岸田総理「行動制限は考えない」一方“濃厚接触者の扱い”言及なしの理由 記者解説(2022年7月14日)

岸田総理「行動制限は考えない」一方“濃厚接触者の扱い”言及なしの理由 記者解説(2022年7月14日)

岸田総理「行動制限は考えない」一方“濃厚接触者の扱い”言及なしの理由 記者解説(2022年7月14日)

14日、全国で確認された新型コロナウイルスの新たな感染者は9万7788人で、2日連続で9万人を超えました。第7波によって、社会機能低下の影響も出始めているなか、専門家たちが政府に提言する対策も、これまでとは変わってきています。

14日午前中に開かれた新型コロナ対策分科会で、専門家からは「5つの対策」が提言が示されました。ワクチン接種の加速化、検査のさらなる活用、効率的な換気、国や自治体による効率的な医療機能の確保、基本的な感染対策の徹底です。

「今は第7波への対応に集中することが最重要である。同時にコロナを一疾病として日常的な医療提供体制の中に位置づけるための検討も始める必要があるのでは」という提言も示されました。

この提言をまとめた政府の分科会メンバーの東邦大学・舘田一博教授は、「新型コロナの感染症法上の扱いを季節性インフルエンザと同じ『5類』、もしくは、『新たな分類を作ること』などを含めた議論。高齢者の死亡率はインフルエンザよりも高いため、第7波で死亡率がどの位抑えられるか見極める必要がある」といいます。

また、今回の提言には盛り込まれていませんが、感染者や濃厚接触者の待機期間についても提案がありました。
感染者の待機期間について、症状ありの場合、発症から10日以上、かつ軽快から72時間経過などとなっています。無症状の場合、検体採取から7日経過しています。濃厚接触者の待機期間について、国は原則7日間としています。ただし抗原定性検査で2回陰性となれば、5日目で解除可能です。

分科会メンバーの小林慶一郎氏、大竹文雄氏からは、社会経済活動の両立対策として、「現役世代の感染者・濃厚接触者の隔離期間を短縮を検討すべき」「企業・家庭での自主隔離も過剰になっている可能性がある」といった提案もありました。

◆政治部の山本志門官邸キャップに聞きます。

(Q.岸田総理は会見で「行動制限をしない」と述べました。その思いはどういうものでしょうか)
岸田総理はこれまでも、まん延防止等重点措置の適用など行動制限については、一貫して慎重な考えを持っています。感染者数が増えたとしても、ベッドに余裕があるなど、医療提供体制が維持されていれば、基本的には問題ないと考えています。その点、今は重症者数や死亡者数に加え、病床使用率も総じて低い水準だと受け止めています。加えて、官邸関係者によりますと、「今の感染は、ほとんどが家庭内だ」と、政府は位置付けていて、「飲食店などでの感染はあまり起きていない」と説明しています。これまで何度となく続いた飲食店の時短営業を求めるなどの制限については「あまり効果がない」と言い切っていて、現状、踏み切る考えは全くないというのが、今の官邸の温度感です。

(Q.専門家からは、5類問題や濃厚接触者の扱いについても指摘されていましたが、岸田総理の会見では、そこまでの話は出ませんでしたが、どうでしょうか)
岸田総理が、ここにためらう理由は、オミクロン株の亜種BA.5の性質がまだきちんとつかめていないからです。ある総理周辺は「専門家からは、オミクロン株の重症化率は低いが、60歳以上の高齢者になると、重症化率がインフルエンザより3倍以上に跳ね上がる」と報告を受けたことを明かしていて、「まだ普通の風邪のような扱いはできない」と語っています。だから、高齢者と接する機会の多い医療従事者や高齢者施設従事者への4回目ワクチン接種を進め、ピンポイントで命を守るというのが、今後の対策の柱となっています。別の関係者は「濃厚接触者が広がり、仕事が回らなくなっていることに問題意識を持っている。ただ。必要な隔離期間のエビデンスが崩れないので、無視して対応を変えられない」と語っています。

実は、岸田総理は、元々、第7波が到来する前には、欧米並みの対応に足並みを揃えるべく、もうマスク着用をやめてもいいのではないか、と周辺に漏らしていたこともあります。最近も「経済社会活動を動かしていく。平時への移行期間を進めていきたい」と強調していましたが、BA.5を前にためらいが生まれています。岸田総理が繰り返し語る「経済社会活動と感染対策の両立」。このラインでの様子見が、しばらく続いていくことになると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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