイムズ紙によりますと、ゼレンスキー大統領が南部の沿岸地域を奪還するよう命じたと、レズニコフ国防相が明らかにしました。

(Q.ゼレンスキー大統領が南部を奪還すると大々的に発表した理由は何ですか?)

南部ではロシア化の動きが本格化していて、ウクライナとしてはその前に反転攻勢をしながら奪還していきたいという強い意志があるのだと思います。

さらに今回、レズニコフ国防相は10日に、イギリスメディアのインタビューでこのような発言をしました。

この3日前の7日には、イギリスのジョンソン首相が辞任を表明しました。

恐らく、ジョンソン首相が辞任した後のイギリスにも、ウクライナに大して積極的に軍事支援をしてほしいと。その兵器支援がないとなかなか南部の奪還は難しいというメッセージをイギリスに伝えようとしたという見方もできると思います。

(Q.今後の注目点はどこですか?)

戦況が大きく変化しないなかで、ずるずると戦争が長期化していく状況にあると思います。

今後は、外交的な動きに着目していく必要があると思います。

ロシアからすると、エネルギー問題や食糧問題をカードに、国際社会を揺さぶりながら、ウクライナに停戦圧力をかけていきたい思惑があります。

ただ、アメリカのバイデン大統領が中東を訪問しています。こうした動きを受けて、プーチン大統領も19日にはイランを訪問し、ライシ大統領、そして同じくイランを訪問しているトルコのエルドアン大統領と会談を行う予定です。

プーチン大統領も外交攻勢をかけようとしているので、今後のロシア・ウクライナ問題は、外交の場で色々な展開が予想されると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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